ロレックスの製造工場を考察する ~オサーンと夢の時計工場~

今から約15年前に作られた映画で、「チャーリーとチョコレート工場(Charlie and the Chocolate Factory)」という映画がありました。ジョニー・デップ主演なので、結構有名ですよね。知っている方も多いと思いますが、この映画は1971年に制作された「夢のチョコレート工場(Willy Wonka & the Chocolate Factory)」という映画のリメイクになります。結構忠実にリメイクしておりますが、昔の映画の方が若干気持ち悪い作りになっていて、それが逆に摩訶不思議な内容にマッチしておりました。美味しい”ワンカ社“のチョコレートは秘密のベールに包まれており、その製造過程が極秘となっていました。そんなある日、製造ラインに世界に5つだけ金の工場見学チケットを封入し発売。世界中で買い求める人があふれ、パニックになりました。見事引き当てた子供たちはその工場に出向くと、その工場の案内人として出てくるのが、”チャーリー(J・デップ)“だというお話です。

夢のチョコレート工場(Willy Wonka & the Chocolate Factory) 1971

さて、この話の”チョコレート“と”ロレックス“に入れ替えても全く遜色のないお話になるかと思います。ロレックスの製造工場は秘密のベールに包まれており、それが逆に魅力となっております。でもちょっと知りたいですよね。
今回はそんな夢の工場へ足を踏み入れたことのある人のお話をご紹介したいと思います。

下の写真はジュネーブアカシアにあるロレックス社の本部です。ビエンヌシェーン・ブールプラン・レ・ワットといった拠点で製造された部品が集められ、ケーシングや最終検査などが行われます。

しかしその前にはたくさんの工程があります。下に紹介する場所は、スイスのプラン・レ・ワット(Plan-les-Ouates)工場です。ここでは、時計業界では大変珍しい”金の自社鋳造“が行われております。

24ct(kt)ゴールドを入荷し、18ct(kt)イエローゴールドホワイトゴールド、あるいはロレックスが独自に開発し特許を取得した18ct(kt)ピンクゴールド合金”エバーローズゴールド“を鋳出しています。ホワイトゴールドは、 金750‰250‰ニッケル系パラジウム系の合金で作られ、ピンクゴールドは、 金750‰250‰が混ざっています。それにより金属は硬くなり、変色しやすくなりますが、ロレックスは独自の特許技術で、変色しないように作り上げ、名前を”エバーローズゴールド“=「永遠なるローズゴールド」と名付けています(貴金属合金の混合比は重量比を千分率で表します)。その他、セラミックベゼルからブレスレットを構成する個々の部品、ヘアスプリング、それにムーブメントに使用する潤滑油に至るまでを自社製造しています。

また、デザインの歴史もここで勉強してみましょう。まず、”ROLEX“という名前です。

創業者のハンス・ウイルスドルフはドイツのバイエルン州生まれ。1900年初頭に腕時計製造の世界に足を踏み入れた。1905年、24歳の彼はロンドンで時計販売の専門会社を設立し、手首に着ける時計の構想を描き始めることに。当時は、懐中時計が主流だったにもかかわらず、ウイルスドルフは20世紀に向けて時代が移り変わるなかで腕時計がもつ可能性を予見していました。精度を高め、十分な防水性能と堅牢性を確保することで、腕時計が懐中時計に代わる存在になるという確信をもっていたわけです。その後、スイスラ・ショー・ド・フォンに移り住み、1920年にはジュネーブモントレ・ロレックスSAを設立。ロレックスという名前は「5文字以内でどんな言語で、発音がしやすく、記憶に残りやすい」ということで名付けられました。そして、時計のダイアルとムーブメントに刻印したときに美しく映えるという理由で考案された文字組みになります。
他には、ダイヤルに使われる”IIII(4)“は、本当は”IV“のはずです。しかしそこはデザインにこだわり、古い歴史のある”IIII“にしています。

そしてロレックスの代名詞である”オイスターケース“です。ドレスラインのチェリーニでさえ、100mの防水機能があります。では、潜水用の時計はどのような検査をしているのでしょうか?一度でも良いから、そんなテスト現場を見てみたいですね。そんなテストの一部がこちらです。

約1.3トンのスチールタンクに入れ、防水・防圧テストを受けているそうです。こういった徹底した製品管理が、ロレックスの人気でもあります。完璧主義者なんですね。そんな中から出てくるエラー個体が”超プレミア”になるのは、納得です。

ロレックスも、世界で発売している時計の中に「“当たり”を10枚入れました」なんてアナウンスした日には、ショーケースからドレスラインまでスッカラカンになってしまうんでしょうね。そうなるのは困るので、今まで通りがやはり良いのでしょう。