ロレックス GMTマスターの歴史【誕生編】

はじめに

今や、押しも押されぬ人気モデル”GMTマスター”。2色に分かれた回転ベゼルや第4の針であるGMT針など、今までの時計とは全く違ったデザインが人気ですよね。特に回転ベゼルは、そのカラーからニックネームが付けられており、過去のモデルは軒並み高額で取引されるほど、ロレックスのラインナップの中ではトップクラスの人気モデルです。
今回はそんな”GMTマスター”の歴史を紐解いていこうと思います。


《誕生編》

Ref.6542

1955年、”パン アメリカン航空”のパイロットの支給品として開発されたと言われているモデルが誕生した。これにより、「陸のエクスプローラー」・「海のサブマリーナ」・「空のGMTマスター」なんて後に言われるようになりました。”GMTマスター”の特徴を簡単に説明すると、一つの時計で2か国の時間がわかる時計です。ちなみに”GMT”とは、”Greenwich Mean Time ”の略で、「グリニッジ標準時」という意味です。使い方としては、自国の時間は普通の時計として読み、対象の国の時差を回転ベゼルで合わせると、GMT針が指す「ベゼルの時間」が第二時刻となります。GMT針を読むのは文字盤の時刻ではなく、ベゼルの時刻となります。アナログ時計を一目見て、2か国の時間が分かるという、国際線に搭乗するパイロットには便利な機能であったわけです。

Ref.6542 via RolexMagazine.com
“IV.55″の刻印 via RolexMagazine.com

上の写真は1955年製造の”GMTマスター”の大変希少なファーストモデルです。この個体のケースを開けると、裏蓋内側に刻印があります。中央に”6542″とリファレンス番号があり、その下に”IV.55”とあります。この”IV.55”は、「1955年10月~12月」を意味します。そして当時の初期型の回転ベゼルは、ベークライト製(合成樹脂)であり、現在でも夜光が生きている個体が存在しています。

夜光ベゼル via RolexMagazin.com
bakelite via Rolexmagazine.com

ベークライトというよりも、透明のエポキシ樹脂とも言われているそうです。オサーンにはその違いがわかりません。しかし今なお、夜光が生きていることが信じられません。使われている物質は、※「ストロンチウム90」であり、現在は使用されていません。

※ストロンチウム(90Sr)は放射線量のレベルが高い上、半減期が28.9年ととても長く、自然界には存在しない非常に危険な元素です。 ストロンチウムは古くから花火やフェライト磁石・ブラウン管に使われてきました。現在でも色素含量や蛍光塗料などに広く使われています。第二次世界大戦の時にはドイツが硫化亜鉛とラジウムを主成分とした蛍光顔料を開発し、兵器類のメーターや時計の文字盤などに利用したのが始まりです。

そして、1958年に”Pan American World Airways(Pan AM)”の重役用に作られたのが、ホワイトダイヤルのRef.6542です。

アルビノ ”パン・ナム” ヴァニラコーク  via Rolexmagazine.com

スタンダードなブラックダイヤルは、パイロット用としてつくられました。1957年から、このGMTマスターRef.6542ペプシベゼル×ブラックダイヤルは一般販売されることとなる。ケースにはクラウンガードが無く、ベークライトベゼル、小さい△のGMT針、ミニッツサークル(文字盤外周に描かれている円)が次世代機には無いディティールを持つこととなります。
GMTマスターは高級機という立ち位置だったのだろう、ジュビリーブレス仕様も存在し、写真は、ゴールド×茶ベークライトベゼルの希少なモデルとなります。

Ref.6542/8 via Rob’s Rolex Chronicle

Ref.6542は耐久性の問題から、後期製造分よりベゼルがベークライト製からアルミ製へと変更になりました。

Ref.6542 アルミベゼル via www.bobswatches.com

Ref.1675

1960年からリューズガードを備えた新たなGMTマスターが登場、Ref.1675です。このRef.6542からの移行期にはプラスティック風防のRef.1675も存在しますが、希少となっている。ムーブメントもRef.6542Cal.1030を使用していましたが、Ref.1675は専用ムーブメントCal.1066、後にCal.1570を採用します。クラウンガードを搭載し、GMT針の三角形は大きく目立つようになります。ステンレスモデルには赤/青(ペプシ)ベゼル黒モノトーンベゼルの2種類がランナップした。そして、特別仕様の青モノトーンベゼル(ブルーベリー)もレギュラーモデルはないが、レアモデルとして存在している。

Ref.1675 黒・ペプシ・ブルーベリー

そしてこの2ndモデルであるRef.1655からコンビモデルも登場します。

Ref.1675/3  ブラウンモノトーン

茶色一色のベゼルも展開していたんですね。ダイヤルは”nipple dial”と呼ばれる金のアップライトインデックスです。日本では「フジツボ」と呼ばれています。他、茶色×金色「ルートビア」も登場します。黒のコンビモデルも登場し、ステンレスモデルとはダイヤルのインデックスで差別化を図っています。

Ref.1675/3 ルートビア・ブラック

そして引き続きRef.1675にもイエローゴールドモデルがあります。

Ref.1675/8 ブラウンモノトーン

眩いばかりのゴールドモデルです。しかし茶色のベゼル・ダイヤルで、特別感があります。実際はそれほど派手に感じないと思います。

このRef.1675はロングセラーモデルとして君臨した。約20年間の製造期間があり、その間に様々なマイナーチェンジが行われている。特にブレスレットの種類が豊富で、リベットブレス巻き込みブレスハードタイプといった様々なパターンのブレスが存在していた。海外ではこのブレスレットだけでも高値で取引されており、ブレスの取り除かれたヘッド(時計本体)のみの流通も目立ち、革ベルトが付いて流通したりしてますね


Ref.16750

これまでの防水性能が50mだったのに対し、Ref.16750からは100mと性能アップしました。他は、ムーブメントがCal.3075になり、カレンダーのクイックチェンジ機能が追加されました。デザイン面での変更は一つありますが、後程紹介します。大きな見た目の変更はありません。

ペプシ・ブラックの両スレンレスモデル

コンビモデルも、ラインナップは同じです。

やはりニップルダイヤルは高級感があっていいですね。ブラックも格好いいです。そして無垢モデルです。

スポーツモデルとは思えない高級感ですね。
さて、見た目の変更となりますが、今ではレアと言われているフチなしインデックスを紹介します。

左:フチナシ・右:フチアリ

インデックスの夜光塗料に金属(メタル)フチがない方が初期型、有るほうが後期型となっており、コレクターの間では、「フチナシ」に人気が集中している。


今回はここまでとなりますが、このRef.16750の製造期間中に、新たなるモデルが投入されます。続編、へと続きます。