【ロレックス】認定中古プログラムを更に拡大
2022年に発表されて、年末にはヨーロッパの一部ロレックス正規店でスタートを切った「認定中古プログラム」ですが、つい前日、新たなる市場でスタートしました。スイス、オーストリア、ドイツ、フランス、デンマーク、およびイギリスで昨年12月に導入し賛否はあったと思うのですが、このプログラムが今月、世界一の市場である米国でもスタート。CPO(Certified Pre-Owned)が、5月3日(水)から世界最大の時計ショップであるトゥルノー(中古腕時計も世界大級)とブヘラのブティックで入手可能。価格はヨーロッパのブヘラHPが目安とのこと。
さて、ここでこのプログラムのおさらいをちょっとしてみたいと思います。正規ディーラーから購入され、3年以上経過したロレックス時計のみが認定中古プログラムの対象。そしてロレックスが通常の二次マーケットとの差別化をしている点があります。それは、ロレックス認定の中古時計を購入すると、証明書と新しい2年間の保証カードが提供されます。さらに、ロレックスの認定を意味する白タグを手に入れることができます。
過去20年を見ると、中古時計市場の拡大は凄まじいものがありますが、この流れはY世代(ミレニアル世代)とZ世代がこれからもけん引していくと思われます。この認定中古プログラムですが、ロレックスが始めるとビッグニュースとして世界を駆け巡りましたが、そうではありません。日本ではそれほど大きく取り上げられていませんでしたが、リシュモングループがWatchfinder(英国大手中古小売店)を買収し、中古時計市場に参入したのは2018年。2020年には、ロレックスなどの正規販売店で英国の大手時計小売店である “Watches of Switzerland” がAnalog:Shift(中古小売店)を買収しました。そして、昨年、時計メディアのHodinkeeがCrown&Caliber(中古小売店)を買収して中古市場に参入しました。その他、H. Moser & Cie、Vacheron Constantin、Cartier、Audemars Piguet、MB&Fなどのブランドも自社のCPOプログラムを運営するようになっています。
中古時計市場の懸念材料として挙げられる点は、信頼度だと思います。いくらいい目利きのスタッフがいても、それはどこまで行っても個人レベルではわからない部分があります。安い買い物ではないことが多いので、そこは大事な部分でもあります。それを考えると、ブランドが傘下に入れている中古小売店や、ブランド自身が運営しているCPOなら、その懸念は排除されるという最大の利点があり、その分野においては車の認定中古車という成功例が世界的に実証されているというバックボーンが、時計界の背中を押している要因かも知れません。
最初にロレックスが中古市場に参入すると聞いた時には、少し驚いたかもしれませんが、現在のロレックス販売店側にとっては、意味のあるものだと思います。というのも過去数年間、世界中のロレックスでは、”Display Only” や、”For Exhibition Only” というサンプルが並ぶだけの状態です。デイトナを始めとする人気モデルの問い合わせに、「ただいま在庫を・・・」といういつものフレーズを言い続ける毎日。一つの提案として、CPOはその一助になる場合もあるでしょう。また、スイスで10億ドルの新工場建設計画を発表してはいるものの、実際にそれが稼働するまでの間はこれまでと同じ入荷の状態で、認定中古ロレックスは供給不足を埋めるのに役立つかもしれません。
では、これまでコツコツと一生懸命に中古市場を支えてきた他の中古小売店はどう思っているのでしょうか?それはまた次回に・・・
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