日々是、思ふ 其の参拾捌
『日々是、思ふ』は、私、オサーンに起こった出来事や、目・耳にした情報を如何にしてインテリっぽく発表するかを試行錯誤しながら文にしているコラムです。
先日、会社の食堂で昼ごはんを食べた後、複数の課の若手数人と話をした。新人たちがどんなスタンスで仕事に取り組んでいるかを聞きたかった。もちろん日々、彼らの仕事を多少なりとも目にしているし、彼らの上司からの報告も受けるので、大まかに理解をしている。
楽しく話をしている時に、「将来の夢」についての話になった。順番にひとりずつ言ってみることになったが、言わないといけない雰囲気にはしたくないので、あるなら「ある」だけでもいいし、なくても「ある」と答えても何ら私にとっては問題なかった。その答えに正解はない。
その中の一人が、ノリノリで夢を語った。結構イケメンの彼(便宜上Aという)だが普段の仕事は人並み、特に秀でた印象はない。勝手な評価だが、適当にさえ見える時もある。しかしイケメンなので、女性からの人気はそれなりにある。少し俺はひがむ気持ちもあるが、精いっぱい平等には見ているつもりだ。
Aの語った夢に女性陣やAの同僚からも「へぇ~、凄い!」や、「是非叶えて欲しいし、恰好いい!」なんて賞賛されていた。私もそのAの語った内容に、「いい夢持っているね。」と最初は言った。
しかしその後の雰囲気に違和感を感じた。私が客観的に見て仕事を真面目に一生懸命していると思う社員の一人が、「俺、別に夢ってないんですよ・・・」といった。そうすると彼の周りが、「ダメだなぁ」とか「そんなんでモチベーション上がらないんじゃないの?」とか少し否定的な内容を言った。さっき夢を語ったAも、「何か夢持った方がいいよ」と声を掛けていた。
何これ?
夢持っている人の方が、上なのか?評価されるのか?私はそうは思わない。夢を持つことはいいと思う。でもこの「いい」は、「持つことが上」ではなく「もってもいいし、もたなくてもいい」という意味だ。持っているからと言って決して “夢追い人=上” ではない。
私は夢を語ったAに、それとなく「ところで今の仕事って、どうなの?」と聞いた。夢がある方がモチベーションが高く仕事しているはずだ。するとAは、「希望は〇〇課で働きたいんですけど、なかなか異動できないですね。パフォーマンスが発揮できないというか・・・」という。
私には、「俺は、こんなところにいるべき人間じゃない。」と聞こえた。Aがそう思うのは勝手だ。でも今与えられた仕事に正面から取り組めない者の希望など、私は聞けない。
夢を持って夢に向かって突き進んで行く人は素敵だ。それは良い生き方の一つだと思う。でも、「その夢に向かっていく過程をサボるな。」と言いたい。そんないい加減な仕事をする者より、夢は持ってないけど、今を一生懸命生きている人の方が数千倍素敵だと思う。夢を持っている人間と持っていない人間に優劣なんてない。そんなことより、自分の今置かれている状況を反故にしないで欲しい。
その時思った。「もしかしたら、夢が邪魔しているのか?」と。夢を持ってしまったが為、今を大事にできないのか。それとも何か言い訳をする為に夢があるのか?いずれにせよもしそうなら、その夢は他人にとって迷惑でしかない。
普段、街中で会いたくもないが、ヤンチャそうな若者でも、夢があるかないかは知らないが工事現場やコンビニ、それぞれの職場でスイッチを切り替えて一生懸命働いている姿をみていると気持ちがいい。
でもこんなこと思うのは、自分が歳をとったからなのかも知れない。そういえば、私も若い時、よく夢のようなことを語ってたような気がする。その時私は一生懸命生きていたのかなぁ・・・
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