日々是、思ふ 其の肆拾伍

日々是、思ふ」は、オサーンがちょっと時計とは関係ないこと(時には関係あること)、思ったことを綴る時事的コラムです。基本的には私の屁理屈が多く、発信して自己満足するところです。

新型コロナウイルスの波が、先進国ではワクチン接種者が増えていることもあり、徐々に落ち着きだしているようです。しかし私たちの国、日本ではまだワクチンに関しては遅れを取っているようです。これは、日本の法に基づいて行われることや行政の手続き等もあり、海外のようなスピード対応は難しいのが現状です。ある意味、日本という国は慎重な対応ともいえる。第一、今まで使われていない新しいワクチン(薬)を、データがない状態で国民に摂取させるリスクは高い。今回の新型コロナウイルスワクチンの接種スタートですら、私の肌感では、これでもスピーディに思う。
※個人の感想です

血中酸素濃度と脈拍を家庭でも計測できるパルスオキシメーターなるものが、このコロナの影響で一般家庭でも使われるようになっている。

血中酸素濃度は字面の通り血液中の酸素濃度となるのだが、血液中のヘモグロビンは酸素と結びつく性質があり、酸素と手をつないだ状態だと赤く見え、酸素と別れると黒く見える。この赤いヘモグロビンを測定することによって、酸素濃度を計ることができるという。

ごく一般的な健康な人の数値で90台後半であり、「新型コロナウイルスに感染し、血中酸素濃度が下がって危険な状態だった」と言われる人でも90前後ではないでしょうか。相当苦しい状態だと思う。

しかし以前も話題にしたことがあるが、今年亡くなったウチの親父は肺の病気で約8年間苦しんだ。そんな彼が亡くなる1年前辺りなんかは、血中酸素濃度が70台~80台だった。しかも意識もしっかりとしており、ゆっくりではあるが歩いてトイレに行ったり車に乗ったりしていた。もちろん酸素ボンベは必需品だったが。

そして晩年には50台に度々陥り、さすがに苦しく話はできる状態ではなかったが、意識ははっきりとしており、筆談をしていた。

そうなると、70台に上がるとかなり元気に感じるようだ。

「おぉ!親父、顔色良いな、今日。」なんて声を掛けていたのが70台だった。恐らく自分が急にこの状態に陥ると、意識がなくなると思う。しかし親父はこれで慣れていた。そんな時、よく頭をよぎった。

“ダーウィンの進化論” だ。過酷な状況に対応する能力。生き物は環境に順応しようとする。対応できれば生きていける。生き物の凄さを感じた。「生きていく」には、強さが最優先ではない。強い者だけが生き残る弱肉強食なんてのは、人間社会にしかないのかも知れない。自然界では適者生存だ。その環境に適していれば、弱くても生きていける。その環境が変わってしまっても子孫を残す可能性を広げるために、突然変異も頻繁に起こる。ウイルスも生き物だ。変異を繰り返して生きていける形を新たに作り出す。生き物として当然だ。

現段階で「無駄であり、非効率なこと」が重要であり、結果、それが無駄ではなくなる時に種の保存ができる。大きく変化する環境に、無駄が適応することが往々にしてある。これは私自身が経験している。何の脳力もない、無駄なことしか仕事でしていなかった私が、たまたま空いたポストに入り、みんなが嫌がる仕事を適当な性格ゆえにこなし、精神的に潰れる人間が多い部署に異動となると、サボりながら仕事をしていたおかげで全くストレスなく消化し、何も秀でた才能のない人間にも関わらず気が付けばそこそこの立ち位置まできた。効率ばかりを追求していたら、ここまでなっていなかったに違いない。だから私の部下は、自由に仕事をしているし、それでいい。何事も、フレキシブルなのが成長させると思っている。知らんけど。会社が傾いたら、ゴメン。

数十年前、時計が好きで50万円ほどのロレックスを買った時、手が震えた。コツコツお金を貯めて次の時計を買う喜び。時が経ち、200万、300万の時計を年間数本買う。まさに適者生存のように見える。しかし実際、この世界は僕にとって全く余裕がない。もういっぱいいっぱいの背伸びをしている。そろそろオサーンは絶滅する。