ロレックス GMTマスターの歴史【終わりと始まり編】

はじめに

GMTマスターをデビュー時期から愛用していた有名人として、キューバの革命家でもあるカストロ議長がいる。彼の写真にはGMTマスターRef.6542が度々登場しており、お気に入りだったということがよくわかる。

Fidel Castro with Ref.6542 via www.rolexmagazine.com

そして、そんな彼に若くして出会い、自らも革命家としてキューバの歴史に名を刻むこととなった”チェ・ゲバラ”も、GMTマスターの愛用者でした。

Che Guevara with Ref.1675 via rolexmagazine.com

しかし当時、赤と青のベゼルが奇抜であったのがアダとなり、日本ではあまり受け入れられていなかったようです。今ではこぞって「ペプシ」「バットマン」を探し求めているが、今から20年前では「一番人気はブラック」だったようです。時代によって、波があるんですね。


Ref.16760

3rdモデルのGMTマスターRef.16750が発表されて僅か3年後に新たな扉を開いたロレックス。それまで2か国の時間帯を表示できるGMTマスターだったが、3か国の時刻を知ることのできるモデル、”GMTマスター2”を投入してきた。短針のみを単独で動かすことができるCal.3085を搭載し、ベゼルの併用により最大3つのタイムゾーンを把握することが可能となった。また、ベゼルは同時期に販売されていたGMTマスター1と差別化するため、「レッド×ブラック(コーク)」の2トーンカラーベゼルのみの展開だった。実はコークベゼルはRef.6542のホワイトダイヤルに使われていたが、市場に出たモデルではなかったので、初のリリースはRef.16760となる。

Ref.6542 Vanila Coke via rolexmagazine.com

しかしこのRef.16760は、わずか5年間の製造で幕を下ろすこととなる。GMTマスター1 Ref.16750と時を同じくしての製造中止であった。GMTマスター2はケースの厚みがあり、当時としては人気のあるモデルではなかった。例えば製造期間が長くて(約20年)人気がなかったミルガウスRef.1019は現在300万円近い価格へと暴騰しているが、このRef.16760は短命であったため、市場での流出量がかなり少なく、これからの価格上昇が一番噂されているモデルである。オサーンの勝手な考えではあるが、これは当時「GMTマスター2をこれからラインナップしていく上での、プロトタイプではないか?」と思っている。風防がサファイヤクリスタルガラスへ変わり、これまでのGMTマスター1の上位モデルと銘打ちながら、ベゼルは「コークのみ」。しかも「ステンレスモデルのみ」である。あきらかに様子見の感じが出ており、新たなムーブメントの開発後に本格投入しようとするステップではなかったのだろうか。

Ref.16760 Fat Lady

1988年、“GMTマスター1 Ref.16750”及び“GMTマスター2 Ref.16760”は製造終了した。

Ref.16700

Ref.16700 PEPSI
Ref.16700 Black

1990年、GMTマスター1の4thモデルであるRef.16700をリリースした。これまでのモデルには登場していた、「コンビモデル」「金無垢モデル」は投入されずにステンレスモデルの”ペプシ””ブラック”のみでの発表となった。ムーブメントも、Ref.16750から引き続きCal.3075が使用されていたが、後期モデルはCal.3175が搭載された。結果的にこの新ムーブメントは、このRef.16700の為だけに開発されたムーブメントとなった。
年を同じくして1990年に、GMTマスター2 Ref.16710 が発表されたこともあり、「GMTマスター1・2」が同時に新モデルラインナップという状況となった。一定の人気は得ていたものの、機能面でも”2”が上位であり、ルックスのバリエーションも2種類しかないRef.16700は、9年後の1999年に製造中止となり、以降、後継モデルの出ない廃番モデルとなったしまった。
これにより、1957年にリリースされたRef.6542から4世代目のRef16700まで約40年間の製造期間で、”GMTマスター1”は幕を下ろすこととなった。

16710

1990年に“GMTマスター1 Ref.16700”と時を同じくして発表された“GMTマスター2 Ref.16710”。3色のベゼルディスクを展開し、2007年までのロングセラーモデルとなった。特に2003年辺りからケースの横穴がなくなり、「横穴なし」が今となっては価格が高騰し、その他の仕様では「スティックダイヤル」と呼ばれるプリントされた文字の形の違いでレア個体と騒がれるなど、話題の多いモデルとなった。

Ref.16710

しかし日本ではペプシ・コークベゼルに比べ、ブラックが人気があった。どうしてもこれまでにないカラーリングの時計は敬遠されたようだ。黒一色は、締りがあり仕事に差し支えないということもあったのだろう。このRef.16710のZシリアルの途中からムーブメントが変更となり、Zシリアル途中~Mシリアル(製造終了)までの約1年ほどの製造期間のみ新型ムーブメントが搭載されているので、大変プレミア価格となり人気となっている。他はコンビモデル、Ref.16713も登場している。

Ref.16713

コンビモデルや金無垢モデルには他にもルビーやダイヤモンドがインデックスに配置されている豪華なモデルも誕生した。このラインナップのバリエーションの数が、ロレックスGMTマスター2に対する期待を感じる。もちろん金無垢モデル Ref.16718も登場している。

Ref.16718

ロレックスの期待を背負ったGMTマスターシリーズは、数多くのバリエーションがあるためか、海外の有名・著名人の人気モデルになっていった。しかし日本における人気は、”デイトナ”や”サブマリーナ”が圧倒的な人気であった。


今回は、GMTマスターが新たな機能を備え、”2”をリリースしてきた時代から”1”が消えるまでを見ていきました。”エクスプローラー2”2ndモデルからGMT針を導入し、GMTマスター1の立ち位置を取ってしまった感もあります。エクスプローラー“1”“2”では大きく見た目が違うので、「住み分け」ができているのに対し、GMTマスターは、外観の違いがほとんどないところが”1”の生き残れなかった理由かのかもしれない。

次回は「発展編」とまります。