「日本語の難しさ」を知った日

 

㊟全く時計とは関係のない話です

6月20日父の日なんです。私は女性から見たら全くダメな人間で、記念日やカレンダーに書かれている「〇〇の日」とかを全く気にせず今まで生きてきています。せいぜい、自分の誕生日や子供の誕生日を知っている程度というクズなんです。

そういう私なので基本的に父の日だからと言って特別プレゼントなどを家族からもらうことも基本的にない寂しい人生。記念日なんて関係なく、好きなモノを買っちゃう性格なのでそれでもいいのですが、なぜか今年、この日は「父の日枠」をいただいた。

「常識の範囲内で何か買ってもいいですよ」

と我が家の鬼舞辻無惨ことヨメーンからお言葉を頂いた。

その「常識の範囲内」という私に委ねられたそのバトン。これはこれで少し困る。さすがに100万円を超えるロレックスやその他私の趣味である高級時計となると、「常識の範囲内」とは言い難いのではないか。

あれこれ考えながら最初に向かった先はここ。

 

 

 

ザ・ロレックス

もしかして人気モデルが買えちゃうかも♪ なんて心躍らせながら入店しましたが、何も買えずに退散しました。やはり「NOT 常識の範囲内」という神のお告げなのかもしれません。

別に無理して買う必要はないのですが、無残様ヨメーンの許可を得、堂々と買い物ができること自体、ミラクル。じっくり大阪で探したいと思います。

そんな時、ファッションにはかなり縁がないオサーンでも知っているブランドを発見。

 

 

 

ギュッチ

そう、ケリンググループの柱ブランドの一つ、ギュッチ・・・いや、グッチです。私の知り合いが大好きなブランドということで、よく彼が着ているのを見ているですが、ハッキリ言って、全く私の好みに合わないと思っていた。

だって、40過ぎてドラえもんのスウェットとか、おれはムリ!

そう思っていました。でもせっかく店の前なので入ってみることに。綺麗な女性店員さんだったらルンルンだし♪  性欲  好奇心だけは旺盛なんです。

だがしかし!案内してくれたのがだった・・・_| ̄|○

もう買わない。男から買ってもテンション上がらないから!

少し不服な状態で店に入る。しかし元々どんな服を売っているのかもたいして知らない私に不安がよぎる。案の定、店内に吊ってある洋服はどれも苦手な感じ。

派手ハデ系ばかりぢゃねーか!

こりゃダメだわ。そんな私を見て、男性店員さんが聞いてくる。

「どんなお洋服がお好みですか?」

正直に答える。

「 “グッチ” って書いてないグッチが欲しい。ここにあるのは好みじゃないから、パスです。ありがとう。」

断る時はスパッと言ってあげるのが漢の流儀、相手も素直に理解できる。オサーンの半分は “やさしさ” でできている。

ではサラバ!

店を後にしようと動き出す私にその男性店員は言う。

「こんなのもございますが。」

すると引き出しからポロシャツが。ディスプレイ棚の下に引き出しが付いていて、そこにそれなりの量の服が入っている。

「ん?」

悪くない。よく見ると、その男性店員もえらいイケメン。こんなに腰を低く接客するイケメン。好感が持てる。 ロレックス 某時計店とは大違いだ。

「めっちゃ、男前やな、あーた。」

思わずデヴィ婦人のような “あーた” が口から飛び出す。

「これは、お洒落に着こなせると思いますよ。」

イケメンが言う。腰の低いイケメンはそれだけで説得力を2割増す。

父の日枠をここで発動することに決める。

「それ、ください」

普段お世話になっているファッションセンター しまむら(FSと略すと恰好いい)の薄いナイロン袋とは違い、シャツ1枚でかなりデカイ紙袋。少し困ってしまうがそれは仕方がない。

シャツが箱に入っている。私が愛用している FS は、何度も言うが薄いビニール袋だけだ。店員さんの名刺なんてもらうこともない。そもそも FS の店員は、近所のパートのオバハンなので、名刺なんて持っていない。

箱を開けると、薄い紙で包まれている。この紙の薄さが、丁度 FS のビニール袋と同等だろう。

私の「父の日」としてゲットしたのは、こんなシャツということです。やっぱり買い物をすると気分が高揚する。

家でニコニコしていたら、シャツの価格を知った無残様が言った。

「一生そのシャツ1枚で暮らせ。もう何も買うな。」と。

 

「常識の範囲内」という日本語は、時として絆を引き裂く。