日々是、思ふ 其の参拾
『日々是、思ふ』は、オサーンの身の回りに起こったことや、過去の回顧を中心としたハッキリ言ってどうでもいい話だが、それを遠回しでちょっと知的にみせようとするコラムである。
「人に命」について実は長々と書いたのだが、内容がヘビーなのとロレックス正規店の対応と同じで、「タイミング」が今ではないと判断したので、全て消し去った。また機会があれば、記したいと思う。
ということで、知り合いの話をする。
私の知り合いに、元JRA(日本中央競馬会)の職員がいる。騎手や馬の管理ではなく、事務の仕事をしていた。断っておくが、”元” と付いているからと言って、「悪いことをしたからクビになった」というわけではない。私の知り合いだとそう思われがちだ(私は真面目人間だが)。彼は数年前に定年されたので、私よりも一回り以上年齢は上である。
彼は馬に乗る仕事ではなかったが、まぁまぁ乗馬は上手かった。私が “上から目線“的な「まぁまぁ」と言うのは、私も実は馬に乗っていたことがあるからだ。しかもソコソコ上手かった。今ではケガの影響で荒馬を御すことは難しいが、調教された乗馬なら今でも乗れる(だろう)。
そんな彼にその昔、聞いたことがある。
「アタリ馬券って、今でこそネット経由で買っているから自動的に換金されるけど、昔の現物馬券全盛期って、当たっていても捨ててしまったり、何かしらの理由で換金されなかったアタリ馬券って、結構あるんじゃない?」
電話投票自体は、昭和40年代後半からスタートしているが、利用者数は極少数だった。今のようなインターネットが普及して「IPAT」というシステムができて以来、主流はこの電話投票(IPAT)となりつつある。現に今の競馬は無観客でやっているので、JRAの収益はこの電話投票だのみとなっている。
そんな質問に衝撃的な答えを得た記憶がある。
「そうやな。俺の記憶やと1995年~2000年では、毎年60億から70億ぐらいはあったんとちゃうか?」
その話を聞いて驚く。確かにその頃がJRAの売り上げがピークとなっている。
そう、1997年は売上が4兆円を超えていたのだ。1996年の有馬記念(勝馬:サクラローレル)の売上は、ギネスブックにも載っているという。その僅か有馬記念1レースだけの売上が875億円だったという。
「未換金の馬券はJRAの収入になるんや。雑収入ってやつや。ありがたい話や。」
記念に取っておくアタリ馬券もあれば、当たっていてもハズレたと思って捨ててしまう馬券もある。しかしこれらは自らの手で権利を放棄した行為だ。考えられない。ハズレた馬券でも、「機械のエラーとかでアタリになったりするかも」と必ず払戻機に入れて確認を怠らない私にとっては、考えられない。JRAにとって、これほどボロい収入はないのではないか。
しかし今やその雑収入もインターネット投票の普及により、かなり減少したという。なくて当たり前の収入なので、それが普通なのだが。
先日、珍しく家族でTVを観ていた。何のドラマかは忘れたが、
「あなたにとって、大切なものってなんなの!教えてよ!」
と女優さんが迫真の演技をしていた。
間髪入れずに長男が、
「金(かね)」
次男が、
「金(かね)」
私が、
「目の前の金(かね)」
と答えた。
もし、当たり馬券を放棄できるような人がいれば、是非仲良くなりたい。事務所総出で家族総出で、出迎える。