(無駄に長い)個人的な時計界への思い
時計のことに少しではあるが詳しくなっていくと、色々と気になることがあります。そこにはちゃんと理由があるのでしょうが、一般の僕にはわからないことがほとんどです。そんなよくわからないことを僕の思いを込めて、今回は題材にしたいと思います。
ゼニスはもっと評価されるべし!
ゼニス向上委員会会長の私が言わせてもら。これまでいっぱい僕はゼニスさんをイジッてきた過去があるんですが、本当に好きなブランドなんです。嫌いなものは、取り上げることもないです。で、ここ数年、新しいモデルがコレクションに加わったおかげで、ゼニスは単発でブレイクすることがありますが、それでも尚、もっと評価されてもいいブランドの1つだと思っています。高級ブランドが人気になる要因を考えると、デザイン、ムーブメント、歴史、希少性など、いくつかの要素があります。他にもあるかもしれませんが、ゼニスはこれらのポイントをほぼカバーしていると言ってもいいはず。
歴史的な観点から言えば、ゼニスは1865年にジョルジュ・ファーブル=ジャコによって創立されました。その目的は正確な時計を製造することで、ジャコはこれを達成するために “in-house”(社内製造)という用語を偶然に生み出しました。信念は、「品質は時計製造プロセス全体がコントロールされている場合にのみ保証できる」というものでした。これはゼニスが時代を先取りした唯一の瞬間ではありませんでした。1888年に「PILOTe」、後に「PILOT」と、有望と判断した他領域の名称を商標登録しました。 ライト兄弟が飛ぶ前から重要な単語という嗅覚を持つゼニスは、文字盤に「PILOT」の文字を入れることができる唯一の時計ブランドであり続けています。
歴史があることと、時計製造技術が高いことは別のことです。しかしゼニスはとても優れた時計職人であると、1900年代初頭から認識され始めました。1950年代には、ムーブメント製造における大きな進展がありました。ゼニスは1950年から1954年までの間、5回連続でヌーシャテル観光局のクロノメーター賞を受賞。長年にわたり2,330回のクロノメトリー賞を受賞しています。しかし、やはりビッグな出来事は、1969年に発表された “エル・プリメロ(El Primero)” です。これは世界初の高振動クロノグラフムーブメントでした。これは非常に大きな成果で、ロレックスが1988年から2000年までの間、デイトナにおいてゼニスのムーブメントを使用したのは有名ですね。自社生産にこだわることに厳格さに評判のあるブランドが、ゼニスのエル・プリメロ・キャリバーを選んだことは、その価値を示すものです。でも、これもゼニスを僕が好きな要素の1つに過ぎません。
高級ブランドは、他と混同されない独自のデザインと美学を持っている必要があります。ゼニスはこの点をクリアしています。トリコロールのクロノグラフダイアルは、ゼニスらしさそのものです。ロレックスのモデルに似ているとか言いますが、ゼニスの功績は凄いからいいんですよ。
最後に、製造数について。ゼニスはLVMHグループのブランドで、生産数はロレックス、オメガ、タグ ホイヤー、およびブライトリングなどと比べてはるかに少ないんです。CEOのジュリアン・トルナーレによりますと、2022年にゼニスは2万4千本を製造したといいます。実はかなり少ないんですよ、製造数。
総合的に見て、デザイン、ムーブメント、歴史、希少性は兼ね備えたブランドなんです、ゼニス。もっと評価されるべきです。
チューダー、お前もっとやれるだろう!
チューダーファンクラブ会長も務める僕が言わせてもらう。チューダーは紹介の必要がありませんよね。実際、過去10年間にわたるその人気の急上昇は誰も予測できなかったはず。もちろん、ヴィンテージモデルにインスパイアされた時計の需要がハマったり、なかなか買えないロレックスと同じグループだから、などといったいくつかの市場要因がチューダーの成功に寄与してきたのは間違いない。魅力的で選ばれる理由は、素晴らしいデザインだけでなく、ムーブメント、ケース、ブレスレットの品質も高いからです。初めての高級時計を購入しようとする人にとっては、選ばれやすくてオススメしやすい時計ブランドということです。同時に、チューダーは愛好者の要望に耳を傾ける素晴らしい仕事をしているとも言えます。ペラゴス 39などはその例かと思います。個人的な経験から言えば、チューダーの腕時計をそれほど見かけることはないのですが、私自身も何本か所有しており、オススメしやすいブランドに思える。

tudor black bay 54
37mmのダイバーズウォッチであるブラックベイ54を発売したことにも驚かされた。今のトレンドから考えると、ほとんどのブランドが躊躇するかもしれないサイズ。ファンはこれに価値を見いだすんですが、市場で40mmオーバーのモデルを好む人々が多いんですよね。ブラックベイ54なら、女性にもターゲットを広げることができるという点もある。リスクを冒し、ファン向けの市場やトレンドに迅速に対応する姿勢が感じ取れます。また、ブラックベイ P01は、1960年代にアメリカ海軍に提案されたプロトタイプに基づいています。このユニークなデザインは、双方向ベゼルのためのストップシステムを提供するヒンジ式エンドリンクシステムを使用しています。

tudor black bay p01
さらに、ケース素材についてもシルバーやブロンズなど、通常は変色の懸念があるためにあまり見られない素材を積極的に使用。なかなか頑張っていると私設ファンクラブ会長は認めるところだが、もっとやれると思う。それは、文字盤バリエーションです。通常、これはブランドが施せる最も簡単なアップデートの一つではないか。ダイアルの色を変えるだけで、新しい時計、インパクト、そして新規の顧客を増やせるはず。他のブランド(グランドセイコー イニシャルでいうと、GS)は最近、これを頻発している。「楽しやがって、最近」と思う。中の機械は様々なパテントなどがあり時間と労力がかかるが、文字盤なら問題ない。だから最近は色んなブランド(特にGS)は、文字盤に力を入れている。しかし、チューダーの場合、カラーオプションを増やすだけで、もっと良くなると思う。
シンプルなブラックベイ36でも、ロレックスのオイスターパーペチュアルがカラフルな原色を使い大成功。ならば、少しくすんだマットカラーでチューダーは攻めてみてはどうか?ええやん、ホンマ、ええやん(海外で問題になった製品管理問題にはこの際、目をつむる)。
オリスももっと評価されてもいい!
近年、これまでにないほど人々が時計に興味を持っており、これは素晴らしい。これは今まで入手することが難しかった海外の時計の情報が得やすい環境(インターネット)になったことも大きいはず。今では、このようなウェブサイトを訪れることで、あらゆる価格帯の異なるブランドやモデルに関する情報が得られます。
さらに、SNSの影響を受けて、時計はさらに身近な存在になり、新たなファッション意識の高い人達が時計市場に加わる。せかいの不安定な情勢もあり、時計は従来以上に独立した資産として見られるようになりました。これら様々な要因と最近のインフレの影響もあり、ほぼ全てのブランドで価格上昇が・・・一部のブランドは価格を上げることだけで調整し、そうでないブランドは構造的に時計を見直し、値上げの裏付けを技術力を高めることによって競争力も高めています。オリスは後者、そう、後者の道を選んでいます。

ダイバーズ65

アクイス

ビッグクラウン
オリスも豊かな歴史を持ち、機械式時計の入口として選ぶブランドとしてのイメージある。手頃な価格帯で入手可能なことと、デザインセンスがいいのがその要因。つまり、モデルによっては約20万円ぐらいから入手できる。オリスはこの価格帯での主軸ブランドの一つであり、他にはロンジン、ベル&ロス、ノモスなどがライバルブランドか。ダイバーズ65、アクイス、ビッグクラウンなど、非常に魅力的なモデルは人気。現代的なデザインだけではなく、過去の時計からインスパイアを受けたデザインまで多岐にわたります。美的な観点から見ても非常に魅力的であり、それに加えてスイス製で、信頼性と耐久性に優れたセリタムーブメントを使用していました。

アクイス アップサイクル
多くのブランドがその哲学を維持しようと努力している中、オリスはその基準を非常に高い水準で実践しています。彼らの焦点は時計の持続可能性と「より良い変化」に置かれています。地球環境の問題に対する意識を高め、リリースするモデルでこれを示しています。良い例は、リサイクルされた海洋プラスチックを使用してダイアルを作成するアクイス アップサイクルです。
一部のブランドは市場で売り上げが上向きに動いています。オリスもその一つで、正攻法で勝負しています。自社製ムーブメントを開発、2014年にCalibre 110という手巻き式の10日間パワーリザーブムーブメントを初めて発表しました。それ以来、いくつかのバリエーションが登場しています。
このムーブメントは34mmとやや大きめなため、それまでは彼らの大型の時計にしか搭載されていませんでした。しかし、2020年にオリスはこれを修正し、Calibre 400という自動巻きの5日間パワーリザーブで防磁性のあるムーブメントを発表しました。Calibre 400は効率的で正確、日差-3/+5秒という。ムーブメントが小さくなり、より一般的なサイズの時計に収まるようになったことです。このムーブメントを収めるために、オリスはチタン製のProPilot Xなどの新しいデザインを導入しています。ビッグクラウンの新しいモデルもこのムーブメントを備えています。そして価格も上がっております。オリスがこの新しい試みで価格を上げることによって成功するのか?

Calibre 110

Calibre 400
技術的な面では、全く問題ないと思う。一方で、HPで見ると、30万円台のビッグクラウンと50万円近いビッグクラウンが並んでいる。これはどうだろうか?時計に詳しい人は、「キャリバーが新型で~」とか言って、納得はするでしょうが、時計入門者はどうか?好きなブランドだけあって、もどかしい。逆に価格の差が中途半端なので、もっと広げて自社製キャリバーの付加価値を前面に出した方が良いのではないだろうか?でもそれをしないところが、オリスの良いところなんですけどね。
何か、高くない?
多くの人が思っている大きな問題、「時計の値段、高すぎ問題」です。オメガのスピードマスター ムーンウォッチを見てみると、ここ4~5年で相当上がっている。ジャガールクルトのレベルソ・トリビュート・デュオは、2021年に1,320,000円だったが、僅か2年で1,944,800円と定価で60万円以上の上昇です。そのブランドにとっては “適正価格” と言うかも知れませんが、そこまで大きく値上げするか?って感じがする。戦争とかインフレとかわかってるけど、それを理由に “やってるな” と感じてしまう。供給と需要の基本理論では、それらが交差する点を均衡と呼ぶ。効率的な市場では、供給と需要が等しい点で価格が設定され、もし均衡点が満たされない場合、市場に変化が生じます。
雲上ブランドはこの際、無視しての意見ですが、明らかに近年需要は増加しており、供給は比較的安定してきているという。しかし、このような価格変動があまりにも過度になるポイントは存在するのか?常に、高級品を購入できる手段を持つ人々はいますが、時計の価格が上昇するのは不健全な市場に思う。いったいどこまで価格はあがるんだ?
ロレックスの魔法は地獄
時計の世界に初めて飛び立つとき、ロレックスが入り口であることが多い。それはなぜなら、ロレックスは誰もが聞いたことがあるトップブランドだからです。ロレックスは非常に高品質な製品で、時代を超えたデザインを持っています。しかもそれは「成功した証」として世界に示す一つの方法にもなっています。新しく時計の世界に入る者として、時計の知識を得る出発点であり、すぐにその時計が王冠のロゴに恥じないことを理解するようになる。
ロレックスの知識を広げていくと、他の時計を所有することに興味を持つようになります。時が経つにつれて、より幅広くブランドを知り、例えばゼニス、ジャガールクルト、パネライなどのブランドに興味を持ったりするでしょう。ロレックスの名前を持たない他の素晴らしいブランドを知り、コレクションも増える。そして原点のロレックスに戻るという魔のサイクルを歩む。ひたすら買うために回り、底なしに欲しい。地獄だ。

いつになったら、普通にロレックス買えるねん!
これが言いたかった。
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