ロレックス デイトナの歴史【成長期編】

はじめに

「デイトナ」とはアメリカ・フロリダ州にある街の名前です。自動車レースで有名な街で、最初の自動車レースはデイトナビーチで1902年に開催され、それ以来多くのレースが行われています。このデイトナという街で「デイトナコンチネンタル」の名前で行われた大会の第一回より、優勝者にはロレックスの腕時計が贈呈されていました。
そんな中、世界最速のレーサー、マルコム・キャンベルは、ロレックスを着用して地上最速記録を打ち立てた。彼は日常生活や激しいレースでの着用でも、かわらず動き続けるオイスターケースの耐久性に魅了され、ロレックスに感謝状を送ったそうである。キャンベルロレックスの関係は密接なものであり、後に彼はロレックス最初の公式アンバサダーになりました。

そのロレックス・デイトナを世に広めたのが米国映画俳優でありながらレーサーでもあった”ポール・ニューマン”である。彼の最初のデイトナ黒文字盤×白インダイヤルRef.6263であった。
1972年にレーサーとしてのキャリアをスタートさせた時、妻の女優でもあったジョアン・ウッドワードニューマンコスモグラフデイトナRef.6239を贈りました。その時計のケースバックには”Drive Carefully Me(私の為に安全運転)”というメッセージが刻印されていました。後にこの時計は2017年にオークションに出品され、腕時計史上最高額の約20億3,000万円という破格で落札された。

スターの愛する時計として有名となった”デイトナ”は、一躍、ロレックスの人気モデルへと昇り詰めました。

《成長期編》

Ref.6239

1963年、ロレックスは新たな歴史の一歩を踏み出す。Ref.6239「初代デイトナ」を世に送り出した。レーシングドライバーが着用することを想定し、平均時速を計測できるタキメーターをベゼルに配し、メインダイヤルサブダイヤルのカラーを反転させて視認性を高めたデザインがクロノグラフの新しい扉を開いた。ベゼルはプラスティック・メタルの2パターンをリリースするなど、新たな試みを行った。

Ref.6239 DAYTONA 1st

生産期間はわずか数年と短いモデルだが、その他にもベゼルやダイヤルの表記に違いが確認されており、Ref.6239自体がレアでありながら、その中でもレアな仕様があり、魅力の塊となっている。

Ref.6240

今でも標準であるねじ込み式のボタン類を搭載した完全防水のクロノグラフ。このモデルにはアクリルのはめ込まれた金属ベゼルも初めて採用し、ケース直径は37mm、1969年までステンレスでのみの製造であった。”OYSTER”という表記が”ROLEX””COSMOGRAPH”の間にプリントされています。短命であったため、Ref.6240はデイトナの中でも特にレアなモデルのひとつです。2世代目と呼ばれるRef.6262・Ref.6264と同時期に製造されており、第3世代と呼ばれるRef.6263・Ref.6265の前に存在していたため、「第3世代のプロトタイプ」と言われている。

Ref.6240

Ref.6241

Ref.6240同様、アクリルはめ込みのベゼルを採用しているのだが、ねじ込み式のボタンは採用されなかった。そしてこのモデルからダイヤル中心部に”DAYTONA”の名前が表記され始めます。このダイヤルはもともとアメリカで販売するモデルのために別に用意されたといわれており、アメリカの子会社の要請だったそうだ。生産期間は短いモデルだが、ダイヤルでは、“DAYTONA”の表記がないタイプや、12時方向にモデル名表記があるタイプも存在しており、そのディティールの違いが、マニアの心を魅了している。

Ref.6241

Ref.6262

1965年頃より登場した“デイトナ第2世代”となるRef.6262。この2世代目は、僅か4年程で生産終了を迎えた短命なモデル。前作のRef.6239とは、ほとんどデザインの変更がなかったが、新たにムーブメントの変更が行われた事は有名である。Ref.6262自体は短命であったが、新しくなったムーブメントは、後に20年もの間作られる信頼性のあるものであった。このRef.6262は、ベゼルがステンレス仕様であった。

Ref.6262

Ref.6264

Ref.6262と同時期に製造されていたモデルであり、違いはベゼルがプラスティック製であることである。このベゼルは劣化しやすい難点があるのだが、アンティーク感があり、マニアには人気である。この第2世代のRef.6262/Ref.6264は短命だったため、両モデルとも相当なレア度となっている。Ref.6241とは見た目変わらないが、ムーブメントの違いがある。

Ref.6264

Ref.6263

1970年より登場したデイトナ第3世代となるRef.6263。歴代のデイトナの中でも最も人気が高く、ねじ込み式ボタンが再び採用され、Ref.6263はアクリルはめ込みベゼルとなっています。ステンレス製またはゴールド製を選ぶことのできるこれらのモデルは手巻きムーブメントの最後のモデルで1971年~1988年まで製造された。ねじ込み式のボタンとリューズにより、防水性は50mから100mへと向上した。いくつかの仕様が確認されており、製造期間が長いながらもレアピースが数多く存在している。

Ref.6263

Ref.6265

Ref.6263同様、同時期に製造されていたモデルである。ベゼルがメタルベゼルであること以外は、Ref.6263と同じで、手巻きデイトナ最終モデル。最も人気のあるモデルの一つです。ベゼルは、Ref.6263のプラスチックベゼルのように大きな書体の違いはないが、位置や若干の書体の違いによってシリーズ分けされている。本機より姿を消すこととなった手巻きデイトナは、現行モデルにはないデザイン性によりアンティーク市場で非常に高い人気を得ている。

Ref.6265

今回紹介した「手巻きデイトナ」は、”ポール・ニューマン”という伝説的な人気モデルに現在は上り詰めているが、これはロレックスが現在、空前のブームとなっていることもあるので、かつて日本の”バブル経済状態”であるのは確かである。しかしこのヴィンテージ感は、これから先も人気が衰えることはなさそうである。
現在、各部オリジナル性の高い固体や生産初期分の固体は極めて流通量は少なく、入手も困難となってきている。

次回、ロレックス デイトナの歴史【成熟期】へと続きます。