2019年のスイス時計業界のデータから見えるもの 前編
- 2020.08.29
- 時計情報局 海外ブランド
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時計に興味があっても、その業界には興味がないことって往々にしてあります。でも知っていると、ますます時計のことが好きになること間違いなしです!
スイスの時計業界をデータで見ていくと、スイスブランドが如何に強いかということが見えてきます。
今回は、モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)というアメリカ・ニューヨークに本拠を置く金融機関グループの資料を基に、進めていきたいと思います。
まず、単純にトップブランドの売上を見ていきたいと思います。
2019年の資料によりますと、7つの時計ブランドが大台の10億スイスフランを超えており、これは時計業界のブランドの二極化を表していると思います。リシャールミルも、大台に乗ることが目前となっています。逆に、ティソは約3,000万スイスフランの減収となり、7位に下がりました。しかしそれでも大台をキープしています。
表にはありませんが、2018年との比較でいうと、リシャールミルは前年が3.2億スイスフランだったということで、2倍以上の売上となっています。それには理由があり、流通の再編成ということがあったようです。結果、実質的な伸び率は約20%と言われています。
にしても、ロレックスの売上は、2位オメガのダブルスコアを上回っているという、強烈なデータを叩き出しています。
そして今度は、2019年の各スイスブランドが小売り市場に占めるシェアを見ていきたいと思います。
これを見ると、ロレックスが市場の約1/4近いシェアを占めていることがよくわかります。しかも、”その他” の中には、ロレックスの兄弟ブランドと言われるチューダーが、ランキング20位で3億1,000万スイスフランのセールスを記録しており、市場の1.4%のシェアを占めています。
では、時計のグループとしてのシェアを見てみたいと思います。
ここで注目したいのが、ロレックス・パテックフィリップ・オーデマピゲ・リシャールミルの独立系ブランドです。この4ブランドが市場を占めるシェアは、87億スイスフランという売上高を叩き出し、占有率は35%に上ります。2019年は、売上高と収益が過去最高を記録しています。
対して、スウォッチグループ(17ブランド)・リシュモン(11ブランド)・LVMH(6ブランド)・ケリング(3ブランド)は、合計37ブランドという数に上るものの、市場の55%しか占めていません。
スイスブランド全体の “収益” としては53億スイスフランとなっていますが、独立系4ブランドだけでこの利益の59%を占めているといいます。そしてこの4ブランドは、業界全体の成長率よりも遥か早いスピードで成長しており、収益性もかなり高いと言われています。
それに対してスウォッチを始めとする4グループは、上記した通り売上高が55%程度ありますが、業界全体の利益からすると、39%という独立系4ブランドとは大きな差を生んでいます。
結論から言うと、売上高の90%と利益の98%は、独立系4ブランドと4大グループの37ブランドが市場を占めているということです。
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