コロナ終焉後の高級時計市場はどうなの?

2020年初頭の新型コロナウイスルが最初に蔓延しだした頃、時計業界だけではなく世界の経済が混乱しました。そんなことが記憶に新しいのですが、今では戦争をしている地域や貧困国以外の国では以前のような経済活動が戻ってきている感じがします。

しかし経済と一括りに言っても、各業界それぞれの先行きは一緒ではありません。私は経済アナリストでもなければメディアに度々出てくる時計評論家さんでもありませんのでその内部のことはよくわかりませんが、表向きに出されているデータは誰でも見ることができ、そこからの予想なり考察なりは自由にできます。

ということで、時々こんな話題を取り上げるのですが、今回も僕が知り得たことから高級時計市場のこれからの動向を資料を参考に見ていきたいと思います。

結論から言うと、引き続きスイスの時計業界は好調・・・「そんなこと知っとるわ!」と言われそうですね(汗)

パンデミックの初期のころからのトレンドが続いており、2023年3月のスイスの時計業界に於ける輸出量が急増しているというニュースがBloombergの4月25日の記事に載っており、その受け売り情報なんですけど、許してください。一応、記事のリンクは画像に貼ってます。
その輸出量の急増というのは、香港のコロナ規制が緩和されたとうことが大きい要因のようです。

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スイス時計協会FHが火曜日に発表した新しい報告書によりますと、輸出額は先月に13.8%増の24億スイスフランとなりました。また、輸出量も30万本の時計が増加、総計150万本を超え、昨年同月比23.9%の増加となっているようです。

時計に関しての主要な市場として6か所ほど貿易関連の団体が認めているのが、”米国・香港・中国・シンガポール・日本・英国” で、この全てへの輸出量は増加していると言います。そして最も増加したのが香港です。今ではアメリカに次いで2番目の市場で世界の時計市場の中心的存在なのですが、スイス時計協会FHの出す資料によりますと、なんとなんと、+61.9%という大きな増加になっています。

世界の2番目の市場である香港、マスクの義務が先月解除され、3年間のコロナ規制の後、現在経済を再活性化しようとしているのが如実に数字に表れています。輸入量の順位的に首位の香港、2位の中国(+14%)、シンガポール(+19%)では高級時計に対する強い需要が見て取れます。しかし、報告書で挙げられた他の主要市場では若干の冷え込みの兆候が見られます。世界第一位の市場を誇るアメリカへの輸出はわずか7.8%増加にとどまっており、2月の増加量が+16%だったのでその半分以下という数字が出ています。日本(+1.5%)や英国(+7.5%)も、それぞれ期待からは下回ったといえるのではないでしょうか。逆にこの表には記載されていませんが、ドイツが+11.4%でフランスが+14.6%と地域によって市場の活性度合いが日本よりも大きいのがよく見て取れる結果となっています。

スイスの時計ブランドにとって、コロナの影響は大きかったにしても過去数年間は好調でした。しかし業界関係者はこの数年間の前例のない高級時計ブームが永遠に続くわけではないことをよく理解しています。ブームはその名の通り、ブームなのです。その感覚は一般の我々にはなかなか知り得るところではないのですが、先月、パテック フィリップの社長であるティエリー・スターン氏がいつもながらのドヤ顔で「わずかな減速の兆候を見始めている。」とブルームバーグに語っています。

時計業界の流れを熟知している彼には、感じる何かがあるのでしょう。とはいうものの2023年の時計業界は引き続き、非常に良い年なのではないかと私は思っております。問題なのは、本来なら日本へ入ってくる時計が、経済がコロナ後に大きく活性化している他の地域に行ってしまっているという事実が気になります。個人レベルの話としては、子供の学費を工面することに必死なので時計どころではないというのが実情です。