《ニュース》ONLY WATCH 2023 が不穏な雰囲気に

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ちょっと怪しい雰囲気になっていますよ、ONLY WATCH 2023。知っている方も多いかと思いますが、世界最大、世界で最も注目される時計オークションと言われるまで成長し、創設当初からオークションの盛り上がりに貢献してきたオーデマピゲが、突如として今回の参加を取りやめた、ということです。出品するモデルを製作し、開催を待つばかりだったはずなのに、なぜオーデマピゲは撤退したのか。

情報によりますと、モナコヨットショーの開催代表を長きに渡り務めていたリュック ペタヴィーノ氏によって設立されたデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)のためのチャリティー オークションであるオンリーウォッチですが、”集めた資金を不正に扱っていたのではないか” という疑惑が報じられ、それに反応したのがオーデマピゲということです。このような噂が出たオンリーウォッチですが、オーデマピゲの素早い撤退は、ある意味、ブランドの理念と堅い意思のようなものを感じます。

このオークションは、2年に1度開催されるもので、世界の主要時計ブランドが唯一無二の “作品” を提供することで知られています。当然全てがレアピースなので、ここ数年は高額落札が目白押し状態。2019年にはパテック フィリップのサーモンダイヤルのグランドマスター チャイムが3,100万ドル(当時のレートで約33億8,000万円)で落札され、これまでに販売された時計としては最高額となり、当時、時計界では大きなニュースとして報じられました。このイベントの意義として、ブランドが時計製造の腕前を披露できるということ、また、将来的に同じようなモデルがリリースされるであろう匂わせプラットフォームでもある、というところ。

ONLY WATCH 2019で史上最高落札額となったモデル

海外メディアの情報では、SQY Therapuetics の会計情報を引用し、2005年以来、オンリーウォッチが集めた1億ドルのうち、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療法を見つけるために寄付されたのは半分程度にすぎないと公表。オンリーウォッチは治療法に取り組む研究者に50件の助成金を出しているとしているが、残りの大部分はバイオテクノロジー企業 Synthena とその親会社である前記の SQY Therapeutics に注ぎ込まれている。その後者は、ペタヴィーノ氏が設立し会長を務める慈善団体であるモナコ筋ジストロフィー対策協会が49%を所有しています。

左:モナコ公国の公 アルベール2世 右:ペタヴィーノ氏

確かに、こんな世界的な大規模イベントを20年近く継続し、開催するには費用が相当掛かると思います。がしかし、5,000万ドルもかかるとは到底思えません。また、疑惑を増幅させる要素なのが、ペタヴィーノ氏の慈善団体はモナコに拠点を置いているため、その運営が監視されることがないということです。しかし、同国は慈善団体をより厳しい監視下に置く法律を間もなく可決する可能性がある(予定)といいます。

このような報道に関して、オンリーウォッチのスポークスマンは、「これらの非難は深刻であり、私たちの慈善団体の実情と、事実とかけ離れています。私たちの運営方法、現在および将来の利害関係、そして追加データを提供する機会を設けます。現在までその金額の約半分が費やされており、その大部分は私たちの目的の中心であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー患者の治療薬を見つける取り組みに費やされています。」と語っています。

今回の撤退についてメディアがオーデマピゲに確認を求めた際、オークションから撤退したことは認めたものの、「現時点ではこれ以上のコメントはない」と述べた。なんて大人な企業なんでしょう。素晴らしいですね、オーデマピゲ。

そしてオーデマピゲを追随するブランドが出るのでしょうか。僕が一番気になるのは、今回出品予定だったモデルが、幻となり、逆にウルトラレアモデルとなってしまうであろうことです。

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