日々是れ、思ふ 其の拾肆
- 2019.12.22
- 日々是、思ふ
- ゲーテ, ブレゲ, マリーアントワネット, 最期
「日々是、思ふ」は、オサーンがちょっと時計とは関係ないこと(時には関係あること)、思ったことを綴る時事的コラムです。社会派ハードボイルドとでも言うべきか。100人に1人でも共感してもらえれば本望です。
基本、「オサーンの愚痴の掃き溜め」である。
私の中学生時代の同級生が亡くなったという訃報が入った。あまりに早い死である。今や人生80年と言われている。それを当てはめると、まだ折り返したばっかりだ。あまりに早い。
お葬式に出ると、必ず思い出すことがある。そして自分も “その時” が来た時のことを想像する。この同級生の彼は、最期に何を言い残したのだろう。何という最後の言葉を。もしかしたら、病院の看護師しか聞いてないのかも知れないし、家族にしっかりと最後の言葉を残したかも知れない。はたまた、誰もいない病室で独り言をつぶやいたのが最後かも知れない。
そして思い出す。小学5年生のオサーンが目撃した祖父の最期。
ドイツを代表する文豪、詩人であり哲学者、政治家でもあったヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ。このゲーテの最期の言葉は、
「Mehr Licht! (もっと光を!)」
というのは、あまりにも有名である。暗闇を極端に嫌ったと言われていたゲーテの言葉である。本当のところどうかはわからないが、往々にして美化されることもありうる。これは怪しい。
また、あの天才時計師 “ブレゲ” に時計のオーダーを出すなど、現代の時計の系譜にも関係が深い歴史上の重要人物、マリー・アントワネットは、ギロチンで処刑された。そんな彼女の最後の言葉は何とも力強いものであったと言われている。ちなみにフランス語はわからないが、
“Pardonnez-moi, monsieur. Je ne l’ai pas fait exprès.“
と言ったらしい。彼女風に訳すと、
「ごめんあそばせ、ムッシュ。わざとじゃありませんわよ。」
と言っている。これは、ギロチン台に連れていかれる時に、執行人の一人の足を踏んでしまい、放った言葉と言われている。いかにもプライドが高い、高貴な人間を最後の最後まで貫き通した女性である。もちろん、彼女の人生を褒め称えている訳ではない。しかし「マリー・アントワネット」という人物を貫いた強さは称賛に値する。
これと比較するわけではないが、祖父が放った言葉は今でも忘れられない。病室で吐血を繰り返し、私の父親が飛び散らないように祖父の口元に手をかざしていたのも覚えている。そして言った、
「梶 芽衣子のやつな、あのぉ・・・」
当時の私にはわからないことだった。父親は「今言うな、そんなこと!」と言っていたのを覚えている。梶 芽衣子?? 聞いたこともなかった。
最期の言葉だった。
最近、年末大掃除を時間のある時にしているオサーンですが、この前倉庫から出てきたVHSのビデオテープ。
多分、「”星野 ひかる” のやつ」だと思う。
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