2025年が始まったばかりの1月はまだ2週間、ヴァシュロン・コンスタンタンは早くも “今年最高モデル” となりうる逸品を発表しました。ゴールドモデルの発表に続き、この歴史あるブランドは2025年の創業270周年を記念し、ブルーダイヤルを備えたステンレススチール製のヴァシュロン・コンスタンタン ヒストリーク222を発表。この時計は、ノッチ付きベゼルや右下のラグに控えめに埋め込まれたマルタ十字など、 222の特徴を受け継いでいますが、今回はマットなパウダーブルーのダイヤルが採用されています。
今回の新作で最も注目すべき点は素材であるステンレススチール。この時計のブラッシュ仕上げは非常に細かく、まるでサンドブラスト加工が施されているかのよう。このSS製の222を見ても、素材が何であれ、ヴァシュロンの仕上げの素晴らしさはさすが雲上。ポリッシュ仕上げは控えめに、しかし効果的に使われており、ノッチ付きベゼルやミドルケースの傾斜部分に施されています。ラグの上面、ケースが移り変わる部分で傾斜が最も広く、そこから徐々に細くなっていく様子は非常に美しいですね。
SS製の222は金無垢のモデルよりも当然軽く感じられますが、H型リンクのブレスレットによる快適な装着感は当然同じのはず。37mmという直径から想像するよりも大きく見えますが、これは幅広のラグとブレスレットのデザインのためでしょう。とはいえ、7.95mmという極薄ケースのおかげで、大きすぎて扱いにくいということもないはず。ラグがパッキパキで下向きに曲がっているため、ブレスレットがすぐに手首に沿うようになり、装着感が向上するんでしょうね。
ブルーはヴァシュロン・コンスタンタンを象徴するカラーの一つですが、それは当然、オーバーシーズのイメージ。SS製の222を差別化するために、フラットなブルーのダイヤルを採用したのは理にかなっています。このダイヤルは、スチールケースのブラッシュ仕上げと見事にマッチしていると思います。バトン型の針とインデックス、そして12時位置のマルタ十字はすべてホワイトゴールド製、ケースの小さなポリッシュ部分を引き立てる輝きを放っています。
オーバーシーズのような深みとは異なり、222のマットブルーは薄いフォルムを強調し、ホワイトゴールドのアップライトインデックスが立体感を生み出ています。222は2針に日付表示のみというシンプルな構成で、4時位置のインデックスの下に隠すのではなく、3時位置に黒地に白抜きの日付窓をホワイトゴールドの枠で囲んでいます。日付表示の書体も、1970年代のデザインを踏襲しており、この「7」のように独特なセリフ体数字※が目を引きます。
※線の端に「セリフ(serif)」と呼ばれる装飾がついている欧文書体の数字
そして、スポーツモデルには欠かせない要素であるブレスレットについてですが、222のブレスレットは最高峰に違いないでしょう。それぞれのリンクの側面にはベベル加工が施され、特徴的なラインがブレスレット全体を通して、ケースのベベルと合流して、バタフライクラスプへと繋がっています。
リンク同士の間にはベベル加工が施されていないため、光の反射が抑えられ、すっきりとした印象を与えます。リンク同士が密着していることで、まるでローポリゴン※のような効果が生まれています。これが1970年代のデザインを意識したものかどうかはわかりませんが、222を気に入っているデザインの特徴の一つです。
※ポリゴン数(多角形データ)が少ない3DCGモデルのこと。角ばった表現になるのが特徴。
ムーブメントの2455/2は、ヴァシュロン・コンスタンタンの記念すべき年に遡ります。それは250周年で、ジュビリー1755に搭載された2475。22K 3Nイエローゴールド製のローターは、スティールの背景に映え、4Hzムーブメントの40時間パワーリザーブ。フルローター自動巻きでありながら、3.6mmという薄型設計と、ジュネーブシール認証に必要な高度な手仕上げを両立させています。注目すべきは、222のベゼルを模したローターで、表面の大部分が美しいフロスト仕上げになっていること。
多くのヴィンテージ復刻モデルが発表される中で際立つためには、特別な何かが必要であり、ヴァシュロン・コンスタンタン222はその模範となるようなトリビュートモデルではないでしょうか。パウダーブルーのダイヤルは息を呑むほど美しく、特にホワイトゴールドのインデックスの輝きと相まってホント素晴らしい。ケースとブレスレットは、2022年に発表されたイエローゴールドモデルと同じく、最高の仕上がり。SS製のバリエーションが発売されることは、予想の範疇。で、ヴァシュロン・コンスタンタンが270周年記念としてこの時計を世に送り出したということは、2025年の新作にも期待が持てますね。
価格面においても、現地スイスでは日本円で約550万円近い設定なので、日本の定価のありがたさを感じます。
モデル名 | ヒストリーク 222 |
リファレンス | 4200H/222A-B934 |
ケースサイズ | 37mm (D) x 7.95mm (T) |
ケース素材 | ステンレススチール・18Kイエローゴールド マルタ十字 |
防水性 | 50m |
風防(ケースバック) | サファイアクリスタル |
文字盤 | マットブルー・ホワイトゴールドアワーマーカー |
ムーブメント | 2455/2 自社製自動巻きムーブメント ジュネーブシール |
パワーリザーブ | 40時間 |
価格 | 4,752,000万円(税込み) |
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