【ロレックス】新作の影響で再び注目が集まるレアモデル

2020年ロレックスの新作発表で、一番衝撃を与えたモデルはサブマリーナではなく、オイスターパーペチュアルだったのではないでしょうか。それまでは、カラーバリエーションこそいくつかあったものの、至って使い勝手の良いカラーに納まっていた。派手な色と言えば、レッドグレープぐらいだったでしょうか。

そのレッドグレープでも奇抜とまでは行かない、カジュアルで使いやすいカラーだったと思います。

しかし2020年には39mmオイスターパーペチュアル製造終了41mmとサイズアップし、カラーバリエーションが豊富となったはご存知の通りかと思います。何てったって、大人気。まさかの「裏から出てくる人気モデル」、略して「裏モデル」として、いつまでこの状態が続くかわかりませんが、レアモデルとなりつつあります。

グリーンターコイズブルーはともかく、何とも奇抜なマットカラーを採用しているコーラルレッドイエローは、なかなかのインパクト。仕様で少しイレギュラーなのが、シルバーダイヤルで、このモデルのみゴールドの針を採用しています。これは、視認性の関係だと思います。

今回、私が取り上げるのはこういうことではありません。この奇抜なダイヤルカラーについて取り上げたいと思っています。

今ではマットなカラーダイヤルと言えば、2020年に入れ替わりとして製造終了した “スマーフ“ことサブマリーナ 116619LBブルー、そしてGMTマスター50周年としてのアニバーサリーモデル、いつしか “ファラオ” と一部でいわれるようになった GMTマスターII 116718LNグリーンが記憶に新しいかと思います。

この両モデルは今となれば大きく価格が上昇しておりますが、プロフェッショナルモデル製造終了モデルということを考えると、ある程度予想の範疇かと思います。これも今回取り上げたいモデルではありません。

実は先日、オークションハウス “クリスティーズ” のオークションを見ていたのですが、驚くほど高値での落札を目の当たりにして、かなり注目されていることを再認識したモデルがありました。それは・・・

デイデイト ステラダイヤル

です。

デイデイトというと「プレジデントウォッチ」と言われ、ビジネスウォッチとして、そしてドレスウォッチとしての最高峰に君臨しています。ビジネス寄りのモデルはシックな色使い、ドレス寄りには宝飾や煌びやかな色使いのモデルが存在します。中でもその昔、中東諸国向けに製造されたと言われるモデルが存在します。それが、ステラダイヤルと呼ばれるカラーダイヤルモデルです。

そうなんです。この色使いは、2020年の新たに登場したオイスターパーペチュアルを見た時に、「はっ!」と思い出されました。この「ステラダイヤル(ステラ=星)」という呼び名は、”ポールニューマン(手巻きデイトナ)” や “キリー(プレデイトナ)” などのニックネームではなく、実際にロレックスが公式に  ‘Lacquered Stella’ と1970年代には使っていた表記というのも、少し面白い。

1960年代には、トルコ石オニキスラピスなどを使ったダイヤルを中東向けに作っていたが、1970年代~1980年代には写真にあるラッカーダイヤルの「ステラダイヤル Ref.1802 / 1803」を作り売り出しました。

しかしこれが売れなかった。そう、デイデイトに求められているのは “派手さ” ではなく、落ち着いたクラシックカラーだった。そこで一気に見切りをつけたロレックスは、時計を回収し、このダイヤルを人気のブラックホワイトシルバーなどの定番色へと取り替えたと言われています。そのダイヤルはどうしたか・・・それは、”破棄” されたと思われます。

これは今日、ステラダイヤル Ref.1802 / 1803 デイデイトを中古市場でもほとんど見ない原因らしいです。逆にいうと、”見つけたら買い” ということができます(価格に限度はありますが)。

そして、私が先日参加したオークション “CHRISTIE’S Watches Online: Dubai Edit” にも登場してきました。私は今回のこのステラダイヤルデイデイトがオークションの裏の主役だと思っています。一緒に見てみましょう。

LOT 91 Ref.1802

1972年のスタンプがあるギャランティ。驚くことに、入札前に提示されていた予想落札価格が、120,000ドル – 200,000ドルとなっており、しょっぱなから1,200万円を超えている状態。結果は・・・

 

2,500万円での落札となりました。恐ろしい。デイデイトの素材がいくらゴールドで、ダイヤモンドが付いているとはいえ、ここまで上がるとは思わなかった。

 

LOT 92 Ref.1803

1973年製ですが、こちらはギャランティがない。それでいて、100,000ドル – 150,000ドルという予想価格。もちろんスタート時から1,000円オーバーしている。結果はこうでした。

 

それほど上がらなかったとはいえ、結果は約1,300万円。買える価格ではない。

 

LOT 93 Ref.18239

最後のステラダイヤルは、1995年製5桁デイデイトホワイトゴールド製です。ヴィンテージというほど古くないこの個体、どのような評価なのでしょう。

 

予想価格80,000ドル – 120,000ドルという、今までよりは若干低めでしたが、結果は約1,439万円で終了。5桁モデルでもステラダイヤルは強いことを証明しました。

これを受けて、世界の二次マーケットにはハンターたちがステラダイヤルを根こそぎかっさらう可能性もあります。4桁リファレンスステラダイヤルはかなり厳しい現状なので、狙うは5桁リファレンスかと思います。

もちろん5桁でも価格は高いと思います。でもデイデイトは元々価格設定が高いモデル。当然、それなりのプレ値で買うことになるでしょうが、数年後には1000万円〜1500万円オーバーになっても不思議ではない勢いです(また反対も然り)。

手巻きデイトナ400万円〜500万円辺りで買われた方がウホウホしているのを見ると、このエリアにはまだチャンスが転がっているのかも知れませんね。