日々是れ、思ふ 其の弐拾弐
- 2020.03.05
- 日々是、思ふ
- プロフェッショナルモデル, ロレックス, 散歩, 日々是
「日々是、思ふ」は、オサーンがちょっと時計とは関係ないこと(時には関係あること)、思ったことを綴る時事的コラムです。社会派ハードボイルドとでも言うべきか。100人に1人でも共感してもらえれば本望です。
基本、「オサーンの愚痴の掃き溜め」である。
※実にくだらない内容(いつもそう)だが、時間があれば読んでもらいたい。
前にも言ったかもしれないが、私の片膝は怪我の影響でかなり傷んでいる。未だにプレートとボルトが埋まっており、今年中に取り出す予定だ。しかし動かないことには筋力も落ちるだろうし、犬の散歩を毎朝、率先して行っている。
今朝、花粉症が酷い私は散歩の途中、鼻を触りすぎたのか鼻血が出た。何とか手持ちのティッシュで事無きを得たが、3年ほど前の出来事を思い出した。
ー三年前ー
その日は、散歩途中で腹が下った。何か悪いものでも食べたのではないかと巡らすが、取りあえず漏れそうになるのを必死で堪えていた。
「アカン、限界や。根性なしでも何でもええ。命あっての健康や」
とすぐに聡明な結論を出す。このスピーディーな決定は社内でも好評だ。
人通りのない山際を散歩しているので、そのまま山道に入り、竹やぶへと入る。勿論トイレットペーパーはないが、犬の糞を取る用のポケットティッシュは散歩用手提げにある。
「まさか俺が犬の糞用ティッシュで自分のケツを拭く時が来るとは…」
とボソボソ言いながら人目につきにくそうなポジションを狙う。
そしてその時は来た。体から非常事態のアラートが鳴り響く。メルトダウンが始まった。急いでズボンとパンツを下ろし、勢いよくしゃがみこみ、NASAのスペースシャトル発射の如くジェット噴射、見事成功した。
「ハロー、こちらヒューストン。応答願います。」
心地よい感覚に独り言も冴えに冴える。
アクション映画にあるような、爆発ギリギリに間に合うシチュエーションって本当に存在するものだと身を持って実感した。「ダイ・ハード」のマクレーン刑事のようだ。
ここまでは良かった。
犬の散歩用の手提げを見る。すると、ポケットティッシュが2枚しかない。本来、ウォシュレットがあれば2枚でも大丈夫だ。しかし、ない場合は「粗拭き・下拭き・本拭き・艶出し・総仕上げ」の計5枚はいる。
今回は緊急事態だ。一応何とか応急処置的な拭き方はできるだろうと思っていた。
しかし私は相当切羽詰まっていたのだろう。座った時に、竹の切り株で鼻を強打していた。噴射のスタンバイに体の神経が追いついておらず、顔面強打の痛みはその時感じていなかった。
結果、鼻血も同時発射していた。これは「同時多発テロ」と言ってもいい。
2枚のティッシュペーパーを1枚ずつ鼻とオシリに使うか、オシリに全部使うか、鼻に全部使うか、の3択に迫られた。
打開策は他にもあった。結果、ティッシュは鼻に全部使った。犬の散歩用手提げに入っていたティッシュはかなり臭かったがそんなこと言ってられない。
※閲覧注意(オサーンの鼻血)
もちろんオシリも拭き取った。その代わり、靴下を一足犠牲にした。マクレーンも裸足でナカトミビルで戦った。彼の勇姿と私が完全にオーバーラップする。
この一連の行動は、わずか数分で行われている。人間、追い込まれると打開策を見出すものだと改めて実感した。この「追い込まれた状況」を常に意識すると、もしかしたら “凄い事” が起こるかもしれない。
それはあたかも、人気漫画「ドラゴンボール」の孫悟空が超サイヤ人になった時のようだ。悟空はそれまで超サイヤ人になれなかったが、極度の “怒り” が変身させた。しかしその後は、”怒り” がなくとも変身をコントロールできるようになった。
ならば、例えば数カ月間の給料を「ロレックスでしか使えないプリペイドカードだったら」とする。ロレックスは買えるがパン1個すら買えない。
「オトン、僕達、道端に生えてる草食べたよ」
と、うつろな目でサクマ式ドロップスを持つ息子たちに
「節子、もう少しの辛抱や!」
と火垂るの墓を思い出し涙をこらえる。これは追い込まれている。ここまで来れば、いつも
「どのお素材のモデルも人気でございまして…」
というロレックス店員さんの返答にも、命のために食らいつくことができる。
「そこをなんとかプレミアモデルを!」
と、こちらの切羽詰まった思いを受けてSSデイトナを手にする可能性も上がる。そしてこれが数カ月続けば、普段のパトロールでもこのハングリー精神を出せるのではないか。
そんな妄想をしながら散歩をしていたら、我が犬の糞を新品の靴で踏んで涙目の木曜日がスタートした。
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