パーペチュアルカレンダーとアニュアルカレンダーの違いとは?
- 2019.09.19
- ロレックス
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時計の世界には、たくさんの専門用語があります。店員さんが普通に使ってくる場合もあります。時計好きの友達と話をしていて、さも当然知ってるだろうと使われた用語がわからない…なんてこともあります。
そんな中でも、複雑機構である”パーペチュアルカレンダー“や、”アニュアルカレンダー“なんてのがモデル名、及びスペックに記載されていたりします。
この2つ、「似て非なるもの」なんです。では違いは何なのでしょうか?一緒に勉強していきましょう!
歴史
アニュアルカレンダーの歴史
アニュアルカレンダーは、1996年にパテック・フィリップがバーゼルで発表したのが最初です。このモデルは”Ref.5035 “というモデルで、パテック・フィリップ社のアニュアルカレンダーの基礎となっています。

それほど歴史のある機構ではないのですが、優れた技術がないと作れない複雑機構です。
パーペチュアルカレンダーの歴史
パーペチュアルカレンダーは、1795年に”天才時計師アブラアン=ルイ・ブレゲ“がその機構を考案したと言われています。ブレゲって凄いですね。トゥールビヨンやミニッツリピーターもブレゲです。1783年に受注し、1827年に完成したとされる”ブレゲNo.160(別名:マリー・アントワネット)“というモデルに搭載されていました。

その歴史は、200年以上前に考え出されていたというのですから、ブレゲの凄さに脱帽です。
意味
アニュアルカレンダーとは一体どういう意味なのでしょうか。
「Annual・・・年次、毎年の、年に一回の」などがあります。この、「年に一回の」という意味がこの時計に関しては妥当だと思います。日本語では、「年次カレンダー」と呼ばれています。

パーペチュアルカレンダーとは、どんな意味なのでしょうか。
「Perpetual・・・永遠の、永久の、果てしない」などがあります。これは、「永久の」という意味で間違いありません。日本語では、「永久カレンダー」と呼ばれています。

機能
このカレンダーですが、普通のカレンダーとの違いは何なのでしょう?
普通のデイトの付いた時計は、デイトの数字が”31″まであり、2・4・6・9・11月では日数が31日未満なので、その次の月に入ると1日に送ってやる必要があります。
しかし今回紹介している「アニュアルカレンダー」と「パーペチュアルカレンダー」では、ほぼ、不要な作業となります。
まずは「アニュアルカレンダー」から。
これは、2月を除く月を自動的に「30日の月か31日の月か」を判別しています。2月は28日(29日)となりますので、3月1日だけは手動で調整する必要があります。しかし何が凄いかって、機械式時計でこの判別をさせていることですよね。3月1日のみ、この「年に一度」の作業から、「アニュアルカレンダー」と呼ばれています。

対して「パーペチュアルカレンダー」です。もうお分かりですね。永久なんです。2月の28日を計算しているんです。更にさらに、4年に一度の閏年(うるうどし)である”2月29日”がある年も、調整不要なんです。ほぼ永久に調整不要、強いて言えば、機械式時計特有の「日差」を合わせてやる程度です。

しかし実は調整が必要な年があることはあります。なぜなら、パーペチュアルカレンダーは、ユリウス暦に適合しているからです。あまり知らない人も多いかと思いますが、4年に一度来ることだけが「閏年」の条件ではありません。もう一つ条件があります。これだけは、「パーペチュアルカレンダー」も対応していません。
ユリウス暦とグレゴリウス暦について
ここからは、少し長い説明となりますので、興味のある方のみご覧ください。
簡単にユリウス暦の説明をすると、
「ほとんど今と変わらない」
です。ユリウス暦は、紀元前45年にユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)によって制定された暦です。こんな昔に、太陽の動きを計算して、現在とほぼ変わらない1年を計算したのは、いつの時代も天才がいるものだなぁと感心させられます。
ユリウス暦も、1年を365日としておりますが、実際の太陽年と比較すると1年で約0.2422日の誤差があります。これは、約5時間49分多いということになります。「5時間49分/年」とはほぼ正確で凄いのですが、この多く貯まった分、これをも修正したのが4年に一度の閏年です。
ユリウス暦も、この閏年を2月29日に組み込んでいます。完璧に近いです。
しかし1582年にグレゴリオ暦へと変わったのですが、では違いは何だったのでしょう。
閏年である2月29日の1日を4年に一度足してやると、
0.2422日×4年=0.9688日
と限りなく”1日”に近づいた日を追加したこととなります。これがユリウス暦ですが、結局”1日“ではありません。0.0312日、時間に直すと約45分ほど今度は少ないのがわかります。このわずかな誤差をさらに解消したのがグレゴリオ暦であり、定義にはこうあります。
4年ごとに閏年を設けるシステムはそのままに、新たに西暦の年数が100で割り切れるが、400では割り切れない年は閏年ではなく「普通の年」とする。
というのがあります。わかりやすく言うと、西暦2000年は閏年でした。2000は100で割り切れて400でも割り切れるので、上の条件から外れて閏年となります。直近でいうと2016年も閏年でしたが、100で割れないということで、こちらも条件から外れます。
こうしてみると、100は4の倍数なので、2000から100年後の2100年も閏年となります。2100は100で割り切れます。
しかし、400では割り切れない数字です。
ということは、グレゴリウス暦の条件に合致する年ということで、「西暦2100年は閏年の流れですが、閏年としない」となっています。
ということで、ユリウス暦に準じているパーペチュアルカレンダーでは、今から約80年後の2100年は閏年ではないので、閏年として認識してしまうのを修正してやる必要があります。この次の修正年はそれから100年後の2200年、その次は2300年となり、西暦2400年は400で割れてしまうので、閏年となります。
というより、西暦2100年ですらオサーンは全くもって跡形もなく消えていますので、全然気にする必要はないのですけどね。
結論
ということで、パーペチュアルカレンダーはアニュアルカレンダーよりもかなり計算されて作られているので、価格も当然高くなっています。現代に生きている人がパーペチュアルカレンダーを手にすると、デイトの修正が必要ではないので安心してください。
しかし、次の世代へとその時計を受け継ぐ予定のある方は、
「2100年は閏年ちゃうから、2月28日が終わったら3月1日に進めてや」
と遺言をしっかりと残してあげてください。
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