日々是、思ふ 其の肆拾参

日々是、思ふ」は、オサーンがちょっと時計とは関係ないこと(時には関係あること)、思ったことを綴る時事的コラムです。基本的には私の世界観なので、100人に1人でも共感してもらえれば本望です。共感できなくて当然です。

㊟今回は競馬の話となりますので、興味のない方も多いと思います・・・

今回も人事異動についての話となってしまうが、4月は新入社員と人事異動の時期。希望通りの部署に行けた人もいれば、”墓場”的な部署へ行くことになった人もいるかと思います。異動対象者全員が、適材適所という感じで異動を決めるわけではないので、問題が発生することが毎年起こります。

これは人間の世界だけではなく、人間に使われている動物の世界にもあります。その一つが競馬の世界。私は競馬が好きで、特に血統に関しては詳しい部類に入ります。馬券は年に1回買うかどうか、という程度ですが毎週必ずチェックしています。

さて、この競馬と人事異動についてですが、競馬の世界に生を受けた馬には過酷な現実が待っている。無事にデビューを迎えられるのも大変で、一生を手厚く面倒見てもらえる馬はほんの一握りだということは、何となく知っている方も多いと思う。結果が全ての世界。その結果も人間が決めたルールの基という、馬にとっては理不尽な世界です。

先日ニュースで懐かしい馬の名前を見た。その馬の名前は、アグネスゴールド。現役時代はデビューから4連勝。これだけでも競馬の世界では凄いこと。しかし怪我の為、大きなレース前に休養に入り、復帰後は3連敗。結局体質の問題もあり引退してしまった。

この馬の同期のライバルには、アグネスタキオンというこれまた同じ馬主の凄く強かった馬やジャングルポケット(同名のお笑い芸人はこの馬から取っている)、マンハッタンカフェというこれまた強く、ハイレベルな年だった。そうなれば、いくらデビュー当時は活躍しても尻すぼみの成績だと一層、影が薄い。

種馬となり血統は良かったが、同じような血統で、もっと戦績の良い馬などライバルが多く、種馬となっても交配相手に恵まれなかった。そうなれば、負のスパイラル。しかも種馬になって子供達がデビューするまで、約3年間は結果が当然出ない。子供がデビューしていないにも関わらず、結果として子供がデビューするかしないかの時期に、アグネスゴールドは海外へ売られた。残念ながら日本でデビューした子供に、大きく活躍する馬はいなかった。

アメリカ・フロリダの中堅牧場であるラムホームサウス(Lambholm South)という新天地へ行ったアグネスゴールドだったが、ここでも僅か1年で今度はブラジルへ売られることとなった。

しかしここで運命が大きく好転する。購入した牧場のオーナーが、ブラジルの一流牧場主だった。ちなみにブラジルやアルゼンチンでも競馬はさかんに行われており、かなり強い馬はアメリカに移籍することもある。一流牧場には、一流の血統や母馬として良い成績を残している馬が多く繫養されている。ここでやっと交配相手にめぐまれることとなったアグネスゴールドは、ブラジルで旋風を巻き起こす。ブラジルでデビューした1年目の子供が活躍し、2年目にはG1と呼ばれるブラジル国内最高峰のレースを勝つ馬が出た。こうなれば人気種馬となる。そしてとうとう昨年、ジャネールモネイ(Janelle Monae)という米国の歌手の名前を付けられた馬が無敗でリオネジャネイロ牝馬三冠を達成した。その他にも多くのブラジル国内のビッグレースを勝つ馬を輩出。

良血ながら日本では同系統のライバルが多かったという理由で重宝されず、環境の違う海外へ放り出されたアグネスゴールド。辿り着いた地球の裏側、ブラジルで大きく花を咲かせたその結果は勇気付けてくれるものがある。

人事異動で慣れない部署で悪戦苦闘している方々、真面目にしていれば必ずとは言えないが、誰かが見ている可能性は高いし、助けてくれる。そして私も今回の人事異動で、全くの畑違いの部署へ行くことになって苦しみもがいている。毎日睡眠3時間。誰か助けてくれ。