日々是、思ふ 其の弐

日々是、思ふ」は、オサーンがちょっと時計とは関係ないこと(時には関係あること)、思ったことを綴る時事的コラムです。社会派の一面を持つオサーンが関西代表としての発言をします。100人に1人でも共感してもらえれば本望です。
基本、「オサーンの愚痴の掃き溜め」である。

首里城が燃え尽きた。沖縄を愛し、首里城に思い入れのある方や、その他大勢の方々にとって大変不謹慎に思われるかもしれないが、燃えている首里城は大変美しかった

もちろん喜んでいるわけでも嬉しいわけでもない。もし放火なら許されないし、誰かの過失なら残念でならない。しかし映像や画像を見ての率直な意見として、「美しい」と思ってしまった。人や命の吹き込まれたモノの散り際というのを考えさせられた。首里城は、最後の最後まで美しさを見せてくれた

 

3年前に会社の20代後半になる部下が病の末、死んだ。結婚を控えていたが、婚約は彼から解消したそうだ。お葬式にその彼女が来ていたが、それほど私とは面識がなかったし、彼と別れた後の関係性も詳しくはわからない。ただただ、彼女は泣いていた。私はその時、伝えたいことがあって迷った。

 

彼は親族と私にだけ病気を打ち明けていたようだ。私は一回り以上年齢が下の彼に多くを教わった。

病名からして相当苦しかったはずなのに、全く普通に仕事をしていた。20代でいつも日焼けしていて、男前で、仕事もそれなりにできる部下だった。

入院することが決まりました。多分仕事には戻れなと思います。最後だと思います。

周りに誰もいない時に、彼は涙を見せることなく笑顔でそう伝えてきた。情けないが、私の方が泣いてしまった。

そして僅か28年数か月という生涯をその25日後に終えた。

彼が亡くなる2日前、病院で見た時の彼は全くの別人だった。面会はできないと看護師から言われたが、彼の希望で入れてもらった。最後にした会話、これを彼女に伝えたかった。

部下:「補佐(当時、私は課長補佐だった)、人間は誰でも死ぬんです。僕はもうすぐ、補佐もいつか。でも補佐はなかなか死なないでしょうね(笑)私は若いまま待ってます。その時会える補佐、もう立てないぐらいヨボヨボですよ。私は元気いっぱいの20代で待ってます。みんなを待ってます。みんな歳とって来るんだろうなぁ。」

目を閉じたまま彼はそう言った。

私:「ほな向こうで介護の勉強しとけよ、その間。」

もっと違う答えを期待してたのか、喜んでくれたのかは全くわからない。しかし表情は苦痛に耐えているようだった。彼にはどう届いたのか、届かなかったのか。何もわからない。

 

お葬式の時、これを彼女に伝えようとしたが、私は言わなかった。彼女の人生を変えてしまう気がしたからだ。恐らくこの部下も、彼女がまた新しいパートナーを見つけて幸せになって欲しかったに違いない。そう勝手に私は解釈し、伝えなかった。

こんなにも美しく死ねる人がいる。そういえば彼は沖縄が好きだった。多分首里城にも足を運んだと思う。美しく燃えた首里城が、彼とオーバーラップした。

 

 

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