日々是れ、思ふ 其の拾陸
皆様、初夢など見ましたか?時計好きに縁起が良いとされる夢は、
「1ロレ、2パテ、3ブレゲ」
のはず。しかし私は仕事の夢でうなされました。
元日のみ休みだったのですが、年末からその元日以外は仕事に明け暮れている。そんな私は本日、5日の日曜日にお休みをいただいた。
青森で働いている友人(あだ名は青森に引越したから幾三)と東京で働いている友人(あだ名はお台場にある大きな会社名から、倉庫番という)が帰省しているというので再会したのだが、彼らとの繋がりは競馬好きの同級生である。彼らとはよく、競馬場へ足を運んだ。今回も朝早くから競馬場で待ち合わせとなった。今日はJRAの競馬初め、金杯が行われる。
さすがに新春一発目のJRAは人が多い。しかし倉庫番が用意してくれた、なかなか入れない席と言うことで文句はない。だが情けないことに、いかんせん軍資金もない。まぁ、旧友との再会がメインなので、そんなことはどうでもいいのかも知れない。
やはり現地に行くと1レースから馬券を買ってしまうオサーン。それなりに友人二人も馬券を買っている。しかしその時は、早々に訪れた。
中山競馬の1レース。私はJRAが推しに推している女性ジョッキー、藤田菜七子ちゃんが新春1レースにいきなりやってくれるのではないかと、ピーンときた。
幾三と倉庫番はそんなことには気付いてもいない。そんな甘い予想で、2020年を無事に乗り切ろうとするのか。完全に世の中の流れというものをわかっていない。
競馬場の大きなターフビジョンにレースが映し出され、チラチラと横目で破れ去る二人を見届けようとする。直線に入り、心の恋人菜七子は楽な手応えで4コーナーを回り、先頭に並びかける。みんなわかってない。これはJRAからのお年玉ってことを。
しかしなかなか先頭に並びかけてから伸びない。何やってんの、菜七子!
そんな時、隣の倉庫番がこの世のモノとは思えないほどの大声で叫ぶ。学生時代、理系の若干陰キャだった彼からは想像もつかない。アパッチの雄叫びである。
「①来い! ウララララ!③も来い!③!」
ウラララは言ってなかったが、何だよ、うっせーな。私も負けじと叫ぶ。
「おい、菜七子!来いよ!やらせろ!」
ダメじゃねーか!菜七子がダメとわかった瞬間、メロスは狂気の友達を盗み見てつぶやいた。
「③来なくていいよ。」
「ヨッシャー!3連複や!ボックスで1000円買うてる!」
えぇっと配当は…98,210円!
馬券を取りそこねたメロスは死刑台で待つセレヌンティウスを裏切ろうとした。しかしそこはさすがメロスである。すぐさま擦り寄りこう言う。
「俺を殴ってくれ。実は一度だけ君の不幸を祈った。」
とボソボソと言う。しかしセレヌンティウスの耳には届かない。
「なんぼついてる?98万円か!ヨッシャー!」
馬主席で喜ぶ彼に、見たことあるような馬主さんから笑顔で「おめでとう!」と声をかけられるセレヌンティウス。
次のレースだ。メロスは、取り返すのに忙しい。
そして京都の1レースが始まった。倉庫番は鼻歌交じりで高みの見物。裏切り者メロスを見下しているようにも感じる。
最後の直線、隣の幾三が「ダメか…」と言っている。かくいうメロスもかすりもしない。しかし息を吹き返したかのように幾三が、叫ぶ。
「飛んできよった、⑪!来い!」
メロスはつぶやく。
「⑪、来なくていいよ、ボソボソ」
第二セレヌンティウスはガッツポーズで仁王立ちしている。彼もまた3連複、配当は8000円ついたので、8万円になった。先程とは桁が違う。しかしメロスは既にマイナス2万円である。
第二セレヌンティウスに言う。
「殴ってくれ。実は君の不幸を…」
しかしやはりこの声は届かない。横では第一セレヌンティウスが大笑いしている。悔しい。
メロスは友人を失うことを嫌う。しかし友人だけ幸せになることはもっと嫌いなのだ。メロスの心は複雑なのだ。
2020年、皆様にとって素敵な一年でありますように心から祈っております。
メロスより
-
前の記事
成人の儀にさりげなく大人時計 2020.01.05
-
次の記事
レアモンクエスト DAY1 2020.01.06