GPHG(時計界のアカデミー賞)2022 が開催されたよ!
もう新型コロナウイルスなんて、そんなのカンケーネー!という雰囲気になりつつある昨今、皆様どうお過ごしでしょうか?僕は日々、仕事中も真面目に時計のことを考えてます。
時計界では数日前になりますが、“時計界のアカデミー賞” こと、GPHG(Grand Prix d’Horlogerie de Genève)2022が滞りなく開催されました。昨年のグランプリ(金の針賞)に輝いたのは、ブルガリ オクトフィニッシモ パーペチュアル カレンダーが受賞したのですが、メンズウォッチ部門ではグランドセイコーの白樺モデルが受賞。こちらの方が日本では取り上げられていましたね。
左:ブルガリ オクトフィニッシモ パーペチュアル カレンダー 右:グランドセイコー SLGH005
今年はどのブランド、どのモデルが受賞したのでしょうか?各部門ごとに見ていきたいと思います。
- 1. “AIGUILLE D’OR” GRAND PRIX(金の針賞)
- 2. LADIES’ WATCH PRIZE(レディース賞)
- 3. LADIES’ COMPLICATION WATCH PRIZE(レディース コンプリケーション賞)
- 4. MEN’S WATCH PRIZE(メンズ賞)
- 5. MEN’S COMPLICATION WATCH PRIZE(メンズコンプリケーション賞)
- 6. ICONIC WATCH PRIZE(アイコニック賞)
- 7. TOURBILLON WATCH PRIZE(トゥールビヨン賞)
- 8. CALENDAR AND ASTRONOMY WATCH PRIZE(カレンダー&天文時計賞)
- 9. MECHANICAL EXCEPTION WATCH PRIZE(メカニカル エクセプション賞)
- 10. CHRONOGRAPH WATCH PRIZE(クロノグラフ賞)
- 11. DIVER’S WATCH PRIZE(ダイバーズ賞)
- 12. JEWELLERY WATCH PRIZE(ジュエリーウォッチ賞)
- 13. ARTISTIC CRAFTS WATCH PRIZE(アーティスティック クラフト賞)
- 14. “PETITE AIGUILLE” PRIZE(小さな針賞)
- 15. CHALLENGE WATCH PRIZE(チャレンジ賞)
- 16. CHRONOMETRY PRIZE(クロノメトリー賞)
- 17. “HOROLOGICAL REVELATION” PRIZE(オロロジー レベレーション賞)
- 18. AUDACITY PRIZE(オーダシティ賞)
- 19. INNOVATION PRIZE(イノベーション賞)
“AIGUILLE D’OR” GRAND PRIX(金の針賞)
MB&F Legacy
Machine Sequential Evo
時計好きでもなかなか手にしている方は少ないであろうブランド、MB&FのLEGACY MACHINE SEQUENTIAL EVOというモデルが受賞しました。マキシミリアン・ブッサー&フレンズの頭文字を取りMB&Fと略され、2005年にスイスのジュネーブで創設されたブランド。複雑機構を取り入れつつも芸術的なデザインが特徴で、価格はかなりお高い。このモデルも、CHF172,000(約2,500万円)という価格のようです。「グランプリを取った時計だから買おう!」とはなかなか…な感じですね。
LADIES’ WATCH PRIZE(レディース賞)
Parmigiani Fleurier
Tonda PF Automatic
ここ数年で一気にその知名度と人気が上昇してきたパルミジャーニ・フルリエのラグジュアリースポーツモデルのトンダ。今回は多くの部門にノミネートされており、レディース部門で受賞しています。36mmローズゴールドモデルで、男性でも十分に満足できると思います。価格はCHF49,500(約730万円)です。
LADIES’ COMPLICATION WATCH PRIZE(レディース コンプリケーション賞)
Hermès
Arceau Le temps voyageur
複雑機構を搭載したレディース部門ではエルメスのアルソー、「タイムトラベラー」を意味する “Le temps voyageur” と名付けられた美しいステンレススチール・ワールドタイムモデル。CHF21,010(2,695,000円)です。38mmなので、男性でも着けれますね。
MEN’S WATCH PRIZE(メンズ賞)
Atelier AKRIVIA
Chronomètre Contemporain II
デッドビートセコンドを使うこのモデル、見た目はシンブルだがなかなか凄いんです。何が凄いかって・・・まぁ凄いんですよ。詳しい説明は詳しい方に聞いてください・・・賞を取るということは、凄い時計ってことです。125,000CHF(約1850万円)という価格、もしかして買えるかも!って買える可能性を感じさせない価格。アクリヴィアって読むんですが、文字盤に描かれているRexhep Rexhepiは、レジェップ・レジェピといい、このブランド創業者であり独立時計師です。
MEN’S COMPLICATION WATCH PRIZE(メンズコンプリケーション賞)
Hermès
Arceau Le temps voyageur
メンズコンプリケーション部門でもレディース同様、エルメスのアルソー ル タン ヴォヤジャー が受賞しました。こちらはケースサイズが41mmでプラチナケース×チタンベゼルとなっています。欲しいです、これ。めちゃ恰好いい。26,850CHF(3,443,000円)です。
ICONIC WATCH PRIZE(アイコニック賞)
TAG Heuer
Monaco X Gulf
“ICONIC=象徴的” という意味だけあって、タグホイヤーのモナコ、そしてモナコといえばガルフって感じですね。どこか懐かしさを感じさせるこのガルフカラーがモナコを引き立てます。他のモデルに比べても、お財布に優しい価格ですね。7,250CHF(836,000円)です。
TOURBILLON WATCH PRIZE(トゥールビヨン賞)
H. Moser & Cie
Pioneer Cylindrical Tourbillon Skeleton
トゥールビヨンをも作ってしまうH.モーザー。しかもこの美しさ。こんなシンプルでスッケスケなトゥールビヨン、珍しいですよね。グランプリを取ったMB&Fとのコラボを以前したこともありますが、そのノウハウが詰め込まれているようなモデルですね。79,000CHF(10,250,000円)という当然という感じの価格です。
CALENDAR AND ASTRONOMY WATCH PRIZE(カレンダー&天文時計賞)
Krayon
Anywhere
クレヨンという可愛らしいブランド名ではあるが、本格的な複雑機構を搭載した時計作りをしているブランドなんです。その代表モデルがこのAnywhereです。39mm径のケースに9.5mmという薄さに作られたこの時計は、日の出・日の入が可視化されているという面白い機構。これ、ただ単にざっくり表示しているのではなく、緯度経度・夏至冬至も設定するようになっています。自分ではできないので、納品時やオーバーホール時に設定するようになっているそうで、カレンダーは自分で調整可能ということだそうです。125,000CHF(約1,850万円)となっています。
MECHANICAL EXCEPTION WATCH PRIZE(メカニカル エクセプション賞)
Ferdinand Berthoud
FB 2RSM.2-1
フェルディナント・ベルトゥーというブランドなんですが、こちらもかなりの複雑機構を搭載しております。香箱に巻き付くチェーンがあったり、トゥールビヨンだったりと見た目も個性的だけどやっぱり中身も個性的な一本。270,000CHF(約4,000万円)ということのようです。
CHRONOGRAPH WATCH PRIZE(クロノグラフ賞)
Grönefeld
1941 Grönograaf Tantalum
グローネフェルトというオランダ人兄弟のブランドのようです。詳しくは全く分かりませんが、複雑機構をメインに作っているブランドだと書いてありました。モデル名のグロノグラーフは恐らくオランダ語でクロノグラフということは想像できますが、裏スケからのムーブメントは最高に恰好いいですね。使われている金属がタンタルというレアメタルのようで、価格が180,500CHF(約2,650万円)という、気の遠くなる価格です。
DIVER’S WATCH PRIZE(ダイバーズ賞)
Tudor
Pelagos FXD
2021年11月に突如としてリリースされたチューダーの新作、ペラゴスFXDです。フランス海軍の権威ある戦闘ダイバー部隊として知られる “コマンドー・ユベール” の協力のもと開発された実用的なダイバーズウオッチです。お持ちの方も多いと思います。価格は3,700CHF(474,100円)と、フレンドリーな価格で安心です。
JEWELLERY WATCH PRIZE(ジュエリーウォッチ賞)
Bulgari
Serpenti Misteriosi High Jewellery
ブルガリのセルペンティといえば、憧れている女性も多いのではないでしょうか?ヘビの口の中にある時計は、クオーツではなく機械式時計となっています。価格は246,000CHF(約3,600万円)です。
ARTISTIC CRAFTS WATCH PRIZE(アーティスティック クラフト賞)
Voutilainen
Ji-Ku
漆工棟梁 北村辰夫による漆芸装飾 ‘彩影蒔絵’の細密な切貝や切金の目映いばかりの自然の彩りと輝きは、世界中の「時間の光線」を文字盤全面に表しています。都市表示と24時間の周回ディスプレイは、リュウズ操作でクイックにセッティングできる機構。というワールドタイマーです。365,000CHF(約5,400万円)だそうです。
“PETITE AIGUILLE” PRIZE(小さな針賞)
Trilobe
Nuit Fantastique Dune Edition
特徴的な文字盤を持つトリローブのニュイ・ファンタスティック サンド文字盤です。これからもっと伸びていく将来性のあるブランドということで、今回は小さな針賞をゲットです。文字盤のクル・ド・パリがアクセントとなっていて、素敵ですね。価格は9,800CHF(約145万円)です。いいんじゃないでしょうか?
CHALLENGE WATCH PRIZE(チャレンジ賞)
M.A.D. Editions
M.A.D.1 Red
金の針賞を取ったMB&Fのマキシミリアン・ブッサーが手掛けるもう一つのプロジェクトがこのM.A.D.です。文字盤と思える部分にあるローターがブンブン回って、ケースサイドに時間が表示されるという訳の分からない型に嵌らないモデル。説明してもわからないと思うので、下の動画をご覧ください。価格が3,125CHF(約46万円)ということで、低価格でMB&Fテイストを感じることのできるブランドです。
CHRONOMETRY PRIZE(クロノメトリー賞)
Grand Seiko
Kodo Constant-force Tourbillon
コンスタントフォース脱進機構と通常のトゥールビヨンを同軸配置した同軸構成のコンスタントフォース・トゥールビヨンです。もうこれ以上ないぐらい凄い機構を搭載したグランドセイコーの意地が垣間見えるモデルです。価格は382,000CHF(44,000,000円)となっています。
“HOROLOGICAL REVELATION” PRIZE(オロロジー レベレーション賞)
Sylvain Pinaud
Origine
シルヴァン ピノーというフランス出身の独立時計師。それ以外はよく知りません。しかしこのモデルはちょっと僕好みだったりします。価格は73,200CHF(1,080万円)というので、縁がなさそうな感じです。
AUDACITY PRIZE(オーダシティ賞)
Bulgari
Octo Finissimo Ultra 10th Anniversary
1.8mmという極薄の機械式時計を作り上げたこのオクト フィニッシモ ウルトラ 10th アニバーサリーは、ブルガリの自信作。世界最薄の機械式時計として君臨しています。価格は427,000CHF(約6,300万円)です。
INNOVATION PRIZE(イノベーション賞)
Van Cleef & Arpels
Lady Arpels Heures Florales Cerisier watch
セレブ御用達の宝飾ブランド、 ヴァン クリーフ&アーペルからレディ アーペル ユール フローラル スリジエ ウォッチがイノベーション賞を受賞。リンネの花時計からインスピレーションを得たデザインだそうです。価格は247,000CHF(38,544,000円)です。
というわけで、時計界のアカデミー賞と言われているGPHG2022はこのような結果となりました。当然、受賞した各時計は凄いのですが、ノミネートされたモデルも凄く魅力的なものが多く、選ぶのが大変だと思います。受賞すると “箔が付く” ということで、セールスにも影響してくるかと思います。
がしかし、この賞に参加するのには参加ブランドが参加料を払っているんですよね・・・チューダーはノミネートされているのにロレックス、オメガがないのは、参加していないから。オーデマピゲがノミネートされているのにパテックフィリップやランゲアンドゾーネがないのは、単純にそういうことなんです。そういう意味で言うと、この賞自体が宣伝としての効果がメインのように、てか宣伝そのもの・・・なんて思ってしまいます。全てのブランドを対象としていないところが、残念なんです。
でもそれはそれとして、賞を楽しむってことも大事ですよね。受賞された関係者の皆様、おめでとうございました。
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