日々是れ、思ふ 其の拾玖
「日々是、思ふ」は、オサーンがちょっと時計とは関係ないこと(時には関係あること)、思ったことを綴る時事的コラムです。社会派ハードボイルドとでも言うべきか。100人に1人でも共感してもらえれば本望です。
基本、「オサーンの愚痴の掃き溜め」である。
本日、中学時代からの同級生(男)の結婚披露宴に出席した。彼の結婚式に出席するのは2度目である。1度目は十数年前で、その時は友人代表でスピーチを任せられた。大いに盛り上がり、前途洋々、華々しい二人の門出となった・・・と思っていた。私のせいではないにしろ破局を迎え、再び友人は結婚することとなった。しかも年の差は18歳も下の若々しい女性との結婚だ。俺が親なら、絶対に許さない。かなりイラ立ちながらの参加となった。正直羨ましい。
新型コロナウイルスの影響もあってか、式場のあるホテルは京都駅に隣接しているが人がかなり少なくて動きやすかった。普段の京都駅は、国内外からの観光客でごった返している。
そんなことはどうでもいい。実は数週間前に友達と婚約者の女性と会食することがあり、
「ねぇ、オサーンさん面白いからスピーチとかしてもらったら?ねぇ」
と、新婦から新郎にスピーチを私にと打診していた。私は断るつもりでいたが、その前に友達である新郎が先に、
「いや、オサーンはアカン。こいつはアガリ症やから、な。俺、もう他の友達に声掛けてるし出席だけして、気兼ねなく、たらふく食べて帰って。」
と、彼女の提案を遮った。私はそれで良かった。この友達の判断は正しい。私はダメだと分かっていても、前回の結婚の話をマイクを前にしてしまうと結局出してしまうだろうと思ったからだ。なので、スピーチを流したのは友達のナイスジャッジだと思った。
当日(本日)、披露宴が始まり私はアルコールを飲まないので食べることに必死となっていた。なぜなら新婦側の招待客は若くてピチピチしていたが、席が遠くて全く接点がない。食うしか楽しみがない。我先にローストビーフを食べる私。必死過ぎて写真すら撮っていない。年の差カップルだと、招待されている年齢層が新郎・新婦でクッキリと分かれている。
しかし大きな懸念材料があった。スピーチに出る共通の友人Aが緊張のあまりハイペースで飲んでいる。
最初は楽しく話をしていたが、段々と雲行きが怪しくなった。
A:「お前、高1の時、俺が好きなんわかってて〇〇と付き合ってたやろ?許せん!」
Aは飲むといつもこの話をする。
A:「阿修羅マンをキン肉バスターしてるキン消し、いつになったら返すんや!忘れてへんからな!」
コレもいつものヤツ。
ほどなくしてスピーチに呼ばれたA。そのスキにローストビーフを取りに行く。その時、一斉に笑いの渦が起こる。全く聞いていない私はどうでもよかったが、なぜかスピーカーから私の名前と多くの視線を感じた
マイクの前に立ったAは新郎新婦のことなどお構いなしにこう叫んでいたそうだ。
「おい、オサーン!おい!お前、祝儀ナンボしてん?俺はお前にだけは負けたくない。」
この話に会場はなぜか盛り上がる。周りから、「おい、言われてるぞお前!」と呼ばれて初めて気付いた。よく聞くと、酔っ払ってかなりドモっている。
「こ、こ、こんな席で、わ、わ、悪いが、い、い、言わせてもらう。お、俺は、3万や。オ、オ、オサーンはナンボや!」
下品極まりない内容だし、スピーチでも何でもない。お祝いムードをぶち壊している。私はだんまりを決め込むか悩んだが、私は立ち上がった。そして新郎新婦の前に立ち、財布から2万出して渡す。そしてマイクに向かって、
「これで俺は計5万」
一言残して席へ戻った。かなりウケたがこれに「ブチッ」と切れたのがA。
「お、お、おれ、ほな、もう3万出したるわ!」
新郎新婦へ3万円を投げつけるA。
それで終われば良かった。視線が一気にまた私に向いた。もう現金はほとんどないので迷った。しかし何か期待されている。だから新婦に「好きな物買ったらええ」と言い、プラチナカードを手渡した。受け取った新婦はカードを高々と掲げ、笑っていた。
ベロベロのAは泣き崩れ、私を含めた他の友人3人で会場外へ連れ出した。なぜか拍手で見送られた。外のロビーで座っていると、しばらくして司会者の女性が私のクレジットカードを持って来てくれた。その時、Aはグッスリ眠っていた。お金は返って来なかった…
他の披露宴参加者から何度か、「戻ってきてください、オサーンさん」と言われたが理由をつけて当たり障りなく断った。
披露宴会場から多くの招待客が出てきた時、新婦の女性友達数人が話しているのが耳に入った。
「年齢層高いと金が舞うんやな、結婚式って。クソワロタw」
こんな結婚式、普通じゃないけどね。そんなことより、今日は披露宴前にまた時計を買ってしまった。
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