ロレックス 記念モデルを考察する
- 2019.12.03
- ロレックス 時計情報局 海外ブランド
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ロレックスとオメガはよく対比されるブランドだが、決定的な違いは何かと聞かれると、私は「限定モデルを作るか作らないか」と答える。それぐらいオメガは “〇〇限定” というモデルを頻発する。それはそれでいい。否定はしないし、欲しいモデルも数多い。
対してロレックスは、ほとんどと言っていいほど、作らない。数年間定番モデルを作り続けてマイナーチェンジなどをする。でも限定生産ではないにも関わらず、プレミア価格となるモデルが多い。
しかしそんなロレックスも、そのモデルが誕生して50年などキリのいい期間が来ると、記念モデルを出す傾向がある。これは人気になるに決まっている。「〇〇だから限定モデル」ということをあまりしないロレックスが出す記念モデル。これは興味をそそられる。
というわけで、今回はその興味をそそるロレックス アニバーサリーモデルをフィーチャーしたいと思います。
1976年 オイスターケース 生誕50周年記念
Ref.1530 / Ref.1630
今では、各モデルの記念モデルが登場しておりますが、今やロレックスでは当たり前となっている「オイスターケース」の誕生も大きな歴史の一つです。そのオイスターケース誕生50周年を記念して、当時販売されていた “オイスタークォーツ“のケースを用い、「オイスターパーペチュアル デイト」を発表します。
1926年に誕生したオイスターケースは、現在のロレックスの地位を作り上げた機構のひとつで、現在まで改良に改良を加え、素晴らしい防水性能を発揮しています。
このモデルもすでにアンティークロレックスとなっており、かなりレアです。
あと数年で100周年も迎えます。その時も、何かしら特別なモデルが出てくることでしょう。
2003年 サブマリーナ 生誕50周年記念
Ref.16610LV
ダイバーズウォッチとしてのスタイルを確立させたと言っても過言ではない「サブマリーナ」。数々の有名・著名人が愛用し、数々の映画でも使われたこのモデルは、1953年に誕生し、2003年に50周年を迎えました。
そこへロレックスが投入したのが、コーポレートカラーであるグリーンをベゼルに使ったサブマリーナでした。
しかし今では信じ難いことですが、当時は「イロモノ」よりも「ブラック」が人気の時代でした。もちろんそれなりには人気はありましたが、並行店では40万円ぐらいで売っていた記憶があります。しかも当時は “ファット4” や “ビッグスイス” などの今でいう”レア仕様“は注目されてなかったので、ノーマル仕様と横並びで価格差はありませんでした。
2005年 GMTマスター 生誕50周年記念
Ref.116718LN
1955年に登場した、国際線のパイロット向けとも言われるGMTマスターの記念モデルです。グリーンダイヤル × 金無垢で、見た目以上に素敵なモデルなのですが、このモデルから採用されたパーツがあります。
今では多くのムーブメントに使われているパラクロムヒゲゼンマイです。これにより温度変化や磁気に強く、精度が安定しました。
また、ベゼルがこれまでアルミ製など金属素材だったのが、高い耐久性、特に傷には強いセラクロムベゼルになったのは、大きなロレックスの分岐点となりました。そういったことを考慮すると、この “Ref.116718LN” は、新時代の幕開け的なモデルなのかもしれません。
2005年 ロレックス社100周年記念
Cellini Prince
チェリーニ・プリンスというモデルは大変歴史が古く、1928年にデビューしました。16世紀のイタリア・ルネッサンスの彫刻師であるベンベヌト・チェリーニからネーミングされています。

“医師への贈り物”としての需要に対応する手巻モデルで、角型ケースに独立した秒針と、ロレックスの中でも異彩を放つデザインです。

ロレックス初のスケルトンケースバックで、2005年のバーゼルで4モデルが発表され話題となりました。これはロレックス社がロンドンに本拠地を移してから100年という節目記念となっています。

72時間のパワーリザーブ手巻きモデルで、誰とも被らないモデルだと思います。大変美しい作りとなっているので、一風変わったモデルを狙ってみてはどうでしょう。

2006年 デイデイト生誕50周年記念
Ref.118348
50周年記念モデルにグリーンを採用したサブマリーナ、GMTマスターに続いて、デイデイトもダイヤルにグリーンを使ってきました。
イエローゴールド無垢にパヴェダイヤという豪華な仕様にしたことにより、定価がかなり高い設定となりました。当時は並行店で定価の2/3程度で数年前まで流通していました。
しかし今では、なかなか市場に出回りが少なく、徐々に価格が高騰してきております。最近は、デイデイトの人気も幅広くなってきているようで、こういった記念モデルもレアとなってきています。
ダイヤモンドベゼルは、高級感満載ですね。なかなか普段使いは難しいそうですが、コレクションには持って来いの美しさです。
2007年 ミルガウス生誕50周年記念
Ref.116400GV
レントゲン技師など強い帯磁が心配される医療関係者向けに、1950年代誕生したのがミルガウスです。こだわった性能、その絞ったターゲット故、ミルガウスは「不人気」という不遇の時期を長期間過ごすこととなりました。そして1970年にミルガウスはロレックスのラインナップから姿を消しました。
しかしミルガウス生誕50周年を迎えた2007年、ダイヤルにグリーンではなく、風防にグリーンサファイヤクリスタルを搭載したモデルが登場しました。一気に人気となり、発売当初はかなりのプレミア価格だったと思います。
ムーブメントには耐磁用パーツを用いたミルガウス専用のCal.3131を採用、パラクロムヒゲゼンマイや非帯磁素材をガンギ車・アンクルに搭載するなど、対・帯磁に特化したモデルと言えます。
2013年 コスモグラフデイトナ生誕50周年記念
Ref.116506
デイトナが誕生して50年。やはりロレックスの”顔“として、腕時計の人気No.1モデルとして君臨するデイトナは、他とは一線を画す記念モデルとして登場しました。
プラチナ無垢です。「アイスブルー」と呼ばれる透き通るような美しいダイヤルは、プラチナモデルにしか使われないロレックスの特別なカラーとして今や浸透しています。このデザイン・カラーは一目見て”スペシャル“な雰囲気を持っており、価格が相当高いにも関わらず、かなりの人気となっています。思っている以上に保有している人が多いようです。
インデックスにバケットダイヤを使用したモデルや、パヴェダイヤなどがありますが、中東用に作られた「アラビア語数字」によるダイヤルは、一味違った風格があります。
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2014年 シードゥエラーディープシー D-BLUE マリアナ海溝 単独潜水記念
Ref.116660
2012年、映画監督として有名なジェームズ・キャメロンが深海に挑む “ディープシー・チャレンジ” として、マリアナ海溝の最深部への単独潜水を目指しました。その時に、下の画像の赤丸部にロレックスが作った特別モデル、”Deepsea Challenge” をアームに取り付けて潜水。見事、ジェームズ・キャメロンとロレックスはその挑戦に打ち勝ちました。
その功績を記念して、珍しくロレックスが記念モデルを制作。実はこのモデル、ロレックスファンが毎年楽しみにしている「バーゼルワールド」での発表ではなく、突如として出てまいりました。そんなロレックスでは例外的なデビューを果たしたDブルーは、一気に人気モデルへと駆け上がり、いつ製造終了するのかと言われ続けました。
ロレックスはそんな状況を知ってか知らずか、驚くことにマイナーチェンジという形で現行モデル “Ref.126660” として継続してラインナップされています。背景を見ると、ロレックスらしくない背景を持つモデルです。
2016年 デイデイト生誕60周年記念
デイデイト40
2016年に発表された「デイデイト60周年記念モデル」です。今までのグリーンとは少し色目の違う”オリーブグリーン“と呼ばれる渋めのダイヤルカラーとなっています。ローズゴールドとホワイトゴールドの2種類がリリースされ、ロレックスでは珍しくバーゼルワールドでの発表後間もなく、デリバリーされて実物を目にすることができました。

実は今、これが売れているんです。正規店に行っても、なかなか見る機会がないかもしれません。デイデイトのショーケースに向かわないという人もいるかもしれませんが、一度覗いてみてはいかがでしょうか。おそらく製造終了したら、価格は結構あがるんじゃないかと思います。かなり渋いです!

50周年モデルがイエローゴールド×パヴェダイヤというゴージャス仕様だったが、今回は普段から使いやすいシンプルなルックスとなっているのも、人気の一因だと思います。これは狙い目のモデルです。
2017年 シードゥエラー生誕50周年記念
Ref.126600
シードゥエラー生誕50周年を記念して2017年に発表された Ref.126600 です。ここは50周年でもグリーンをあえて使わず、初代シードゥエラーを思わせる “SEA DWELLER” の赤字でのプリントが目を引きます。
しかも、シードゥエラーでは今まで使われていなかった”サイクロップレンズ“がデイト表示部に使われています。これまでは深海での水圧を考慮して破損の恐れのある仕様は避けていたのだろうが、今回の採用ということは、強度面での裏付けが確認されたのだと思います。
このモデルに関して今、少し話題になっているのが、「6時位置の王冠透かし」です。当初製造されていたロットでは、この”透かし“はありませんでしたが、ここへきてこの”透かし“が入ってきています。
ちょっとした違いで大きな価格差を生むロレックスの仕様。今はそれほどでも、この初期ロット”透かしなし“が数年後、数十年後にもしかしたら「化ける」可能性もありますね。
こうして見てみると、記念モデルはやはり「グリーン」がキーワードとなります。直近の記念を見てみると、2021年に “エクスプローラーII” が50周年となります。これを考えると、2020年の新作は”エク2“ではなさそうですね。
そして取り立てて記念モデルだからということで、価格が大きく上がっているわけではありませんが、やはりその特別感からか、製造終了などのアナウンスには敏感になっています。欲しいモデルが次から次へと・・・
ロレックス・・・恐ろしいブランドですね・・・
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