僕達の買った高級時計の人気はこの先どうなるのでしょう?

ますます過熱する腕時計市場。老若男女が高級時計の店先で列をなして入店しようとする光景も、最近では見慣れた光景となりました。ほんの数年前までは、想像もできなかった状況です。程度こそ違いはありますが、ツイッターを見ていたらこの状況は日本だけではないようです。

時計だけではなく高級ブランド品は、手に入れることと身に着けた時の嬉しさが、自分自身の中にある大きな山の頂を制覇したかのような満足感高揚感を得ることができると私は思っています。また、資本主義経済を生き抜く中で、勝者のような感覚を高級ブランド品を所有することによって感じる人もいるでしょう。

しかし一昔前の状況と今のそれとの違いは “ステータス性” から “資産性” へ、“富裕層” から “中間層(アッパーマス層)” へと購入を希望する層が移り変わっている、いや、広がっている点かと思います。その理由はさまざまなのでしょうが、その一つに「新型コロナウイルス」による “不安” があるのではないかと思う。

実際、新型コロナウイルスが世界で蔓延しだした時の株価の推移は、経済不安そのものでした。

2020年3月に暴落した株価は今でこそ大きく回復しましたが、実際のところ、会社が倒産してしまったり人員削減などで解雇されてしまった人が増えました。OECD(経済協力開発機構)のホームページを見ますと、上記した2020年3月の株の下落と失業率が連動しているのがよくわかります。

※ソース元 OECD

不安になると安定を求めるのは当然で、少しでも「価値のあるもの」へお金が流れるのも当然。1987年にはブラックマンデーと呼ばれた世界的株価の大暴落が起こり、2008年にはリーマンショックが。10年15年スパンで大きな株価の暴落が起こっている。

これを経験してしまうと、恐怖心がどうしても付きまとう。私のような投資のド素人ならなおさらだ。株なんて、少なくとも昔は “株券” なるではあるものの、目に見える現物があった。

それが今では株券は電子化され、全く購入・所有している実感がない。特に私のような少額投資家にとっては、スマホ上で数万円しか保有していない株価が単なる数字として上がったり下がったりするのを見るしかない。微々たる配当を受け取る時以外、何の実感もない。これでは面白くない。

金(ゴールド)プラチナ、その他の金属への投資はどうか?過去のチャートをチェックする。

2005年辺りから徐々に価格は上昇。若干の下落みせるが2012年までは大きく価格が上昇している。米同時多発テロ、サブプライムローン問題、世界的な金融緩和と株価の下落が発生したことにより、安定資産としてのが人気となった。

しかしここ30年の金の価格(オレンジ)ダウ平均(青)のグラフを見るとこんな感じ。なんだかんだ言って、株価は右肩上がりで上昇している。金も数年間は横ばいの時期もあったが、再び上昇している。

そう考えたら、時計に投資するよりも株を買っている方が儲かりやすいのではないか?

結果、そうなのかもしれない。でも人々が高級時計に魅了され、入店するのに店の前で長時間待つ理由は何なんだろう?数年前に、これと似た感じの現象があった。

 

仮想通貨がそうだった。それとこれを一緒にするのはお門違いなのかも知れない。特に昔から時計が好きだった人は、そう言われるのが嫌に違いない(昭和生まれの古い人間)。正直、僕もそうだ(古い人間だから)。なぜなら “仮想通貨” という響きがなんか「きな臭さ」を含んでいる(ように感じる)し、これも株同様、時計のように実際に触れて楽しめる物ではない。新しくて、打ち上げ花火のように話題となり、芸能人がメディアで口にし、SNSで学生が儲かると投稿し買い煽りをする。乗り遅れた昭和生まれのオッサン達は、妬みを含んではいるが「どことなく怪しい」といぶかしげに見る。

なぜなら仮想通貨が一般に知れ渡り一気に過熱した2017年後半は、テレビで仮想通貨取引所のCMが多く流れた。実際、投資に無縁だった者たちがそれに釣られて仮想通貨に群がった後、2018年に入りさっそく一気に暴落が起こった。

ではなぜ儲かる可能性の高い株式投資ではなく仮想通貨なのか?それは前記した、「簡単に儲かる」的なことを目にする機会が増えたからではないだろうか?株なんて、資産が倍になってもそれには数年を要することがあり、大儲けを狙って個別の銘柄で跳ね上がるテンバガーを探すことは、宝探しのようなもの。仮想通貨は何の根拠もない一攫千金のイメージと芸能人を使ったCMが参加意欲に拍車をかけたと思われる。

しかし “通貨” というものの実際に使う機会のほとんどない文字通り “仮想” の通貨は、投資ではなく投機。ヨダレを出して仮想通貨の世界に足を踏み入れる素人を待ち構えていた先住民が多くいました。価格は暴騰し先住民達は大きく儲け、その証拠をSNSに投稿する。それを見た人達は色気を出し、儲かると煽られ参加、その結果一瞬にして暴落。それにより人生が大きく狂った人が生まれた。別に私は仮想通貨を否定しているわけではないが、全く用途の見えないオルトコインが乱発されている事実があり、「お金を騙し取る道具」として存在している価値のない銘柄が多く存在する。

ある有名なタレントさんが広告塔になり、自身のブログやセミナーまで行っていたのは記憶に新しい。15億円以上もの資金を集めたと言われています。今でも一応存在はしているようですが、価値は1/1000ほどになっています。100万円が1000円になる世界。

では時計界はどうだろう?

今、ロレックスは空前の価格上昇を見せている。日本だけではなく、海外でも入手困難となっている。先日、日本経済新聞にもロレックスについての記事が掲載されていた。

100万円以上する高級時計を並んで人々が求めているというものだ。僕の意見としては、ドンドンこの現状を多くの人に伝えて、ロレックスの市場価格がもっと盛り上がることを期待している。今までのように買えなくなるのは残念だが、今まで買ってきた時計の価値が一気に上がる。僕は市場価格が上がろうが下がろうがどっちでもいいのだが、せっかくなので上がってほしい。だって、金持ちになった気分を味わえるし、もしも市場価格が下がったところで自分の時計は何も変化しない

私が残念に思うことは、先程も書いたが、今まで買いたいときにある程度買えた時計がなかなか買えないこと。一人で暮らしているわけでもなし、家族の同意のもと時計を購入しているわけでもない小生にとっては、お金を使える時とそうでない時がある。お金のない時に、欲しかったモデルがあるとなれば、その後の誤魔化す為の自転車操業が競輪選手並みのこぎっぷりになる。幾度となく無人契約機の前で悩んだことか。

しかしこうも思う。冒頭でも書いたように、地域によっては店に入ることも困難。こういった状況は不健全かもしれないが、ある意味、納得している部分もある。

僕のような庶民が買うには贅沢過ぎるモノ

なんです。仮想通貨のように、入口が広いわけではないんです。その入口を利用する人は限られていたので、今まで問題が起きなかった。昨今の高級時計ブームである意味、それを教えられたような気がする。そもそも本当の富裕層(上顧客)は、どんな状況下でも並ばずに入れますからね・・・

 

話を戻すと、もちろん投資の基本は、分散投資だろう。一極集中してしまうと、倒れた時に立ち直れない。ある程度のダメージを受けても倒れない、もう一度立ち直れる余力を残しておく為には、投資の対象を一つにしてしまうにはリスクがある。

いま中国では不動産投資から腕時計投資へとトレンドがシフトしているという。腕時計の相場は世界中で売買されているのでその過程で形成される。

今は熱を帯びている時計相場。富裕層が下支えしていることもあり、ある意味安定しているのかもしれない。しかし考えてみたら、オークションなどで高額取引されている絵画や骨とう品は、一点物が多い。対して腕時計は、その保管状態なども様々だが同じものが10本や20本ではなく数百本、数千本とあるものがほとんど。相場とは気分だ。有名芸能人が愛用していたり購入したりと話題になればそのモデルが人気となる。

投資で言われる文句に有名なものがある。

「もう」はまだなり、「まだ」はもうなり

資金に余裕がある人が高級時計を購入する分にはいいだろうが、そうでない者にとって時間と労力を費やす価値がどこまであるのか?本当にそれが欲しいモノなのか?自問自答を繰り返す。この記事は、自分自身へ向けてのメッセージ。僕は場違いなところにいるんだ、と。この空前の時計ブームは「もう」なのか「まだ」なのか。どうせ買い難い状態なら、とことんまで行ったらいいとも思う。

最後に、僕が生きていく上での考え方なんですが、

成功している人を真似るのではなく、駄目な人の真似をしない

ということ。資産・年齢・性格、様々な要素が大きく違うのに僕には(経済的に)成功している人の真似なんてできっこないし、そんな能力もない。

高級時計の人気は昨日も今日も衰えず、熱い市場になっているが相場は常に危険をはらんでいる。ただ言えることは、「時計はその時計の価値がそこにある」ですね。