レアモンクエスト 2023 第二話

レアクエ

最近、テレビやラジオのCMの影響で、何となくクレジットカードの過払い金があるような気がしてきたオサーンです。

色んな場面で「理想」というのがある。仕事に関してはこだわりがないが、時計好きの人との場合、僕の理想とする相手からのコミュニケーションは、
・「さすがですね!」(僕をほぐす)
・「私?全く撃沈、一本も買えません・・・」(僕を更にほぐす)
という、この2フレーズを聞くことを基本とする。この理想状態にはなかなかならないが、少し前にそういうコメントを少し頂いて嬉しかった。本心なんてどうでもいい。嘘でも何でもいいからほぐして欲しい。

そのコメントをもらいたい一心で、残暑厳しい9月のある土曜日、僕は朝から気合いを入れた。なぜなら、久しぶりに東京へ乗り込むことができそうだからだ。親戚が入院しているのでお見舞いに行くことが一応メインではある。

まだ朝の5時半過ぎ。土曜日ということもあり、世間は寝ている時間。しかし僕はシャキっと起きた。朝勃ちがコンスタントではなくても、気持ちはビンビンだ。何せ、”ほぐし” が欲しい。僕の自由時間のリミットは1日だけ。これまでロレックスに行くことがなかなか叶わなかった想いを凝縮するのだ。新幹線に乗り込み、隣の席のビジネスマンと肘掛けの奪い合いを見事制し、東京へ向かった。

午前9時に東京駅に到着。八重洲口から飛び出した僕。するといきなりバスの停留所ごときが僕を挑発してくる。「ここは金持ち達が通る道。だから雲上のバセロン様の広告だけど、お前は買えるのか?」とアゴをしゃくりながら言われている気がする。物欲が掻き立てられる。バセロンコンスタンチンか、今回はロレックスがメインでそこまで訪れる時間は取れそうもない。時間の問題なのだ、お金の問題ではない・・・。

しかし土曜日だけあって、朝のこの時間では開いている店が少なく人もまばら。東京は「眠らない街」と聞いていたが、そうではなかったようだ。新幹線の車内での肘掛けバトルロイヤルもあり腹が減っている。可愛いバイトの子がいるかも、と毎回期待をしているBANANA JUICE TOKYOに行こうとするも、まだ開店していないので、朝食の場所をさがしていると、一軒のそば屋を発見した。

店の前に、オススメらしきものが目に留まり、それを食べることに。

朝っぱらから、四川冷麺+いなり2個を食した。ピリ辛で、おいしゅーございました。しかも安い。それでもまだ三越日本橋店はオープンしていない。店を出て少しふらふらしていると、地下へ降りる階段を発見。何気なしに階下へ降りて行くと、僕が滅多に行くことのないスタバがあった。決して値段が高いから行かないのではない。メニューがよくわからないだけだ。でもこのご縁だ、スタバのカウンターへ向かう。

コーヒーが飲みたかっただけなのに、可愛い店員さんの言いなりで、アーモンドミルクの “おさつバターフラペチーノ” とかいうのになってしまった。コーヒーが飲みたかったが、カワイ子ちゃんの推しに負けた。取りあえず買ったので全て飲んで、甘い口をリセットしたく、その後、自販機でコーヒーを買って飲んだ。

東京1日マラソンのコースは、ツイッター改めX(エックス)でお世話になっているコバ○ツさんにアドバイス頂いた。

ということで、オープンした日本橋の三越から今回の東京マラソンはスタートした。女性店員さんが対応してくださり、在庫確認をしてもらってい間に来た別の男性客。腕を見ると、新作のGMTマスターII Ref. 126718GRNRをしているではないか!う、羨ましい。残念ながら在庫はないという答えだったが、闘志に火がついた。タカシマヤ ウオッチメゾン 日本橋に向かう足も気合い満点で早くなる。気が付けば、Bダッシュ(死語か)していた。この焦りが原因なのか、ここでは在庫確認もなく撃沈した。まだまだ2店舗目、そんなことではヘコたれない。

踵を返して東京駅に戻り、大丸東京店。予約もないが、普通に入店。在庫確認をしてもらったが、残念ながら〜のパターンをここでも食らい、店を後にした。

この調子では全く買えそうもない。焦りが出てきたので、気持ちをリセットし、鋭気を養う為に綺麗なお姉さんがいるところへ行くことにした。

銀座にあるニッサンのショールーム。癒してもらいたく入ったが、中国語が飛び交っている。甘やかされて育った クソガキ 子供がGTRの運転席に座っているし、他にも外国人観光客が多く、綺麗なお姉さん達は全く僕の相手をしてくれそうもない。人の少なかったコロナの頃が懐かしい・・・。せっかくなので、近くにいた光り輝く金髪の外国人カップルにどこから来たのか?と尋ねると、フィンランドという。フィンランドと言えば、元F1レーサーのミカ・ハッキネンが有名だね、なんていうと、その人の名は、ニッカネンだという。関西人として、ネンネン聞くと親近感が湧く。ニッカネンさん、もしかしてフィンランド中探せば、ヨイチネンとかタケツルネン、友達にサントリネンもいるかも知れないと、くだらないことを考えながら銀座を歩く。

それにしても蒸し暑い。急いでGINZA SIXに入り、トイレでマーキングを完了。鏡に映った自分を見ると、背中が汗でビッショリ濡れている。日帰りなので、万が一に備えての勝負パンツは持っているが、他の着替えを持っていない。この状態でロレックスに入るのは凄く自分でも嫌だが、仕方がない。どうせまた外に出れば、汗ダグになるだけだ。

待ち人数が気になったが、誰も待っておらずすんなり店内に入った。中ではほとんどの店員さんが対応中だったが、女性店員さんが僕の前に現れて対応してくれた。

店員:店 / オサーン:オ

店:「お伺いしましょうか。」

表情がすこし硬く感じるが、誠実そうな店員さんだ。

オ:「はい、実は○○を探しているんですが、なかなか昨今の需要過多の影響で全く出会えなくて。ここならあるかな、なんて淡い期待を抱いて来てますねん。」

すこしフィンランド人の名前に引っ張られる形で、語尾にネンが付いてしまう。この僕の言葉を受けて店員さんの目がカッと見開く。もしかして、今日売ろうとしていたモデルがドンピシャだったのか?期待する。

店:「あっ、関西の人なんですね。私もそうなんです。」

そういうことだったのか。それでもそこを会話の糸口として “フィンランド人・関西人、同一起源説” を唱える。

オ:「さっき近くでフィンランド人のニッカネンという人に出会ってん。以前テレビでカタイネンとかスキージャンプの選手ではアホネンっていた。彼らは子供の頃、名前のことでいじめられたりしなかったのか?」

と、どうでもいい話を更に続ける。

オ:「関西人はネンネンってうるさいってこっちで言われるが、スウェーデン辺りでは『フィンランド人はネンネンばかりでうるさい』と言われてるに違いない。今日、ロレックスが買えたら “ロレヤネン” に改名しようと思ってるので、是非とも1本よろしく。」

と、力業でどうでもいい話から在庫確認へつなげるところがベテランランナーである。

店:「アハハ、関西人丸出しですね。在庫確認してきます。」

感触はいい。あとは君の度量がどれだけあるかにかかっている。奥にいる偉いさんにしっかりと僕の想いを伝えるのだ。

待っている間、まったくどうでもいいサンプルのデイトジャストを眺めながら誠実なロレックス好きを演出する。そのあたりも抜かりない。

店:「在庫確認したんですが、入荷がなかったんです。すみません。」

見ていなかったが、名札が研修中だった。

こっちにも行ったが、目元が大泉洋に似ている店員さんにアッサリあしらわれた。

暑さの影響でかなり疲れてしまったので、銀座を離れて昼ご飯を食べることにした。塩分補給には、ラーメンがいい。そう思い、電車に揺られながらロレックスが近くにあるラーメン屋を目指した。

博多とんこつラーメンをいただきました。少し外で待ちましたが、メチャ美味かった。その後、時間の限り色々と回った。

新宿の京王では、在庫確認もなく終了した。

新宿高島屋では少し並んで入店し、店員さんと結構長い時間話をし、これはイケルかと思ったが結局買えなかった。

ここでは完全に断る前提のような流れ作業で終わった。

六本木ヒルズでは、ベルギービールとかのイベントで楽しそうだった。僕はもうクタクタになり、汗も流したいので後楽園にあるスパラクーアにでも行こうかと思ったが、60組待ちという案内を見て諦めた。

気が付けばもう夕方になっていて、もうロレックスへ行く気力もなくなってしまい、親戚のお見舞いに行ってきた。その帰り、なぜか店の看板が目に留まり、引き寄せられるようにカレー屋に入った。

若干焼けた看板。ヴィンテージ感を感じさせる焼けだ。土台の部分もサビていて味がある。

インド人の店員さんに厨房もインド人まみれ。当然ヒンズー語が飛び交っている(もちろん日本語対応)。いくつか種類があり、チョイスしたバターチキンカレーとほうれん草のカレー。かなり美味しかった。ナンはナン枚もお代わりできる。疲れていてダジャレもキレがないが、ナンも美味しかった。

食べ過ぎたので腹ごなしということで、東京駅まで歩いた。夜の東京駅は綺麗だった。しかし、この日は朝から歩きっぱなしでかなり膝が痛くて参った。フィンランド人なら、イタイネンという名前か。Google Map で距離を確認すると、相当歩いていることがわかった。

革底の靴で16キロは、膝に来る。今度はスニーカーで行こうと心に決めた。膝が本当に死んだ。誰か、僕の心と身体をほぐしてくれないか・・・(女性に限る)。冒頭にも述べたが、最近は朝起きてもカタイネンにはならない。ヤワイネンでも相手をして欲しい。

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