パテック・フィリップ 初代ノーチラスを考察する

パテック・フィリップという歴史ある貴族の時計ブランドが、新たなるカテゴリーを切り開いたのが1976年。それは、今までの常識を覆す挑戦だったのかも知れません。

ゴールド素材がメインの雲上ブランド界に、突如として現れたステンレススティールのモデル。そして今や、時計愛好家には「垂涎の的」となっているこれこそが、”ノーチラス“というモデルです。

そんなノーチラスですが、10年前までは並行店で「ちょっと高いステンレス時計」といった感じで購入することができました。今のように人気が爆発したのは、ほんのごく数年前からです。市場って、面白いもんですね。

今回は、そんな1976年に生まれたノーチラスの”初代 Ref.3700 シリーズ“を見ていきたいと思います。

この初代ノーチラスは、1976年~1990年まで製造されておりました。今では想像もつきませんが、「不人気モデル」というレッテルを貼られていたのですが、元々製造している個体数の少なさから、今では希少価値がウナギ登りどころか、アナコンダ登りぐらいに太く長くなっています。

ご存じの方も多いと思いますが、この時計は時計界の天才デザイナー、ジェラルド・ジェンタ氏によって考え出されたデザイン。

彼の書いたスケッチだが、文字盤には「gerald」の文字が描かれている通り、実は試作品を彼の工房で制作していたそうです。そして生まれたのが、”3700“です。この3700には大きく分けて前期と後期があり、”3700-1“が前期、”3700-11“が後期となっています。

この”3700“には様々なバリエーションが存在しています。詳しく見ていきたいと思います。

 

3700-1A (1976-1982)

製造初期ステンレス製モデルで、”ラージブレスレット“と呼ばれているモデルです。このモデルが一般的に出回っており、3500本ほど製造されたと言われています。

 

3700-11A(1982-1990)

後期に製造されたステンレス製のモデルで、”シン(thin )ブレスレット“と呼ばれています。初期のモデルは、ブレスレットのリンクが大きくて幅広だったのに対し、後期になると、薄くなっており、リンクの数も違います。製造本数は、1300本程度と言われています。

 

3700-1AJ

初期コンビ・ラージブレスレットモデルです。製造数は、600本と言われています。大変希少ですね。その中でも、文字盤がゴールドのモノがあり、これまた大変希少です。

 

3700-11AJ

後期モデルの”3700-11AJ“です。製造数は、300本と言われています。めちゃくちゃ恰好いいですね。欲しくて仕方がありません。

 

3700-1J

初期型金無垢モデル、”3700-1J“です。こちらも、文字盤がゴールドの個体が確認されています。

 

3700-11J

後期モデルの”3700-011J“です。金無垢モデルは前期・後期(ダイヤモンドモデル含む)合わせて1500本ほどの製造と言われています。手が出せない価格でしょうね。

 

3700-1G and 3700-11G

あまりに希少なので、見れることすら不可能に近いホワイトゴールド製3700です。こちらにも一応、”3700-1G“、”3700-11G“という前期後期があるようですが、製造された数が、15本程度と言われています。

写真のモデルは2016年クリスティーズオークションにて出品されたもので、日本円にして約4000万円で落札されました。

 

3700-1P

最後になりますが、これ、ホワイトゴールドのモデルと同じようにみえます。が、違います。”3700-1P“、そうです、プラチナ製のモデルなんです。しかも製造数が僅か、1本。実際にオークションに出品されました。リンク先はこちらです。

落札価格が、日本円で約8600万円です。まさしく”“の個体です。そう考えると、歴史的な意味合いやブランドが持つ価値からして、アンダー1億円は「破格」なのかもしれません。


パテック・フィリップ、ため息の出るブランドですね。正直言ってノーチラスにこだわる必要はないかな、と思ったりしますが、やっぱり「ステータスシンボル」なんですよね。初期モデル、メチャ欲しい。自己満足って怖いです・・・