ROLEX Oyster Chronograph “KILLY” Ref.6036/6236

レア度★★★★★

「キリー」とは

デイトナの出現によりクロノグラフがロレックス・スポーツモデルの象徴となる以前に、わずかな期間であるがドレス系クロノグラフが制作されていた。それは、トリプルカレンダー搭載のオイスタークロノグラフ通称「キリー」。今回はこのコンプリケーションモデルの希少性を紹介したいと思う。1950年代に入ると、精度・防水性・耐衝撃性などが実用的な水準に達し、新たな付加価値を求めて開発が行われた。時計業界は、トリプルカレンダーやムーンフェイズ機構を開発・搭載しだしている。ロレックスは「オイスター・パーペチュアル」の開発により、実用時計の実質トップブランドへとのし上がり、さらなるステージアップを目指した。
そう、ドレス系モデルのラインナップの強化が行われた。その中の一つが、「トリプルカレンダーオイスタークロノグラフ」Ref.6036である。「キリー」という名前の方が有名かもしれない。「キリー」とは、伝説的スキーヤー・Jean-Claude Killy(ジャンク=ロード・キリー)に由来しており、後継機のRef.6236も見た目はほぼ同じということからアンティーク市場ではRef.6036/6236の両方のレファレンスが「キリー」と呼ばれている。アンティーク市場では、「デイトナ・ポールニューマン」が圧倒的な人気ではあるが、希少性という観点から、このコンプリケーションクロノグラフは、コレクターが非常に多い。

Ref.6036 Oyster Chronograph “KILLY” 1st

伝説的アルペンスキーヤーであるジャン=クロード・キリーが着用していたことから「キリー」の名で知られるようになったこのクロノグラフには、2つのレファレンスがある。最初に誕生したのが、ベゼルと一体化したケースを持ち2ピース構造となったRef.6036で、1953年頃から数年のみ製造されたと言われている。そんな中、針やインデックスの組み合わせの異なるものが5種類以上確認されている。インデックスは埋め込み式で、パウダー文字盤を持つ。搭載するのはバルジュー社の”Cal.72B”だが、カレンダー機構が追加されているため便宜上“Cal.72C”と呼ばれている。

<オークション>2016年クリスティーズ・約23,750,000円落札

 

Ref.6236 Oyster Chronograph “KILLY Mark I”

1958年頃からRef.6036の後継として誕生したのがRef.6236である。一番の違いは、2ピース構造からベゼルとケースを別々にした3ピース構造のオイスターケースが採用されたことである。これにより、ケースの直径ギリギリまでベゼル外周が拡大され、フェイスデザインがすっきりし、スポーティな印象を与えている。また、革ベルト仕様・ブレス仕様といった区別もなくなり、両サイドにラグ穴が設けられている。さらに、Ref.6036では様々なバリエーションの組み合わせがあったダイアルに対し、Ref.6236では砲弾型インデックスとアルファ針の組み合わせが基本となっている。ただ、初期製造分には、埋め込み式のバーインデックスとバウダー文字盤をもったRef.6036のパーツを転用したであろう個体が存在しているのも確かで、これがまたコレクターから人気を博している。

<オークション>2013年クリスティーズ・約37,200,000円落札

 

Ref.6236 Oyster Chronograph “KILLY Mark II”

 

文字盤はツヤのある塗装に改められ、文字盤上にセッティングした一般的なアップライトインデックス、そして、トリチウム夜光が塗布された、Ref.6236のスタンダードモデル。1958年から59年頃に誕生し、心臓部であるムーヴメントはRef.6036から引き続き採用されたバルジュー社のCal.Cal.72Cである。スタンダードとはいえ、Ref.6036よりも製造数が少なく、スポーティな雰囲気が強まったデザインがコレクターからの人気も集めているため、海外オークションではまず2000万円をくだらないであろう。ちなみに当時のロレックスは、主にヨーロッパとアメリカ市場で展開されており、販路に応じてダイアルの表記を“CHRONOGRAPHE”“CHRONOGRAPH”“ANTI-MAGNETIQUE”“ANTI-MAGNETIC”というように細かなスペルの変更をし、販売されていた。

<オークション>2015年クリスティーズ・約15,200,000円落札

 

Ref,6236 Oyster Chrnograph “KILLY Mark III”

1958年~1959年頃に誕生したマークIII。基本的にはマークIIと大きく変わらないが、針とインデックスの夜光が取り除かれた個体となる。これには訳があり、1950年代後半にアメリカで放射線のラジウムの使用に規制が掛かったことが影響しているのであろう。インデックスとメモリの間に塗布されていた夜光がなくなったが、インデックスを伸ばすなどで、空いたスペースを埋める対応は特になされなかったため、夜光有りに比べてフェイスデザインがスッキリとした。元々、プレステージラインとういう位置付けということもあり、「夜光あり」同様に製造数が少ないため希少価値は高い。海外オークションでも出展されることは極稀で、「キリー」の中でも入手難度はトップである。

価格不明