日々是、思ふ 其の肆拾壱

日々是、思ふ」は、オサーンがちょっと時計とは関係ないこと(時には関係あること)、思ったことを綴る時事的コラムです。社会派ハードボイルドとでも言うべきか。100人に1人でも共感してもらえれば本望です。
基本、「オサーンの愚痴の掃き溜め」である。

親の体調が悪くなり、「親にとって自分はどんな息子だったのか」と考える。しかしそれは、私自身の考えであって、父親がどう思っていたのかはわからない。小中学生までは大好きだったが、正直言って、それ以降は親父のことが好きではない時期も多々あった。たくさん迷惑もかけた。

親子の事を考えていると、ふと大塚家具のニュースを思い出した。ご存じの方も多いと思うが、父親と娘の経営方針の相違により、会社が分裂するということになった。この話は、経営(売上げ)が下降線を辿ってしまったがために起こった騒動で、経営不振でなければ起こらなかっただろうと思う。

少し調べてみると、大塚家具の創業者であるK氏(父親)の販売方法は、なかなか巧妙だったようです。例えば入店した客に案内係としてコンシェルジュを付ける。その係が客の探している商品を店内から数多く提案。丁寧に粘り強く接客し、その中から比較的買いやすい価格の物を「選ばせる」という方法だったと聞く。選択肢を同業他社ではなく、その店の商品に限らせるように仕向けるという。そしてその価格設定は、決して同業他社に比べてそれほど安いわけではなかったらしい。

この販売方法は、相手の心に入り込んで「ここまでされたら買ってあげようかな」と思わせる接客、ある意味、断りづらいようにしていたのかも知れない。しかし結果、購買者が満足したのならそれでいい。

しかしながら人間心理を突く練りに練った営業方法だったにも関わらず、親子喧嘩をしてしまうというのは、その時点で売上回復は難しい。なぜなら言い方は悪いが、IKEAやニトリとは違って元々高級路線の家具屋とは何を売っているのか?家具って通常の用途以外に「縁起」も含まれている商品だと思う。特に高級家具なら。結婚や引越しに際して購入する人が多い。ということは、”幸せ”を商売にしているところが揉めている時点で、その商売は詰んでしまっているのではないか?

私は経営に関して全くのド素人なので大きく的外れなことを言っているのかも知れないが、客の立場の私は少なくともそう思った。

相手の心理を考えれば、「そうした方がいいのになぁ」とか、「それはやったらダメなのになぁ」と思うことが他にもある。最近のニュースではこれ。

橋本氏に「セクハラ意識ない」 自民・竹下氏重ねて擁護

自民党の重鎮、竹下氏。東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長をフォローしたいと思っての発言なのだろう。過去に橋下氏が行ったセクハラ疑惑を一蹴しようとした。その一蹴の方法が、「ハグをすることはスポーツの世界では当たり前」というような趣旨の発言。

これに対し多くの人たちが違和感を感じ、結果として “炎上” してしまった。竹下氏は本当に橋本氏をフォローしたかったのか?本当に彼女を会長としてこれから応援したいと思っているなら、あの発言は間違っている。なぜなら、橋本氏が完全にセクハラを否定していたのなら別だが、彼女はその行動を真摯に反省している。ということは、過去の出来事がセクハラだと本人が認めている部分もあるのだろう。だからこそ、彼女は反省している。

なのに竹下氏が「問題のない行動」と言い切ってしまったら、完全に真逆の効果が生まれる。なぜ 間違った “かばい方” をするのか?彼女のことを応援してやりたいのなら、本当は何も言わないのが良いのかもしれないが、過去のセクハラについて言及するのなら、「彼女は間違ったことをしたので、それはしっかりと反省して、今後はより一層気を引き締めて役目を果たしてもらいたい。」とでも言えなかったのか。何か間違いを犯した人を本当にかばいたかったら、かばうような発言はダメということがわからいのか。

そんなニュースを目にして、いつも家では優しかった親父が、人前では厳しかったことを思いだした。