コンビニの募金箱に1円玉を入れた直後、足元に落ちていた5円玉を見つけて4円の利確をしたオサーンです。
まず前置きとして、今回の(今回も、ですが)内容ですが、ロレックスが公式に発表しているわけではありませんので、ご了承ください。
高級時計の代名詞であり、圧倒的な信頼を誇るロレックス。しかし、その完璧な神話の中にも、実は「やらかし」とも呼べる技術的な課題が存在しました。それが、2015年に登場した新世代ムーブメント「Cal.32xx系」の初期ロットで見られた、長期使用時の精度低下問題です。
スペック上は、70時間のロングパワーリザーブ、エネルギー効率を高めたクロナジー脱進機、そして日差±2秒という、実用時計の頂点に立つ設計でした。しかし、数年後、一部の個体でテンプの「振り角」が異常に低下し、精度が悪化する現象が世界中で確認され始めたのです。
普通ならブランドイメージが崩壊しかねない事態。しかし、ロレックスは崩れなかった。なぜ彼らはこの危機を乗り越えられたのか? その裏付けとなるエビデンスと共に、王者の生存戦略を解き明かします。
現代ロレックスの心臓:Cal. 32xx系搭載モデル
「振り角低下問題」が囁かれたのは、現在ロレックスの主力となっている以下の主要モデルたちです。
| ムーブメント | 特徴 | 主な搭載モデル |
| Cal. 3235 | デイト表示付 | サブマリーナー デイト シードゥエラー ディープシー ヨットマスター 42 / 40 デイトジャスト 36 / 41 |
| Cal. 3255 | 曜日・デイト表示付 | デイデイト 36 / 40 |
| Cal. 3285 | GMT機能付 | GMTマスター II エクスプローラー II |
| Cal. 3230 | デイト表示なし | エクスプローラー 36 / 40 サブマリーナー(ノンデイト) エアキング |
「不都合な真実」を裏付ける5つのエビデンス

ロレックスは公式に不具合を認めていませんが、世界中の統計データや修理現場からは「設計上の想定と実使用の乖離」を示す強力な状況証拠が見つかっています。
- 世界同時多発的な統計的異常:日本、欧州、北米を問わず、使用3〜6年で振り角が200°前後まで低下する症状が多発しました。これは個体差や使用環境では説明できない「統計的異常」です。
- 修理内容のサイレント変更:初期は「洗浄・注油」のみでしたが、後期には脱進機周辺パーツの交換や、潤滑油の種類・量の基準変更が、説明なしに実施されるようになりました。
- 第三者による比較データ:独立系時計師の計測では、旧世代(Cal.31xx系)は安定しているのに対し、Cal.32xx初期ロットは明確に振り角が落ちるという比較データが複数存在します。
- 2020年前後の沈静化:2016〜2019年製に報告が集中する一方、2020年以降の製造個体では報告が激減しています。新ムーブメントの発表なしに症状が消えたことは、裏で仕様が変わったことを示唆しています。
- 歴史的な行動パターンの一致:ロレックスには「問題を公表せず、認めないが、必ず直す」という一貫した行動様式があります。今回もそのパターンに完全一致しています。
なぜロレックスは信頼を失わなかったのか?
不具合がありながら、なぜ王者の地位は揺るがなかったのでしょうか。
「不具合」を「事件」にしない鉄の掟
ロレックスは「品質問題をマーケティング言語に変換しない」という鉄の掟を持っています。リコールも技術声明も出さず、「語らず、直し、基準を上げる」ことで、ユーザーの記憶に「問題」ではなく「いつの間にか直っていた」という印象だけを残します。
アフターサービスという「沈黙の補償」
「なんか精度が悪いな」と感じて修理に出せば、保証期間内なら実質ノーコストで対応され、黙って最新仕様のパーツに更新されて戻ってきます。この世界統一の強力な内製サービス網が、ユーザーの不満を吸収する巨大な防波堤となりました。
致命傷ではない「上品な失敗」
この問題は時計が突然止まったり壊れたりする類のものではありませんでした。あくまで「精度のマージンの減り方が異常に速い」という技術的な乖離であり、メンテナンスで確実に回復可能な「上品な失敗」の範疇に収まっていました 20。
秘匿された「第三段階の検査」のフィードバック
ロレックスには、抜き取り・破壊を前提とした非公開の「信頼性監査(第三段階)」が存在します。最大5,000Gの衝撃テストや、数年分の摩耗を1週間で再現するロボットアームで得られた実データは、即座にサイレント改修の設計図へと書き換えられました。
「信頼性」を再定義した経営哲学
ロレックスの品質とは、ルーペで見るエッジの美しさではなく、「いつの時代も修理可能であり、動き続けること」です。この経営哲学に基づき、油膜設計や部品の公差を市場からのフィードバックを受けて微調整し続けることで、実用時計としての完成度を高めていきました。
結論:ロレックスが唯一「市場で学習した」ムーブメント
Cal.32xxは、ロレックスが唯一、市場に出してから「学習した」ムーブメントと言えるかもしれません。これを「黒歴史」と呼ぶか、あるいは「さらなる高みへの進化の代償」と呼ぶかは、捉え方次第です。
しかし、どんな事態になってもユーザーを見捨てず、沈黙のままに完璧な状態へと戻すその姿勢こそが、ロレックスが「実用時計の王者」として君臨し続ける真の理由だと思います。

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