レアモンクエスト 2023 第五話

レアクエ

初恋の女性とデートをしてきたオサーンです。色んな所から、変な汁が出ました。

60歳を過ぎて関連団体へ 天下り 出向し、引き続き働いている先輩と外勤先で久々に会い、昔話に花が咲いた。いい時間になったので電車で帰ろうとカバンを持ち、同僚と立ち上がったところ、「自家用で来てるから送ってやるよ」と先輩が誘う。僕と同僚は「助かります、先輩」と礼をいう。ここまでは何気ない会話だった。
僕が助手席、後部座席に同僚が座り駐車場から出る時、

「え、切り返さなくても出れますよ先輩。」

と僕は何気なく言ってしまった。そのひと言が引き金だった。先輩のハンドルを持つ手がかすかに震えだす。交差点を右折する時にも、行けそうなタイミングだったが対向者通過待ちをしているので、「今の、行けたかも」と言った。もういけない。同僚が思わず「オサーン、おいコラッ!」と運転席と助手席の間から顔を出していう。「あっ、赤信号っすよ!」と続けて僕がいう。後部座席から「ワー」と言いながら「オ、オサーン。そんなこと言うたらあかんねん!」と僕の頭上にあるバイザー付近を指さしている。そこには何やら貼り紙がある。よく見ると、

「命惜しけりゃ、まず誉めろ」

と書いてある。その後の爆走は死をも覚悟した。
貼り紙効果でしばらく黙っていたので、名神高速に乗ったころ、車内は平穏を取り戻していた。すると運転している先輩が口を開いた。

「車の運転ってなぁセックスに似ているなぁ。”下手やなぁ” なんて思ってるんちゃうか、こいつ、とか色々考える。神経戦のところが似てるよね、セックスと運転は、うん。」

というが、今度は後部座席から

「そんなセックスしたことないなぁ」

と同僚がボソリ。いけない発言だ。

「た、確かに俺は、クソッ!クソッ!なんで俺のセックスのことを他人からとやかくいわれなあかんねん、この歳になって」

と運転者は大きめの独り言を急に言い出し、またアクセルを踏み込んだ。

 

さて、冒頭にも書きましたが、初恋の人は同じ年なのでもう50歳近い。見た目はかなり若くて今もなお綺麗だが、ずっと独身だったという。偏見はいけないかもしれない。だがしかし、50歳近くまで独身であったのには何か理由があるに違いない。それを聞いてみたいと思い、この日は神戸でデートをした。独身同士だし、人目も気にせず堂々としている僕。

やはり小学校時代の同級生だけあって、最初こそお互いに少し警戒心があったものの、すぐに打ち解ける。そうなりゃ独身同士、話は早い。やることは決まっている。でもせっかくの神戸なので、今では一箇所しかない神戸のロレックスを訪問する。

リニューアルされて、パテックフィリップなどを取扱うカミネさん(茶矢印)が近くにあり、神の宿る三宮神社(赤矢印)の前に店舗が移設されたロレックス(緑矢印)。三宮神社へお賽銭を投げ入れ、ロレックスへ入店。

少し店員さんと話をするが、女性と一緒に店に入ることが今までほとんどなかった僕。ええ恰好しようとしてしまう。そうなれば逆に本領発揮ができず、思いのほか話も盛り上がらず、結局全てが空回りしてしまい、何も買えなかった。

神戸大丸で買い物でもということで、エスカレーターに乗ったんですが、神戸大丸独特の表示がある。それが、「海側」「山側」という表示(上記画像参照)。これは神戸人独特の感覚で、自分がどちらの方角へ進んでいるのかを海と山で理解するそうだ。神戸豆知識でした。

少し休憩してお喋べりタイム。その同級生との距離が急接近し、ロレックスのHPも一緒に見ていると、「あっ、コレ可愛い!」と彼女の手が止まった。

デイトジャスト36 Ref. 126234 ピンク・ダイヤモンド入り文字盤・ジュビリーブレスレットのモデルが気に入ったという。僕は見たことがないモデルだし、自分では探すことのないモデル。確かにさっきのロレックスへ入店したときは、伝える希望モデルが右往左往してしまった。じゃ、こんな感じのモデルも視野に入れてみようと思う。自分が欲しいモデルはなかなか買えないが、人の為に探す時計は今まで結構な確率で買えている僕。次回からは、自分の希望モデルと並行して、可愛らしいデイトジャストも探すことにした。

神戸デートからなかなかマラソンに行ける時間が取れず苛立っている11月中頃、急遽、東京への出張の話が職場で持ち上がり、仕事はしたくないけど東京に行きたい僕は出張希望の手を挙げた。

「今回は担当レベルで良いので、大丈夫です。」

と言われるのも、

「それなら俺を降格してくれ。肩書よりも、ロレックスが欲しいんじゃ!」

と駄々っ子のようにわめき散らす。この魂の叫びが届いたのか、私も “一泊二日 東京出張御一行様” に名を連ねることができた。無理をいって同行し、しかも若いメンバーが僕に気を使ってはいけないということで、ここは先に人数分の弁当を購入し、みんなに手渡す。デキル男は、こういうところが違う。しかし、僕が弁当を買って運んでいる姿を目撃した若者たちが余計と気を遣うという結果になってしまったのは気にしない。

だがこれは僕の希望を通す為のエサであり、初日は軽い打合せということをきいていたので、

「軽い打ち合わせなら俺、今日はいらんよね、ね?」

とゴリ押しの上、到着初日のフリータイムを手に入れた。気分はまるで、「ショーシャンクの空に」のティム・ロビンスだ。映画を知らない方は、是非観てください。良作です。

東京駅到着後、必死で空いているコインロッカーを駅構内で探し、荷物をぶち込み、「さっそく向かうはBJTことバナナジュース専門店の BANANA JUICE TOKYO さん・・・と思ったが、こともあろうに今回のリーダー的存在の係長が「挨拶だけでも来てもらえますか?」という。真面目なヤツだ、しょーもな。

「いや、このすぐ上(大丸東京店2F)に俺は用事があるんやけどな」

と秒速で断ったが、10人の冷たい目が矢のように全身に突き刺さる。写真すらまともに撮らせてくれない。仕方なくブツブツ文句を言いながら条件を飲む。タクシーに分乗し会議初日の現場へ向かう途中、重大なことに気が付いた。ロッカーに入れたバッグの中に、免許証を入れたまんまだ。

「指定モデルを買えたら免許証が必要なので東京駅まで戻ってくれ!」と同乗している今回の最年少の部下に言うが、呆れ顔で大先輩の僕の顔を見ている。ムムム・・・親子ほど歳が離れた子に、そんな目で見られるとは。

しかし僕の本気の想いが届いたのか、「東京駅に戻ったら間に合わないので、どうします?ここで降りて何とかなりますか?」という。コイツ、出世するな。臨機応変とはこのことだ。全く土地勘がない僕。東京駅から西へ向かったことはわかっている。Google Mapで見るよりも、運転手さんに聞いた方が早い。

「運転手さん、六本木ヒルズか新宿、どっちが近い?」この質問に同乗者は、「東京駅とちゃうんですか?」と再び呆れ顔。「六本木ヒルズですね。すぐですよ。」とタクシーの運転手がいう。ならば、その近くで降ろしてもらえるよう頼んだ。

さて、今回のマラソンは初の六本木ヒルズからのスタートとなった・・・が、僅か16秒で「何もない」と言われて退店した。

あっ、僕よりも1秒早く退場している人発見!↑

出鼻をくじかれる形となったが、落ち込んでいる暇はない。取りあえず BANANA JUICE TOKYO さんでロレックス購入の運気を上げるために東京駅方面へ行きたいが、東京メトロ大江戸線はホームに着くまでに疲れちゃうので、日比谷線で銀座へ向かうことにした。

すぐ近くにタレントさんが数名いたらしいが、全く知らないのでスルー。

クリスマスですね。冷静になると、何だか寂しく感じます。

銀座に到着し、三越さんへ。今までここで買えそうな雰囲気になった記憶がないので、期待は薄い。入店し、女性店員さんと話をしていると、なかなか好感触。希望モデルを伝えて待っているが、なかなか帰ってこない。この待ち時間、これはもしや・・・

店内を確信歩きするオサーンのイメージ図

狭い銀座三越の店内を3往復ほど確信歩きした頃、店員さんが戻ってきた。ん?

手ぶらじゃねーか!!

大変申し訳ございません。という人生で一番聞いたことのあるフレーズがまた耳をつんざく。

退店時のオサーンのイメージ図

心が乱高下したのでGINZA SIXに向かう前にNISSANへ入り、綺麗な女性スタッフに癒してもらう。

恰好いいですね、スカイライン 2000GT。気を取り直してGINZA SIX へ向かうが入店希望者の列が長く、待っている時間がない。ここは諦めが肝心。

諦めて並木通り本店へ向かう。

初見の女性店員さんとお話をして希望モデルを伝えたが、三越とは対照的に、もの凄く早く在庫確認から戻ってきて在庫がないと言われる。やはり僕にはバナナジュースのパワーが必要なんだろう。東京メトロ銀座線で、バナナジュース専門店を目指すことにした。

午後からのマラソンはこれで安心なのです。 つづく

次回予告

「マヂか⁉ N橋・S宿も空振り・・・」の巻

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