【新作】Jaeger-LeCoultre レベルソ・トリビュート・クロノグラフ

ジャガー・ルクルトの Watches & Wonders 2023 で新しいモデルを発表したのですが、ワタシ的に最も注目したのがレベルソ・トリビュート・クロノグラフです。

片面には主となるシンプルなニ針の時刻表示、そしてレベルソの特徴であるもう片面(裏側)には内部の機械が一部見えるように肉抜きされた文字盤をまとったクロノグラフが顔を覗かせます。

この新しいモデルは、1996年にレベルソ初のクロノグラフとして500本限定で発表されたレベルソ クロノグラフ レトログラードに敬意を表した(トリビュートした)モデルであり、その技術はジャガー・ルクルトの地位を確固たるものにしたものです。

レベルソ クロノグラフ レトログラード

そして今年発表されたレベルソ トリビュート クロノグラフは、新世代のコレクター向けにオリジナルを再考しつつも、新たなる時計として出発したと言えます。本作とオリジナルとの大きな違いは、両面時刻表示を実現させたことです。オリジナルは上の画像を見ておわかりのように、時計のクロノグラフ側に時刻表示がなく、クロノグラフ専用ダイアルとなっています。オリジナルモデルの考えとしては、用途をハッキリと分けたかったのかと推測します。しかし今回、このアイデアを変更したことは、新しい挑戦とも取れます。これにより必要に応じて、クロノグラフ側を上にして主要な時間表示として着用することもできる。 この実用性により、トリビュートはオリジナルとは違った色を見せています。

しかし懸念があるとするならば、その価格設定。ステンレス製で約320万円、ピンクゴールド製で約560万円です。確かに素晴らしい技術が盛り込まれたモデルですが、内部のムーブメントは新しいキャリバーではなく、オリジナルの改訂版です。ジャガー・ルクルトは時計の歴史的に見てもムーブメントのトップメーカー。だからこそ、新たに開発されたムーブメントが見たかったのが本音。それか、もう少しお求めやすい価格で…は、贅沢言い過ぎなのか。

しかし一方で、このような2つの顔を持つ機械式時計はそう存在しないのも確かです。Marco Lang Zweigesicht-1のような、ビックリ価格の領域では存在しています。そういった観点からすると、レベルソ・トリビュート・クロノグラフは優れた価格設定と言えるのかも、と手のひら返ししてしまうワタシです。

※Marco Lang Zweigesicht-1・・・SS製で約900万円

レベルソ・トリビュート・クロノグラフには、ブルーのサンレイダイアルを備えたステンレス製と、ブラックのサンレイダイアルを備えた 18Kピンクゴールド製の2モデルがラインナップ。どちらも、レベルソ トリビュートの特徴である、ドルフィン針・バトン マーカー・レイルウェイ ミニッツ トラックのメインダイアルを備え、裏側には特徴的なレトログラード30分カウンターを配したクロノグラフを表示するスケルトン化されたダイアルを備えています。ケースサイズは 49.4mm x 29.9mmで、わずか11.14mmの薄さは、驚きを隠せません。

ムーブメントについて、搭載されているCal.860は明らかにオリジナルのCal.829の構造と共通していますが、オリジナルのプレートとブリッジは金メッキで、今作の新しいCal.860はロジウムメッキの真鍮製というカラーの違いが見た目でわかります。

 

技術的な観点では、クロノグラフ側に時間の表示が追加されたのですが、デュアルタイムではありません。両方の時刻は同期されており、オリジナルからの大きな変更ですが、実はムーブメントをそれほど複雑にしているわけではないそうです。とはいうものの、Cal.860はわずか5.5mmという驚異的な薄さで作られているので、ケースもこの厚みで作れるわけです。これは単純に、ジャガー・ルクルトの技術力に他なりません。

やっぱりレベルソは洗練されたデザインだとつくづく思います。レベルソを着けている人は、それだけで大人の魅力が2割ほど増すと私は思っています。

ケース径(長さx幅) 49.4mm x 29.9mm
ケース厚 11.14mm
防水性 3気圧
ダイアル(表) SS製:ブルーサンレイ
PG製:ブラックサンレイ
ダイアル(裏) ブラック オパール仕上げ
ムーブメント 手巻き/キャリバー860
機能 表:時/分
裏:30分カウンター、時/分、 クロノグラフ
パワーリザーブ 約52時間
ストラップ SS製:カーフネイビー/カーフブラック
PG製:カーフ/カーフブラック
価格 SS製:3,212,000円
PG製:5,632,000円