この前冬キャンプに行ったけど、焚き火を眺めてる時間とスマホで株の含み損を眺めてる時間が同じくらい長かったオサーンです。
ロレックスのサブマリーナーやシードゥエラーをお持ちの方なら、一度は耳にしたことがある噂ではないでしょうか?
「ロレックスの防水性能は、カタログスペックよりも遥かに高い」
「300m防水と書いてあるが、実際にはもっと深く潜れる」
これは単なるブランド神話なのか、それとも事実なのか? 今回、特許文書や技術資料、そして極秘とされる製造プロトコルを徹底的に分析した結果、驚くべき事実が判明しました。ロレックスの「防水」に対する狂気じみた執念と、そのテクノロジーの全貌を公開します。
「300m防水」は限界値ではない:隠された「安全率」

まず結論から言えば、文字盤に「300m」と書かれたサブマリーナーは、300mの水圧で浸水することはありません。なぜなら、ロレックスは製品に対し、公称値を遥かに超える「安全率(Factor of Safety)」を設定しているからです 。
全ての個体が受ける「+25%」の洗礼
ロレックスのダイバーズウォッチは、市場に出る前に必ず以下の過酷なテストをクリアしなければなりません 。
- サブマリーナー(公称300m):実際には375m(+25%)の水圧テストを実施
- シードゥエラー(公称1,220m):実際には1,525m(+25%)の水圧テストを実施
- ディープシー(公称3,900m):実際には4,875m(+25%)の水圧テストを実施
もし370mの地点でわずかでも変形が見られれば、その個体は300mの性能を満たしていても「不良品」として廃棄されます 。つまり、私たちが手にするロレックスはすべて、「公称値以上の性能」が物理的に証明された生き残りなのです。
ロレックス独自の安全マージン・プロトコル
公開されている技術資料およびジャーナリストによる工場取材レポート 1 によると、ロレックスはモデルのカテゴリーに応じて以下の厳格な安全マージンを設けた加圧テストを実施している。
| モデルカテゴリー | 公称防水深度 (Rated Depth) | 適用される安全マージン | 実際のテスト深度 (Actual Test Depth) | テスト圧力 (概算) | 備考 |
| オイスター (非ダイバーズ) (デイトジャスト, デイトナ等) | 100 m | +10% | 110 m | 11 bar / 160 psi | 全数検査 |
| サブマリーナー | 300 m | +25% | 375 m | 37.5 bar / 544 psi | 全数検査 (ISO 6425準拠) |
| シードゥエラー | 1,220 m | +25% | 1,525 m | 152.5 bar / 2,211 psi | 全数検査 |
| ロレックス ディープシー | 3,900 m | +25% | 4,875 m | 487.5 bar / 7,070 psi | 全数検査 (COMEX共同開発タンク) |
| ディープシー チャレンジ | 11,000 m | +25% | 13,750 m | 1,375 bar / 19,942 psi | 全数検査 (UHPタンク) |
「泳ぐと水圧が上がる」という都市伝説の嘘
よく「300m防水でも、腕を激しく動かすと動水圧がかかるから水泳は危険」という話を聞きますが、これは科学的に誤りです。 流体力学の計算上、プロの水泳選手が全力で腕を振っても、かかる圧力は数メートル分程度しか増えません 。ロレックスが設定している「+75m分(サブマリーナーの場合)」という巨大な安全マージンは、腕の動き程度で破られるものではないのです 。
ISO規格 vs ロレックス社内規格:全数検査の衝撃

一般的なダイバーズウォッチの国際規格である「ISO 6425」では、実は「抜き取り検査(サンプリング)」でも合格とみなされる場合があります 。 しかし、ロレックスはこれを許しません。彼らは「全数検査」を行っています 。
恐怖の「結露テスト」
高圧タンクでのテストを生き残った時計には、さらに残酷な試練が待っています。 時計を熱したプレートの上に置き、冷水を風防に一滴垂らすのです。もし、高圧テスト中にごく微量の水分でも侵入していれば、温度差で内部が結露し、ガラスが曇ります 。 ほんの一瞬でも曇りが消えなければ不合格。この徹底したプロトコルこそが、信頼の証なのです。
アキレス腱を守る技術:リューズの進化
時計にとって最大の弱点は、内部と外部をつなぐ「リューズ(竜頭)」です。ロレックスはこの弱点を克服するために、特許技術を投入しています。
トリプロックリューズ(特許 CH492246)
サブマリーナーやデイトナのリューズにある「3つのドット」は、このトリプロックの証です 。名前はトリプルですが、実際には4つのガスケットで3つの防御ゾーンを構築しています 。 特筆すべきは、リューズ内部の「クラッチ機構」です。リューズをねじ込む際、パッキンが摩擦ですり減らないよう、ある程度閉まると空転して圧力を逃がす仕組みになっています 。これにより、パッキンの寿命を飛躍的に延ばしているのです。
深海4,000mに耐える「リングロックシステム」
ディープシーのような超深海モデルでは、水圧でケース自体が押し潰されてしまいます。これに対抗するのが「リングロックシステム(特許 EP1916576)」です 。
「チタン製裏蓋」の秘密
ディープシーの裏蓋には、なぜかステンレスではなくチタン(グレード5)が使われています 。 チタンはステンレスより「たわみやすい」性質があります。水圧がかかると裏蓋がわずかにたわみ、内部のパッキンをより強く押し潰します。つまり、「水圧がかかればかかるほど気密性が高まる」という驚異的な自己封止作用(セルフシーリング)を実現しているのです 。
飽和潜水との戦い:ヘリウムエスケープバルブ

プロのダイバーが行う「飽和潜水」では、極小のヘリウムガスが時計内部に侵入してしまいます。問題は浮上時です。内部に入り込んだガスの圧力で、時計が内側から「爆発(風防が吹き飛ぶ)」してしまうのです 。
これを防ぐために開発されたのが、ケースサイドにある「ヘリウムエスケープバルブ(HEV)」です。 競合他社(オメガなど)が手動でバルブを開ける必要があるのに対し、ロレックスのHEVは完全自動です 。内圧が高まると自動的に弁が開き、ガスを排出します。これは、フランスの潜水会社COMEXとの実地テストで「ガラスが吹き飛ぶ」という失敗を繰り返しながら完成させた技術です 。
結論:ロレックスの防水性能は「過剰」である

2022年に発表された「ディープシー チャレンジ」は、公称11,000mに対し、実際には地球上に存在しない13,750mの水圧テストを行っています 。
ロレックスの「300m防水」とは、300mまでしか潜れないという意味ではありません。「300mまでは何があっても絶対に壊れない」という、技術者たちが保証した最低ライン(Min)なのです 。
904Lステンレスの採用、人工的に深海を作り出す特注タンク、そして全数検査。これら「過剰品質」とも呼べるエンジニアリングの結晶こそが、ロレックスがダイバーズウォッチの王者と呼ばれる所以なのです。

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