日々是、思ふ 其の肆拾陸
「日々是、思ふ」は、オサーンがちょっと時計とは関係ないこと(時には関係あること)、思ったことを綴る時事的コラムです。基本的には私の屁理屈が多く、発信して自己満足するところです。
数か月前から歯医者に通っている。ただでさえ歯医者の通院期間って長いのに、コロナの影響でかなり長引いている。
実は、今通っている歯医者は同級生が開業している。通いだした時はそれを知らなかった。ただ単に、「超ペッピンで巨乳の女性歯科医が〇〇にある」という噂を聞き、純粋に「歯を直したい」という気持ちで、自宅からは少し遠いがその歯医者に決めた。そこに通うことにより、歯は治るし、60分18,000円のムフフなお店に行く頻度も減るだろうという良いことづくめなのだ。そこの歯医者に行くと決めた時から、上から覆いかぶさるように治療してくれる系の動画も何回か観た。4Kで観た。しかし通院初日、その噂の彼女はおらず、代わりに私と同年代のオッサンが担当医として座っていた。
落胆した私は完全に戦意喪失した兵士のようにうなだれながら処置室に入る。直前までマスクをしていた私が、治療のためにマスクを外す。するとその歯科医がいう。
「アッ、ヤッパリ!」
いきなり口を開いたと思ったらそう言われたので、もしかして私は “数万人に一人の割合とかで存在する歯並びの持ち主” とかそういう類の「アッ、ヤッパリ!」だと思った。しかしそうではなかった。
「久しぶりやな、オサーン(実際は本名で呼ばれる)。」
患者の名前を呼び捨てにするけしからん医者だと思った私はその歯科医を睨みつける。ただでさえ、巨乳からクソ親父に変わった時点で殺意もある。
「俺だよ、オレ!」
まさか40代半ばで “オレオレ詐欺” を吹っ掛けられるとは思わなかった。しかもクソ親父から。そんなことには騙されない。
「金は払わんからな!」
断る時は、相手にしっかり伝わるように言うのが鉄則。お前の悪事はお見通しだ、とばかりに抵抗する。しかしおもむろにその歯科医はマスクを外した。すると小学校5~6年の時の同級生だったようだ(ハゲていて、わかりづらかった)。
「昔話はいいけど、急いでいるから治療してくれよ。」
この歯科医とは別に取り立てて仲が良かったわけではない。思い出もそれほどない。懐かしいが、中年オヤジに興味は1mmもない。しかしこの歯科医、後で聞いたのだが腕は良いらしい。
「じゃ、行くぞ。ほら口、ハイッ!」と客に対して命令口調だ。しかもガリガリしながら時々「クソー」と言って舌打ちしたり、「アレッ?」と小首をひねったりするので、「エッ?何か予想外のことでも発生しているのか?」と、無防備な私は不安になる。
そんな不安な時間が終わり、単刀直入に言う。
「女医って聞いてたのに、詐欺か。そんなウソの噂を流してまで儲けたいのか?」
話を聞くと、どうやらその女医は彼の娘だったようだ。ならば、患者からの強い要望ということで、2回目からはこの娘にしてもらうよう、帰り際に受付の女性に伝え、次回の予約を取った。
2回目に行ったとき、中に見える医師が女性だった。確かにマスクはしているが美人オーラが出ていた。何より、胸元の白衣が先日観たカリビアンコムの動画以上に美しい。女神だ。それだけで気分が良い。名前を呼ばれて中に入ると彼女は奥へ去り、代わりにハゲ親父が白衣をまといながら現れ、バトンタッチされた。
それから毎回、「クソー」と「チェッ!」の舌打ちを聞き続け、60分18,000円のお店もやめれない。
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