時計の転売について考察する 其の弍
ウチの家にはモノノケか妖怪が住んでいるようで、生息数の多い有名な「妖怪リモコン隠し」はもちろん、「洗濯ズボンにティッシュ忍ばせ」や、「XVIDEOS観ている時に限りイヤフォンジャック抜き」がいます。今度、お祓いしてもらうことにします。
さて、以前にも”時計の転売について考察する“というので屁理屈っぽくではありますが、私なりに客観視した内容を投稿しました。
今回も豪快に屁理屈を捏ねたいと思います
m(_ _)m
転売の定義とは、
「一方から買った物を、更に他に売り渡すこと。」
とあります。ここには “犯罪” という意味は全く含まれていません。しかし転売を業として行う場合には、古物商許可を取得する必要があります。また、東京オリンピックを見据えて、「チケット転売規制法」が2018年末に成立しましたが、実はこれ、興行のチケットだけで、しかも業として行った場合のみ適用されます。
結局、「迷惑防止条例(ダフ行為)」など都道府県の条例を当てはめたり、販売元が購入者以外の使用を無効にするシステムを取るのが現状です。転売を毛嫌いされる方も多いかと思いますが、ここはあえて私見を述べたいと思います。
皆さんは、オー・ヘンリー作の短編小説「賢者の贈り物」というのをご存知でしょうか。知ってる方は読み飛ばしてください。
“One dollar and eighty-seven cents. That was all.“
「1ドル87セント。全部か…」
という文章から物語は始まります。貧しい夫婦。明日はクリスマス。妻のデラはつぶやきます。
「1ドル87セント・・・」これは彼女が毎日必死に貯めたお金。
これでは夫のジムにX’masプレゼントを買ってあげたくてもムリ・・・
でも彼女には宝物が一つだけありました。それは“長くて美しいブロンドの髪”です。これを彼女は売ることにしました。
夫のジムが大切にしている宝物の“金の懐中時計”。でも革紐がボロボロでした。夫想いのデラは自慢の髪を売ってかき集めたわずかなお金で、その金の懐中時計にとてもよく似合う、チェーンを買いました。
一方、帰宅したジムは風貌が変わったデラを見て、とても驚きました。
「えっ?! その髪… せっかくX’masプレゼント買ってきたんだけど…。」
渡された包みの紐をほどき、やがて泣き出すデラ。そこにはかつて彼女が憧れていた、自慢の髪に似合う鼈甲(べっこう)のクシが用意されていたのです。そのクシを買うために、自慢の“金の懐中時計”を質に入れたというのです。
これが大まかなあらすじです。これは大変有名な相手を思う気持ちのすれ違いであり、美談として、演劇でもよく使われるストーリーです。この物語を読んで
「野郎、金時計を転売しやがったな。」
とはならないでしょう。
また私の姪が「経済的理由で大学進学を諦めた。」と聞いたとき、手持ちのコレクションを2本売って学費を一旦は(諸事情があって)彼女の両親ではなく私が工面しました。彼女は少しずつではありますが、私に返金しています。「只今キャンペーン中」などとナンダカンダ言いながら、返金さないようにはしています。気持ちの問題です。この話を友達に話したところ(人に言うところが私の器の小ささ)、賛辞に近いものを頂きました。
かと思えば、時計を買い始めた当初は、ただただ「価格が上昇したから」という理由で売ったこともあります。
行動には全てにおいて背景があり、その背景を他人が知る由もありません。
ここで先日、ツイッターでフォローさせて頂いている方のツイートを拝見しました。少し切り口の違うその考えは同意できる内容も多かったのも事実です。
投稿者の方は、「プレミアムの付いた時計は買いません」と言っています。立派なものです。海外でよく見かける「日本製品不買運動」のような草の根運動的なことは、もしかしたら、転売減少への大きな足掛かりになるかもしれません。言うだけではなく、自らの行動で示す良い例です。「並行店から買いません」ということで、「プレミア価格の付いた並行品は買わない運動」です。
並行店が、「その物の定価以上で買い取ってはいけない」という法ができれば、こういう事態にはならないのでしょうが、難しい。モノには、その当時の物価から定価が付けられています。
また、並行店は世の中の”受け皿“の役割もあります。上記した学費の面でも助かりましたし、故人のモノを引き取ってくれる場でもあります。私は並行店に対するイメージとして、「市場の縮図」だと思っていますので、大いに参考になっています。
私は時計のことが大好きですが、このような事案では”善悪“を判断しかねます。世間に「これが悪だ」と発信できるほど自分に自信がありません。自分の”善“が必ずしも”善“とは限らず、自分の”悪“が必ずしも世間の”悪“とは限りません。
日本では心の中の核である思想は自由です。たとえ、「~を殺したい」という思想を持っていても、公権力によって拘束されたりはしません。これは憲法19条で保障されています。しかし、これを行動に移すのはもちろんのこと、発信してしまった時点で犯罪となります。
ここでもう御一方のツイートをご紹介したいと思います。
1
少し時計の転売について考えてみたいと思います
長文になりますので面倒くさいと思った方はスルーして下さい
転売の定義って難しいですよね
法律で禁止されているわけではないですし、為替と需要供給バランスで決まりますので一概に悪と決めつけることは出来ません— コバテツ (@tetsu16613) October 26, 2019
言いたいことは全てここにあります。素晴らしくまとめられており、私みたいにダラダラ書いていません。そして私が強く同意した部分は「10番目」、ここです。
10
長々と書きましたが、私が今回1番言いたかったのは、どんな理由であれ時計を売る時には、黙って、そっと売ってほしいということです
必ず、どんな理由であっても炎上の引き金になり、その後の言い訳は燃料投下にしかならないからです— コバテツ (@tetsu16613) October 26, 2019
いやそれにしても、よく書かれています。この投稿、
「私がツイートしたことにしてもらえないか?」
と交渉してみたいと思うほど素晴らしい内容です。
話を戻しますが、炎上目的で転売などを投稿されている方は本望でしょうが、しかしそうでないなら、わざわざ言わない。今はSNS吊し上げ時代です。匿名だと思い込み、本当の意味やその事実の背景も知らずに揚げ足を取ったり、叩いたり、事象によっては事件の犯人にまで仕立て上げられる世の中です。
また、今の世の中、匿名なんてありません。表に見えないだけで、中身は丸見えです。そのリスクを念頭に置いておく必要があります。一個人の行動を非難し、執拗に追い詰めるような行為は平成29年6月14日より抜本的な改正施行されている法律第81号「ストーカー行為等の規制等に関する法律」というのがあり、その第二条8項3には、
「この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(第一項第一号から第四号まで及び第五号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。」
という記述がありますので、面白半分で他人を非難するのは辞めておきましょう。捕まった後にほとんどの人がいう言い訳、
「面白半分で・・・」や「そんなつもりはなかった」、はたまた「以前、この人に悪く言われた」などと言ったところで、自分の行動は白紙撤回されることもなく、犯罪です。
それに比べりゃ、転売なんてかわいいもんです。でも「わざわざ転売行為を言わないでね!」ってことです。
そして「人のことを許し、慮れる(おもんぱかれる)人間こそ、ロレックスが似合う」と日々私は思っております。
-
前の記事
A.ランゲ&ゾーネ 初のスポーティモデル 「オデュッセウス」爆誕! 2019.10.27
-
次の記事
GLASHÜTTE ORIGINAL PanoMaticLunar Rose “Salmon” Opaline Ref.1-90-02-12-32-XX 2019.10.29