TUDORが更なるステップへ!
“〇〇の息子” や “〇〇の弟” といった表現で自分のことを言われ、傷ついた人も多くいると思う。私もデキのいい優秀な兄がいたことで、進学した学校では「あの〇〇の弟だから、真剣に勉強したらできるだろ!」と担任の先生に言われたことを今でも忘れません。しかし人はそれほど深く考えずに、簡単で説明し易いという理由で悪意なく使ってしまう表現なのかも知れません。かくいう私もこれまで安易に使っていました。そう、TUDOR(チューダー)というブランドに。
チューダーというブランドを説明する時、どういいますか? そうですね、みなさんご一緒に、せ~のっ!
「ロレックスの弟分」
その言葉に、チューダーは傷ついていたかもしれない。眠れない夜を過ごしたかもしれない。人知れず、むせび泣いていたかもしれない。もしかするとチューダーのブランドカラーである “レッド” は、悔しさに目を充血させた “レッド” なのかもしれない。 一人前のブランドとして見てもらいたい。そう思っていたに違いない。
しかしそう言われるのも仕方のない部分がある。なぜなら、そもそもの成り立ちがロレックスのディフュージョンブランド(廉価ブランド)として、ロレックスの創始者であるハンス・ウィルスドルフが市場の拡大を目的として1926年に作った(商標登録した)からだ。当時は本社がイギリスにあったロレックスは、イギリスで認知度があり高貴なイメージをもつ王家 “テューダー家” からその名を、王家の紋章である “テューダーローズ” をブランドのマークに使用していました。そしてロレックス共々成長していった歴史があります。歴史について詳しくはコチラで!
前置きが長くなったが、ここからが本題。
チューダーはロレックスの施設をこれまで共有していたのですが、ここへ来てとうとう製造拠点を独立させた!というニュースなんです。場所はスイスの Le Locle(ル ロクル)というところです。地図でいうとココ↓
ざっくりスイスを赤で囲いました。スイスはフランス・ドイツ・イタリア・オーストリアなどに囲まれた海のない内陸国。そして今回の場所、Le Locleをグーグルストリートビューで見てみると、その施設の場所はまだ土地が空いている状態です。駐車場が見え、芝生のような広場が大きく空いています。これは、建設前に撮影されたストリートビューということです。
そして気になった方もいるとは思いますが、画像に赤矢印の建物がありますよね。ここをストリートビューを動かして別角度から見てみると・・・
何やら会社のマークが小さく見えます。正面から見てみます。
そう、ロレックスなんです。最高のロケーションですが、やっぱりここは切っても切れない関係なんですね。画像では大きく空いている土地でしたが実はここ、ロレックスが保有していた土地だったのでしょうね。そしてここにチューダーの建屋をトンカチ作り出し2021年には完成、着々とチューダーはお引越しをしていたそうです。
上の写真で黄色の枠内にロレックスがあり、施設の説明に小さくて読みにくいですが “Rolex Le Locle”(緑ライン)と“Tudor”(赤ライン)とも書かれています。施設が共有されていたことがこれでわかります。そして赤枠で囲った部分が今回のチューダーの施設建設地です。
総面積10,642平方メートルで、そのうち5,602平方メートルが時計製造専用です。屋根には400枚以上のソーラーパネルが設置されており電力はほぼ自給、温度・湿度が一定に保たれる空調システムが完備されており、最新鋭の製造拠点となっています。ということで、新しくできたチューダーと元々あったロレックスとの位置関係がこうなっております。
しかも空気の入れ替えが 3~5回/1時間 あり、埃も浮遊することのないエアーコンディショニングということで、ムーブメント製造には最高の空間が作られています。そして画像一番手前にあるKENISSIとは何か?
これはKenissi(ケニッシ)というチューダーが設立したムーブメント製造会社です。Kenissiといえば、NORQAIN(ノルケイン)という時計ブランドとパートナーシップ契約を結んでいることでも知られています。ということは、ノルケインはロレックスにとって甥っ子と言ってもいいかもしれませんね。知らんけど。
上の写真は完成少し前のその建物ですが、チューダーレッドの金属製のシェルがブランドを印象付けていますが、それだけではなくここで使わてれいるガラスは、エレクトロクロミックガラス(Electrochromic glass)というものが使わてれいます。簡単にいうと、スマートガラス。室内に入る光量を自動制御できるようになっております。
そんな設備投資をガンガンしているチューダー。もう “弟分” とは言わせない!そんな意気込みが感じられる新しい施設と共に、2023年も人気がますます上昇することでしょう。そしてあと3年で100周年を迎えますからね!
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