【ロレックス】エクスプローラーII Ref.1655 “スティーブマックイーン” について

ロレックスには様々な “愛称” があります。例えばGMTマスターII には、ペプシ・バットマン・コークなど。サブマリーナには、ハルクやカーミットといった感じですが、これらはそのルックスから連想されるニックネームです。

しかし有名人が愛用していたというこでニックネームが着けられた代表格が、デイトナ “ポール・ニューマン” ではないでしょうか？ロレックスの沼にはまり、ヴィンテージに逝ってしまった人には大きな壁として立ちふさがる超高額モデルです。

いつ見てもポール・ニューマンは恰好いい。人間も、時計も・・・

そして今回の本題に入ります。ロレックス “スティーブ・マックイーン” と言えば、どっちを想像されますか？これで、パッと頭にモデルが浮かぶだけでもかなりのロレックスマニアなんですが、どうでしょう？

左はエクスプローラーII Ref.1655、右はサブマリーナー Ref.5513 です。どうですか、みなさん？

そしてこの度、2023年５月15日にスイス・ジュネーブで開催された、サザビーズ “Important Watches: Part II” で “左” の「スティーブ・マックイーン」が登場しました。

とここで、ロレックスの研究家で歴史にも詳しいアメリカ人のジェイクさんが嚙みついた。”FAKE NEWS”とのタイトルで、「サザビーズは誤表記を続けている」と書いています。

実はジェイクさん、これまでエクスプローラーII Ref.1655 に”スティーブ・マックイーン” との表記がされているオークションにはクレームを度々出しています。なぜなら、

「スティーブ・マックイーンはエクスプローラーIIを着けたことがないから！」

衝撃の事実・・・

そうなんです。スティーブ・マックイーンがメディアの前で着けている時計は、サブマリーナーなんです。映画の撮影でタグホイヤーモナコを着けていたのは有名ですが、確かにどの写真を見てもサブマリーナーなんです。

前出のジェイクさん、これまでにAntiquorum（アンティコルム）やPhillips（フィリップス）などのオークションでも同様の表記を見つけ、ジェイクさんはPhillipsにその事実を伝え、議論の結果、「スティーブ・マックイーン」という表記をフィリップスが取り下げた過去があります。これを声高に訴えるのには理由があります。

まず第一に、愛用もしておらず着けることもなかった時計に、付加価値を付けている事実。ロレックスを長年研究してきた彼は言います。

「完全に事実を明確にするため、スティーブ・マックイーンが生涯を通じて複数のロレックス・サブマリーナモデルを着用していたという事実は、写真の証拠から明らかです。しかし、彼は決してロレックス・エクスプローラーを着用したことはありません。」

ではなぜ、エクスプローラーII Ref.1655にスティーブ・マックイーンというニックネームがついたのでしょうか？その理由もジェイクさんは語っています。

「1990年代、意図的にイタリアのオークションハウスが、オークションでロレックスエクスプローラーII Ref.1655により高い価格をつけようと思い、当時は既に “ポール・ニューマン・デイトナ” が成功しているのを見て、同じことを試みることにしたとされています。そのため、彼らはスティーブ・マックイーンとエクスプローラーII を関連付けることを試みました。」

そうなんです。ポール・ニューマンの成功にあやかって価格を吊り上げようと試みた策だったのです。

「確かに、これはインターネットのない時代（黎明期）であり、こういった騙し行為もスルーされる時代でした。しかしオークションハウスはこの時計との誤った関連付けを続け、しかもそれが浸透したため、他のオークションハウスもそれに乗っかり、その関連付けによってより多くの収益を生み出すことを見て、今のオークションハウスも同様の作用が起こっています。」

という事実を長年のロレックス研究の結果知っている彼は、こういったことが許されないと思っているのでしょう。そして今回もジェイクさんはサザビーズ側にメッセージを送っています。

「再度、公式にこの誤った関連付けについて修正していただくようお願い申し上げます。もしかすると、私の申し上げていることに対し、矛盾する情報をお持ちかもしれませんが、もしそうであれば、それを私に連絡していただきたく思います。もしもスティーブ・マックイーンとロレックス・エクスプローラーIIを関連付ける証拠を提供することができないのであれば、予定されているオークションのロットからこの誤った関連付けを削除していただくよう、お願い申し上げます。それは、時計業界の専門家としての評判を損なうだけでなく、この “フェイクニュース” を誤って世に広めてしまうからです。返信を待っています。」

という内容。しかしながら、サザビーズでの表記は修正されませんでした・・・