ロレックス「レインボー」:虹色の輝きをまとったデイトナ
ロレックスといえば、時計愛好家ならずともその名を知る高級時計ブランドです。その中でも、ひときわ異彩を放つモデルが存在します。それは、ベゼルに虹色のサファイアをセットした「レインボー」の愛称で知られる、コスモグラフ デイトナです。「レインボー」はコレクターによって付けられた愛称であり、ロレックスの正式名称ではありません 。
本稿では、この「レインボー」デイトナについて、その歴史的背景、特徴、そして市場価値まで詳しく解説していきます。
レインボー デイトナの歴史
「レインボー」デイトナの歴史は、2012年に発表されたRef. 116598RBOWとRef. 116599RBOWに遡ります 。これらのモデルは、ホワイトゴールドとイエローゴールドで製造され、それまでのデイトナのデザインとは一線を画す、ベゼルに36個のレインボーカラーのサファイアをセットした斬新なものでした。
このモデルの登場は、高級時計と独自の美学を融合させるというロレックスの戦略の一環であり 、高級な宝石装飾を施した時計への高まる需要に応えるものでした。
当初は「派手すぎる」という意見もありましたが 、その後、ジョン・メイヤーやマーク・ウォールバーグといった著名人が愛用したことで人気が高まりました 。2018年には、エバーローズゴールド製のRef. 116595RBOWが発表されました 。これは、ホワイトゴールドとイエローゴールドのモデルとは異なり、ピンクゴールドのケースとブレスレットに加え、「ピンクゴールドクリスタル」のサブダイアルを採用し、インデックスにはカラーサファイアが使用されています 。
レインボー デイトナの進化
「レインボー」デイトナは、2012年の登場以来、いくつかの進化を遂げてきました。
年 | 素材 | ベゼル | 文字盤 | インデックス | ブレスレット |
---|---|---|---|---|---|
2012 | 18Kホワイトゴールド、18Kイエローゴールド | 36個のバゲットカット・サファイアをグラデーションでセット | ブラックラッカーダイアル | ダイヤモンド | オイスターブレスレット |
2018 | 18Kエバーローズゴールド | 36個のバゲットカット・サファイアをグラデーションでセット | ブラックラッカーダイアル、ダイヤモンド・パヴェダイアル | カラーサファイア | オイスターブレスレット、ダイヤモンドセットプレジデントブレスレット |
レインボー デイトナの特徴
「レインボー」デイトナには、以下の特徴があります。
- 独自のベゼル: 最大の特徴は、36個のレインボーカラーのバゲットカット・サファイアをグラデーションでセットしたベゼルです 。
- ケースとブレスレット: 18Kホワイトゴールド、イエローゴールド、またはエバーローズゴールド製で、耐久性と高級感を兼ね備えています 。
- ムーブメント: ロレックス自社製キャリバー4130を搭載し、自動巻き、クロノグラフ機能、72時間パワーリザーブを備えた高精度で信頼性の高いムーブメントです 。
- 文字盤: ベゼルと調和するカラーリングを採用し、クロノグラフのサブダイアル、日付表示、夜光インデックスを備えています 。エバーローズゴールドモデルでは、サブダイアルに「クリスタルゴールド」仕上げが施され、美しさがさらに際立っています 。
- ブレスレット: オイスターブレスレットとダイヤモンドセットプレジデントブレスレットの2種類があり、シーンに合わせて使い分けることができます 。
- 防水性: 100m防水を備え、高級スポーツウォッチとしての実用性も兼ね備えています 。
ロレックスは、1970年代後半からチェリーニモデルのベゼルにマルチカラーのサファイアをグラデーションでセットするなど、「レインボー」の宝石装飾の歴史があります 。
レインボー デイトナの市場価値
「レインボー」デイトナは、その希少性とクラフトマンシップから、高級時計市場で非常に高い価値を有しています。
- 生産数: ロレックスは正確な生産数を公表していませんが、複雑なクラフトマンシップと宝石の選定から、非常に限られた数量しか生産されていないことが分かります 。
- 当時の小売価格: 生産期間中のエバーローズゴールドエディションは約1600万円、イエローゴールドとホワイトゴールドエディションは約1400万円で販売されていました 。
- 現在の価格帯: モデルや市場の状況によって異なりますが、一般的に3000万円から6000万円以上の価格で取引されています 。
- 価格高騰の要因: ロレックスのブランド力、デイトナの人気、そして精巧な宝石装飾が、高価格の要因となっています 。
モデル、リファレンス番号 | 価格(概算) | ケース |
---|---|---|
レインボー デイトナ、116595RBOW | 1億2000万円 | 18Kエバーローズゴールド |
レインボー デイトナ、116599RBOW | 7000万円 | 18Kホワイトゴールド |
レインボー デイトナ、116598RBO5 | 5500万円 | 18Kイエローゴールド |
デイデイト 36 レインボー、128345RBR | 1300万円 | 18Kエバーローズゴールド |
アフターマーケットモデル(ベース:デイトナ Ref. 116520) | 500万円 | ステンレススチール |
その他のレインボーモデル
「レインボー」の愛称を持つモデルは、デイトナだけではありません。デイデイト 36にも「レインボー」モデルが存在します 。
このモデルは、18Kエバーローズゴールド製で、ダイヤモンド・パヴェダイアルとダイヤモンドセットベゼル、そしてダイヤモンドセットプレジデントブレスレットを備えています。10個のバゲットカット・レインボーカラードサファイアが、その名の通り虹色の輝きを添えています。
レインボー デイトナの魅力
「レインボー」デイトナは、なぜこれほどまでに人々を魅了するのでしょうか?その理由は、以下の点が挙げられます。
- 唯一無二のデザイン: 虹色のサファイアをまとったベゼルは、他のどの時計にもない圧倒的な存在感を放ちます。
- 高級感と希少性: 高級素材と精巧なクラフトマンシップから生まれる「レインボー」デイトナは、まさにステータスシンボルと呼ぶにふさわしい時計です。
- ロレックスの技術力の結晶: 「レインボー」デイトナは、ロレックスが誇るジェムセッティング技術と時計製造技術の融合により生まれた、まさに芸術作品といえるでしょう 。
これらの要素が組み合わさることで、「レインボー」デイトナは、時計愛好家だけでなく、ファッションに敏感な人々からも注目を集めているのです。
まとめ
ロレックス「レインボー」デイトナは、その名の通り虹色の輝きをまとった、他に類を見ない時計です 。その歴史は2012年に始まり、素材、ベゼル、文字盤、インデックスなど、様々な進化を遂げてきました。特徴としては、36個のレインボーカラーのサファイアをセットしたベゼル、高級感あふれるケースとブレスレット、高精度なムーブメント、そして視認性に優れた文字盤が挙げられます。市場価値は非常に高く、20万ドル(3000万円)から40万ドル(6000万円)以上で取引されています。